Kong API Summit 2025 参加レポ 〜KongはただのGatewayにあらず〜
はじめに
こんにちは。MEKIKI X AIハッカソンもぐもぐ勉強会 Advent Calendar 2025の10日目を担当する堀田です。
APIマネジメントプラットフォームを提供するKongが主催するイベント「API Summit 2025」(NY開催)、「Kong API Summit Japan 2025」(東京開催)に参加してきました。
※私の所属チームはKongのユーザーでありパートナー企業ですので、最新情報キャッチのために行ってきました。


Kongは、Amazon API Gateway、Azure API Management、Apigee、MuleSoft等のAPI Gatewayに分類される製品ですが、5回連続Gartner®APIマネジメント部門のマジック・クアドラントでリーダーの1社と評価されていることに加え、LLMやMCPサーバを束ねるAI Gatewayの機能対応等、近年注目度が高まっている製品です。
そのKongが、「No AI Without API」というメッセージで、AI時代におけるAPIプラットフォームの重要性を発信しています。
本ブログではイベントで公開された内容の一部のサマリーと筆者の解釈を、以下のテーマにフォーカスしてお届けします。
※新機能の詳細等はまた別の記事で書こうと思います。本ブログは少し抽象度高めな話になります。
- なぜAI時代にAPIは重要なのか
- AI時代のGatewayに求められるもの
- Kongが目指す統合プラットフォームとAPI&AIライフサイクルのリデザイン
なぜAI時代にAPIは重要なのか
ソフトウェアエンジニアの方々にはお伝えするまでもないことですが、2000年代以降、Webサイト、スマホアプリ、クラウドやdeveloper向けサービス等の拡大に伴い、爆発的にAPIの数が増えていきました。
そして2025年はAIエージェント元年と言われていますが、以後数年にかけてAIエージェントの数とともにAPIの数と重要度が高まっていくと予想されます。

動画より抜粋

筆者作成
マイクロサービスによる様々なAPIがクライアントアプリケーションの利便性を向上させたように、AIエージェント時代では様々なAPI、LLMがエージェントを支えることが予想されます。

動画より抜粋
また、AIエージェントがタスクを処理する際、実体としてはLLMやAPIがその手足となり処理を行うことになるため、AIエージェントの時代においてはますますAPIの重要度が高まります。

動画より抜粋
AI時代のGatewayに求められるもの
APIの普及とともにAPIマネジメントの重要性が認識されていきましたが、AIエージェントの普及によって、API呼び出し元(APIクライアント、AIエージェント)・APIの数がさらに増加していくことが予想されます。
加えて、LLM自体のAPI、MCP対応しているAPI、通常のREST APIなど、運用するサービスの状況もより複雑になっていくため、AIエージェント時代においてはますますGatewayの重要度が高まります。
そして、MCPサーバを束ねるGateway、Agentを束ねるGatewayといった概念・機能も徐々に世の中に出始めています。

筆者作成
AIエージェント時代のGatewayには、APIと同様の観点に加え、AI特有の観点の機能も必要とされます。
トークンべースの流量制御やセマンティックキャッシュ、タスクに合わせた言語モデルの使用、LLM API自体の可用性向上、機微情報のサニタイズ等、多くの非機能要求があります。

動画より抜粋

筆者作成
よって、AIエージェント時代においては、従来のAPI Gatewayの枠をさらに拡張し、AIエージェントの付加価値向上とコスト低減を両立させるための統合基盤が重要となります。

筆者作成
Kongが目指す統合プラットフォームとAPI&AIライフサイクルのリデザイン
上述の通り、AIエージェント時代にはより統合されたGateway基盤に支えられたAPI群が必要とされます。
そしてKongは、API群をより強固なものにし、AIビジネスを成功させるためには、より優れた開発者プラットフォームが必要であると謳っています。

動画より抜粋
一方でAPI開発を取り巻く環境に注目してみると、エクセルによるAPI仕様管理の負担、バラバラな開発ツールによる学習コスト、実績管理と請求の手動オペレーション等で、運用負荷が高まってはいないでしょうか。
もっとエレガントにやってますわよ、という方々もいれば、心当たりありまくりです・・・という人もいるかと思いますが、Kongは開発ツールや作業が分断されることにより開発生産性の低下につながると指摘しています。

筆者作成
API開発ライフサイクルにおいて、クラウドネイティブ時代では開発生産性のためには以下が重要です。
- 開発者フレンドリーなツール
- 開発ツールとの統合や自動化
- ハイパフォーマンス&高信頼性な実行基盤
- 多様なチーム・メンバーが自由に部品を再利用できる環境
- オブザーバビリティ

動画より抜粋
さらに、AIネイティブ・AIエージェント時代においては、以下のような点が重要になってくると予想されます。
- AIがAPIの発見や使い方を知ることができる
- AIがコンテキストを理解した上でアプリケーションを生成することができる
- AIエージェントやLLM自体の高信頼性・高可用性
- AIエージェントやLLMへの安全なアクセス経路の確保
- AIエージェントの挙動の可視化
- AIコスト最適化・収益化

動画より抜粋
上記を踏まえ、AI時代を見据えた開発者体験とAIのための強固なAPI群を構築していくために、KongはGatewayに必要な機能から、API&AI開発全体のためのプラットフォームを志向した機能群を実装し始めています。
トラフィック制御層、すなわちGateway層では従来のAPI Gatewayに必要な機能群に加え、上述したAI時代に要求される機能をAI Gatewayという名前で提供しています。
プラットフォーム層では関連するコンポーネントをカタログとしてまとめることができるServiceCatalogを展開しています。
アプリケーション・エージェント層ではAPI仕様を公開可能なDevPortalを提供しています。
まだ正式公開されていませんが、AI Composerと呼ばれる、既存APIをノーコードでMCPサーバ化することができるような機能の公開も予定されています。
また、OpenMeterという企業を買収し、顧客ごとにAPIやAIの課金設定を行い、利用状況に応じて請求書を作成するといったマネタイズ関連の機能も強化しています。

動画より抜粋
さらに、DevPortalのMCPサーバの提供でCopilotやCursorといったMCPクライアントにAPI仕様をAIに読み込ませながらアプリケーションを開発することも可能になります。
また、InsomniaというAPIテストクライアントでOpenAPI Specificationの作成やAPIテスト、MCPクライアントとしてMCPサーバのテストを行うことができます。
これらのサービス展開・機能追加により、Kongは開発・運用ライフサイクルをAIネイティブにリデザインしてくれるAPI・AI統合プラットフォームとなっていくでしょう。

動画より抜粋
まとめ
AIエージェント基盤を取り巻く環境はまだまだ各社が日々議論を重ねている状況ではありますが、Gateway層の機能拡張に加え、Kongが示しているような開発ライフサイクルのアップデートこそが、AIエージェントの付加価値向上を強く支えてくれる基盤になるのでは、と強く感じました。
実運用にはまだ検証が必要な機能はあるかと思いますが、これからもKongの動向を注視し、パートナー企業として協力しながら検証をすすめ、お客様のビジネスの価値向上に取り組んでまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。🦍
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