NotebookLM × Gemini でGoogle Cloud Professional資格を2ヶ月で制覇する
はじめに
エンジニアの方もエンジニアではない方も、こんにちは。金融業界で SRE としてGoogle CloudのプロジェクトにJoinしているエンジニアです。
Google CloudのProfessional資格、特に「Professional Machine Learning Engineer」のような専門性の高い資格は、その道のプロフェッショナルであることを証明する価値ある認定資格となっています。しかし、その広範な試験範囲と、単なる暗記では通用しない実践的な知識が問われるため、「どこから手をつければいいのか…」と途方に暮れてしまう方も少なくないでしょう。
NotebookLM × Geminiを利用することで、資格全体の概要の把握から、詳細なサービスの仕様説明までの学習効率を極限まで上昇させることで、約2ヶ月でProfessional資格を全制覇しました(Associate Workspace Administratorを含む)。
今回は、この2つのAIツールを駆使して、効率的かつ戦略的に難関資格を突破するための、私の全ノウハウを実際に受験したProfessional Machine Learning Engineerの内容を含めて紹介します。
再現性はあると思いますが、再現しない場合は個人でプロンプトなどをチューニングしてください。
Professional資格の各種詳細は別の記事をご参考ください。本記事はあくまでも、NotebookLM × Geminiを利用した資格学習方法に絞って解説します。宣伝も兼ねて、同僚の記事を添付しておきます。
NotebookLM × Geminiの有効な理由(ワケ)
実際の学習ステップに入る前に、NotebookLM × Gemini が有効な理由(ワケ)を、ちょこっと書いておきます。
実際のステップをすぐに読みたい方は以下の内容は飛ばしてください。
なぜ「NotebookLM」という選択なのか?
「AIで学習」と聞くと、多くの方がGeminiやChatGPTのような汎用的なAIを思い浮かべるでしょう。もちろんそれらも素晴らしいツールですが、資格学習においては時として「情報が広がりすぎる」という弱点があります。
そこで登場するのがNotebookLMです。これは、 自分がアップロードした情報源(ソース)だけを知識のベースとするAI 。言わば、 「自分だけの専門分野に特化した、オーダーメイドのAIアシスタント」 を無料で手に入れられるようなものです。
例えば、一般的なAIに「ML Engineer試験で重要なサービスは?」と聞くと、Web上の膨大な情報から一般的な回答が返ってきます。しかし、試験ガイドや特定の教材を読み込ませたNotebookLMに同じ質問をすれば、「あなたがソースとして提供した試験ガイドの『セクション3:機械学習モデルの設計』に基づくと、特に重要なのはVertex AI TrainingとBigQuery MLです」といった、根拠(グラウンディング)に基づいた、極めて精度の高い回答が返ってくるのです。
この「制限」こそが、資格学習における最大の「強み」となります。
この「制限」をフル活用するために、目的に応じたノートブックを作成します。今回の資格学習では 2つ以上のノートブック を作成します。
NotebookLMに関してはGoogle公式が公開ノートブックを提供しているので、詳細はそちらを参照してみてください。
GeminiのDeep Researchを活用したさらなる深堀り
NotebookLMで情報ソースを絞って精度を高く情報をまとめてくれますが、情報ソースを「制限」していることで公式ドキュメントなどの情報ソースは参照できていない状況にあります。
ここで、GeminiのDeep Researchが登場するのですが、単に資格試験の学習教材の作成を依頼しても情報の洪水の中でGeminiが自由に泳いでしまうだけです。
そこで、NotebookLMで作成した試験の概要説明資料や学習ガイドをGeminiのDeep Researchの「制限」情報のインプットとして利用することで、学習教材としてGeminiを誘導することができます。Geminiを制限することで、より試験に特化した学習教材を作成することができ、作成された教材のみで資格試験の勉強をまかなうことが可能になります。
このGeminiのDeep Researchを活用することで、まず試験内容全体を対象に深堀りを行い、さらにGoogle Cloudが提供するサービスごとにさらなる深堀りを進めることが可能となります。
2ヶ月で合格を掴むための5ステップ実践学習法
では、具体的なステップを見ていきましょう。私が実際に行ったプロセスを、思考の過程と共に詳細に解説します。
ステップ1【学習の土台作り】:資格の「骨格」をNotebookLMに叩き込む
何よりもまず、学習の核となる「脳」を作ります。NotebookLMで新しいNotebookを作成し、そこに以下の情報“だけ”をアップロードしてください。
- 資格の公式ページにある試験ガイド(PDFなど)
- 試験内容の解説や試験対策が掲載された記事
大量の公式ドキュメントを登録してしまうことは、新入社員にいきなり分厚い仕様書を10冊渡して「全部読んでおいて」と言うようなもの。AIも混乱し、回答の焦点がボヤけてしまいます。まずは試験の全体像、つまり「骨格」を正確にインプットさせることが、質の高いAIアシスタントを育てる第一歩です。
特に初期の段階で資格試験に出題されるGoogle Cloudリソースの公式ドキュメントを読み込ませてしまうと、情報の焦点が資格試験からズレてしまいます。
Machine Learning Engineer編
「脳」として作成したノートブック
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資格の公式ページにある試験ガイド(PDFなど)
今回は以下の公式ページを2件登録しました。
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試験内容の解説や試験対策が掲載された記事
今回は、Google Cloudの認定パートナーである株式会社G-gen様、クラウドエース株式会社様によるテックブログ記事を参照させていただきました。
ステップ2【学習の地図】: AIによるパーソナル学習ガイドの生成
土台ができたら、次はそのAIに学習のナビゲーター役を担ってもらいます。2025年9月時点でのアップデートにより、NotebookLMのレポート作成機能が拡充されました。その機能を利用して、たくさんの種類でレポートを出力してみると良いです。
「概要説明資料」は以後のステップで利用するので、出力は必須です。また、学習ガイドも利用しやすいので、利用してみてください。
NotebookLM内のレポート機能
学習計画を立案してもらうので、以下のようなプロンプトを投げてみてください。
「あなたはGoogle Cloud Professional Machine Learning Engineer試験の受験を目指す学習者です。提供された資料に基づき、8週間の学習計画を週単位で作成してください。各週で重点的に学ぶべきGoogle Cloudサービスと、関連する重要なコンセプトをリストアップしてください。」
すると、ソース情報に基づいた現実的な学習プランが生成されます。
さらに、NotebookLMには音声読み上げ機能があります。この機能を使い、ジムでのトレーニング中や通勤中に、生成された学習ガイドを何度も耳からインプットしていました。まるで自分専用の学習ポッドキャストです。視覚だけでなく聴覚も使うことで、記憶の定着率が格段に上がりました。
ポッドキャストに男性と女性が出演するのですが、かなり流暢にポッドキャストっぽく話してくれるのでとても聞きやすいです。
ステップ3【知識の肉付け】: Geminiの力で学習教材を深掘りする
学習計画に沿って、各項目の理解を深めていきます。ここでGeminiの出番です。
NotebookLMで出力させた「概要説明資料」をインプットとして、GeminiのDeep Researchを利用して学習教材を作成してもらいます。NotebookLMの情報リソースの検索機能を利用しても良いのですが、GeminiのDeep Researchを利用することで、より深掘りできるだけでなく、散在している情報をもとに学習教材へとまとめ上げてくれるため、Geminiを利用しています。
以下のプロンプト例をGeminiに投げることで、インプット情報(NotebookLMの「概要説明資料」)をもとに質の高い学習教材を作成してくれます。
# 命令
あなたは、Google Cloudの認定トレーナー兼、優れた教材開発者です。
これから提供するGoogle Cloud資格のシラバス(Markdown形式)に基づき、受験者のための包括的で詳細な学習教材(教科書形式)を作成してください。
資格: Google Cloud Professional Machine Learning Engineer認定資格
## 実行プロセス
1. **シラバスの解析:** 添付されたMarkdownファイルの内容を、章・節・項目の階層構造として正確に理解してください。
2. **逐次的な教材生成:** シラバスの各項目(最も詳細なレベルの箇条書きや見出し)について、一つずつ丁寧な解説を生成します。
3. **高品質な解説の条件:** 各項目の解説は、以下の要素を必ず含めてください。
* **① 概念の定義:** その技術やサービスが「何であるか」を明確かつ簡潔に定義する。
* **② 重要性と目的:** なぜその概念が重要なのか、Google Cloudアーキテクチャにおいてどのような問題を解決するのかを説明する。
* **③ 主要な機能と特徴:** 具体的な機能やオプション、仕組みについて詳細に記述する。箇条書きなどを活用し、分かりやすく整理する。
* **④ 具体例やアナロジー:** 初心者でも直感的に理解できるよう、身近な例えや具体的な使用シナリオを提示する。
* **⑤ ベストプラクティスと考慮事項:** 実際のプロジェクトで利用する際のベストプラクティス、注意点、あるいはトレードオフについて言及する。
* **⑥ 関連コマンド/API(該当する場合):** もし`gcloud`コマンドや関連するAPIがあれば、基本的な使用例をコードブロックで示す。
## 出力形式
* シラバスの階層構造(見出しレベル)を維持し、それに沿って解説を記述してください。
* 専門用語には、初学者にも理解できるよう簡単な注釈を加えてください。
* 文章は、プロフェッショナルかつ教育的なトーンで統一してください。
そして、ここで生成された質の高い学習教材をエクスポートし、ステップ1で作成した「資格対策用NotebookLM」に追加でアップロードします。 このサイクルを繰り返すことで、NotebookLMはどんどん賢く、自分専用の知識データベースへと進化していきます。
Machine Learning Engineer編
せっかくなので、出力した結果を共有しておきます。(後述しますが、ナレッジデータベースにNotionを利用しているので、Notionのページを共有します。)
ステップ4【役割分担の重要性】:「技術深掘り用」のNotebookLMを別途用意する
学習を進めていると、「このGoogle Cloudサービスのアーキテクチャをもっと詳しく知りたい」といった技術的な探求心が出てくるはずです。そのタイミングで別のノートブックを作成してください。
そして、そちらにGoogle Cloudの詳細な公式ドキュメントやホワイトペーパー、関連する技術ブログなどをどんどん投入していきます。情報ソースは基本的にGoogle Cloudの公式ドキュメントまたは公式ブログにしてください。それ以外はノートブックのノイズになるので注意です。
例えば、G-genさんのテックブログ内で紹介されているGoogle Cloudの公式ドキュメントをとりあえず、投入するだけでもかなり有効です。
これは、「試験戦略家AI」 と 「技術専門家AI」 を分けるイメージです。そうです、PMとDevを別にするイメージです。試験に関する質問は前者に、特定の技術仕様に関する深い質問は後者に聞く。この役割分担が、AIも自分自身も思考の混乱を防ぎ、常に目的に合った最適な回答を引き出すための秘訣です。
Machine Learning Engineer編
それぞれのイメージは以下の画像のとおりです。「試験戦略家AI」は(ちょっと怖いですが)言わずもがな脳アイコンのノートブックです。「技術専門家AI」はPCのアイコンのノートブックです。
NotebookLM内の「試験戦略家AI」と「技術専門家AI」
ステップ5【最強の復習サイクル】:模擬問題を解き、弱点をAIに喰わせる
最終段階は、実践演習です。公式の模擬問題や問題集を解き、そこで間違えた問題こそが、参考にすべき最強のインプットです。
私は、間違えた問題と、その公式解説をスクリーンショットし、画像としてアップロードしていました。そして、こう質問しました。
「この問題の正解はBですが、なぜ選択肢Dは不適切なのでしょうか?あなたがこれまでに学習したソース情報を基に、初心者にも分かるように説明してください。」
AIは画像内のテキストを読み取り、既存の知識と結びつけて、なぜその選択肢が間違いなのかを論理的に説明してくれます。この 「間違えた問題 → AIに解説させる → 理解する」 というサイクルを回すことで、弱点が面白いように潰れていきました。
まとめ:AIは「使う」のではなく「育てる」相棒
今回の学習法の核心は、単にAIに質問を投げることではないです。
- 情報の取捨選択:どの情報を、どのタイミングでAIに与えるかを人間がコントロールする。
- 役割分担:目的に応じてAIの専門性を分ける(ノートブックを分ける)。
- 対話による深化:生成された教材や模擬問題の解説を通じて、AIと対話しながら知識を深める。
これはまさに、 「自分だけの学習に最適化されたAIを育て上げる」 という新しい学習スタイルです。
このアプローチは、Google Cloud資格に限らず、あらゆる専門分野の学習に応用可能です。情報の洪水に飲み込まれることなく、最短距離でゴールテープを切りたいと願うすべての学習者にとって、NotebookLMとGeminiは最強の相棒になってくれるはずです。
Tips集
NotebookLMへの登録
NotebookLM Web ImporterのChrome拡張を利用すると簡単に登録できます。
私は買い切り版を購入し、Proを利用しています。
ナレッジデータベース
Notion大好きエンジニアでもあるので、基本はすべての情報をNotionに集約しています。Geminiは直接mdファイルへエクスポートできないですが、回答を全部コピーしてNotionのページに添付するだけで問題ないです。
Notionについてはまたどこかで利用方法など書きたいと思います。

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