DatabricksのマネージドMCPサーバが発表されたのでDatabricks内外のAIエージェントから呼び出してみた
はじめに
データマネジメントPF統括部の平尾です。
2025年6月に開催されたDatabricks Data + AI Summit 2025にてDatabricksのマネージドMCPサーバの機能が発表されたため、実機を触ってみました。
MCP(Model Context Protocol)とは
MCP(Model Context Protocol)とはAnthropic社が発表した生成AIが外部ツールやデータソースと接続するための標準化されたプロトコルです。
MCP登場前はAIエージェントと各種ツールを繋げるためには個別の開発が必要でしたが、MCPにより標準化されたことで開発効率性が大きく改善しました。
Anthropic社の発表後、OpenAIをはじめとした各社が追従し、デファクトスタンダードになりつつあります。
MCPには基本的には以下の3つの主要コンポーネントがあります。
- MCPホスト:AIエージェントを搭載したアプリケーション。外部のツールやデータソースと連携する際の起点となる。Claude DesktopやCursor等のIDEをはじめとしたアプリケーション。
- MCPクライアント:MCPホスト内で動作し、MCPサーバーと接続するための通信インターフェース。
- MCPサーバ:AIエージェントが呼び出すツールを提供するサーバ。ローカル、リモート環境でホストされる。
DatabricksマネージドMCPサーバ
DatabricksマネージドMCPサーバとは、その名の通りDatabricks上でホストされるマネージドのMCPサーバです。
これによりDatabricks内外にあるAIエージェントからDatabricksにあるデータやツールを利活用することができます。
マネージドサーバのため、インフラはDatabricksにより管理され維持管理やメンテナンスは不要です。
マネージドMCPサーバでは2025年7月現在ベータ版として以下のマネージドMCPサーバを利用できます。
- UC Functions:指定したUnity Catalogスキーマ内で定義された関数の実行。データの集計等のカスタムロジックをUDFで定義して呼び出すような用途が考えられます。
- Vector Search:指定したVector Searchのインデックスに対してのクエリの実行。いわゆるRAGとしての利用が想定され、ベクトル化したFAQやドキュメント等の情報を取得するような用途が考えられます。
- Genie Space:指定したGenie Spaceに対してのクエリの実行。Genie Spaceに紐づけたデータ(Unity Catalogのテーブル)から洞察を得る用途が考えられます。
もちろん独自のMCPサーバをDatabricks上でホストすることも可能ですが、本記事では詳細は割愛します。
DatabricksでMCPサーバをホストするメリット
Databricksは企業内のデータを統合管理し、データ・AIの民主化を推進するデータインテリジェンスプラットフォームです。
AIエージェントからDatabricksの資源にマネージドのMCPサーバ経由でアクセスできるようになることは統合管理されたデータにアクセスできるようになることと同義であり、データ・AIの利活用推進のために大きなメリットがあると考えています。
また、DatabricksにはUnity Catalogというデータ・AIの統合ガバナンスの機能が備わっています。誰がどのデータ、ツールに対してどのような権限を持つのかを制御できるので昨今注目を浴びているAIエージェント開発において、適切にガバナンスを効かせることができるのもメリットの一つと考えています。
実機検証
Genie SpaceのマネージドMCPサーバを構築し、Databricks内外のAIエージェントからMCPサーバ(ツール)を呼び出してみます。
今回はDatabricks内からの呼び出しにはPlaygroundを利用し、Databricks外からの呼び出しにはVS CodeのGitHub Copilot Agent Modeを利用します。
まずは以下のように検証用のテーブルを作成します。
次にGenie Spaceを作成し、このテーブルを紐づけます。まずは、Genieを選択しNewを押下します。
先程作成したテーブルを紐づけてGenie Spaceを作成します。
スペース名はOrders Spaceとしました。
Databricks内からのツール呼び出し
作成したツールをまずはDatabricks内から呼び出してみます。Playgroundの画面を開き、ToolタブのAdd toolを押下します。
MCP Serversのタブを押下して、先程作成したGenie Spaceを選択し、Saveを押下します。これだけでGenie Space用のマネージドMCPサーバを構築し、Playgroundから呼び出せるようになります。
PlaygroundからAIエージェントが先程作成したツールを使うようにクエリを実行してみます。すると、想定通りツールを呼び出すことができました。
Databricks外からのツール呼び出し
次にDatabricks外からMCPサーバを使ってみます。まずは準備として、MCPホストに登録するアクセストークンを生成します。
今回はMCPホストとしてVSCodeのGitHub Copilot Agent Modeを利用するため、VSCodeのSettingから以下のEdit in settings.jsonを押下し、Genie SpaceのMCPサーバを登録します。
"mcp": {
"servers": {
"databricks-genie": {
"url": "https://<databricks_workspace_id>.databricks.com/genie/spaces/<genie_space_id>",
"headers": {
"Authorization": "Bearer <access_token>"
}
}
}
}
この際、mcpのserversの項目を見るとStartという文字が出てくるので、これを押下してツールを有効化します(以下は有効化した状態です)。
GitHub CopilotのChatを起動し、Agent Modeに切り替えた上でToolsを確認すると先程設定したMCPサーバが登録されていることが確認できます。
GitHub Copilotにツールを呼び出すようにチャットをしてみます。
すると、想定通りDatabricks外(ローカルのVSCode)からツールを呼び出して回答を得ることができました。
まとめ
今回はDatabricks Data + AI Summitで新たに発表されたマネージドMCPサーバを触ってみました。
データ・AIをガバナンスを効かせたうえで統合管理するDatabricksがマネージドなMCPサーバを提供することで、昨今注目されているAIエージェントの開発は益々進むのではと考えています。
また、こちらを見ると、将来的には他の企業やサービスが提供するMCPサーバの管理、検出、統制のためのサポートも予定しているようで今後のアップデートも楽しみです。
仲間募集
NTTデータ ソリューション事業本部 では、以下の職種を募集しています。
Databricks、生成AIを活用したデータ基盤構築/活用支援(Databricks Championとの協働)
Snowflake、生成AIを活用したデータ基盤構築/活用支援(Snowflake Data Superheroesとの協働)
プロジェクトマネージャー(データ分析プラットフォームソリューションの企画~開発~導入/生成AI活用)
クラウドを活用したデータ分析プラットフォームの開発(ITアーキテクト/PM/クラウドエンジニア)
ソリューション紹介
Trusted Data Foundationについて
~データ資産を分析活用するための環境をオールインワンで提供するソリューション~
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/tdf/
最新のクラウド技術を採用して弊社が独自に設計したリファレンスアーキテクチャ(Datalake+DWH+AI/BI)を顧客要件に合わせてカスタマイズして提供します。
可視化、機械学習、DeepLearningなどデータ資産を分析活用するための環境がオールインワンで用意されており、これまでとは別次元の量と質のデータを用いてアジリティ高くDX推進を実現できます。
TDFⓇ-AM(Trusted Data Foundation - Analytics Managed Service)について
~データ活用基盤の段階的な拡張支援(Quick Start) と保守運用のマネジメント(Analytics Managed)をご提供することでお客様のDXを成功に導く、データ活用プラットフォームサービス~
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/tdf_am/
TDFⓇ-AMは、データ活用をQuickに始めることができ、データ活用の成熟度に応じて段階的に環境を拡張します。プラットフォームの保守運用はNTTデータが一括で実施し、お客様は成果創出に専念することが可能です。また、日々最新のテクノロジーをキャッチアップし、常に活用しやすい環境を提供します。なお、ご要望に応じて上流のコンサルティングフェーズからAI/BIなどのデータ活用支援に至るまで、End to Endで課題解決に向けて伴走することも可能です。
NTTデータとDatabricksについて
NTTデータは、お客様企業のデジタル変革・DXの成功に向けて、「databricks」のソリューションの提供に加え、情報活用戦略の立案から、AI技術の活用も含めたアナリティクス、分析基盤構築・運用、分析業務のアウトソースまで、ワンストップの支援を提供いたします。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/databricks/
NTTデータとSnowflakeについて
NTTデータとSnowflakeについて
NTTデータでは、Snowflake Inc.とソリューションパートナー契約を締結し、クラウド・データプラットフォーム「Snowflake」の導入・構築、および活用支援を開始しています。
NTTデータではこれまでも、独自ノウハウに基づき、ビッグデータ・AIなど領域に係る市場競争力のあるさまざまなソリューションパートナーとともにエコシステムを形成し、お客さまのビジネス変革を導いてきました。
Snowflakeは、これら先端テクノロジーとのエコシステムの形成に強みがあり、NTTデータはこれらを組み合わせることでお客さまに最適なインテグレーションをご提供いたします。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/snowflake/
NTTデータとInformaticaについて
NTTデータとInformaticaについて
データ連携や処理方式を専門領域として10年以上取り組んできたプロ集団であるNTTデータは、データマネジメント領域でグローバルでの高い評価を得ているInformatica社とパートナーシップを結び、サービス強化を推進しています。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/informatica/
NTTデータとTableauについて
NTTデータとTableauについて
ビジュアル分析プラットフォームのTableauと2014年にパートナー契約を締結し、自社の経営ダッシュボード基盤への採用や独自のコンピテンシーセンターの設置などの取り組みを進めてきました。さらに2019年度にはSalesforceとワンストップでのサービスを提供開始するなど、積極的にビジネスを展開しています。
これまでPartner of the Year, Japanを4年連続で受賞しており、2021年にはアジア太平洋地域で最もビジネスに貢献したパートナーとして表彰されました。
また、2020年度からは、Tableauを活用したデータ活用促進のコンサルティングや導入サービスの他、AI活用やデータマネジメント整備など、お客さまの企業全体のデータ活用民主化を成功させるためのノウハウ・方法論を体系化した「デジタルサクセス」プログラムを提供開始しています。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/tableau/
NTTデータとAlteryxについて
NTTデータとAlteryxについて
Alteryxは、業務ユーザーからIT部門まで誰でも使えるセルフサービス分析プラットフォームです。
Alteryx導入の豊富な実績を持つNTTデータは、最高位にあたるAlteryx Premiumパートナーとしてお客さまをご支援します。
導入時のプロフェッショナル支援など独自メニューを整備し、特定の業種によらない多くのお客さまに、Alteryxを活用したサービスの強化・拡充を提供します。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/alteryx/
NTTデータとDataRobotについて
NTTデータとDataRobotについて
DataRobotは、包括的なAIライフサイクルプラットフォームです。
NTTデータはDataRobot社と戦略的資本業務提携を行い、経験豊富なデータサイエンティストがAI・データ活用を起点にお客様のビジネスにおける価値創出をご支援します。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/datarobot/

NTT DATA公式アカウントです。 技術を愛するNTT DATAの技術者が、気軽に楽しく発信していきます。 当社のサービスなどについてのお問い合わせは、 お問い合わせフォーム nttdata.com/jp/ja/contact-us/ へお願いします。