ホワイトボックススイッチの概要とその上で動作するNetwork OSについて
はじめに
本投稿で記載している内容は、以下2点になります。
- ホワイトボックススイッチの概要
- その上で動作するNetwork OSの概要
ホワイトボックススイッチの概要
ホワイトボックススイッチとは
ホワイトボックススイッチとは、ネットワーク機器として必要となるOSを搭載していないスイッチの総称です。従来、ハードウェアとソフトウェアをまとめてネットワーク機器として購入していたものを分離することで、ユーザが自由に組み合わせて利用することができます。

メリット・デメリット
ホワイトボックススイッチを導入する際のメリット・デメリットは以下の通りです。
- メリット
- OSとしてオープンソースなNetwork OSを採用することでソフトウェア費用の削減につながる
- 3rd party製のオプション(トランシーバ等)を採用することでHW費用の削減につながる
- アプリケーションが導入しやすい - デメリット
- オープンソースなNetwork OSを採用した際にベンダーサポートが得られない
ホワイトボックススイッチを利用する上での構成要素
ホワイトボックススイッチを利用する際の構成要素と代表的なメーカーは以下の通りです。
※ネットワーク機器として利用するためにこれらを組み合わせていく必要がある。
- ホワイトボックススイッチ(筐体)
NVIDIA、Edgecore、Acton、Alpha Networks、Quanta、Arista、Dell、Juniper、Facebook、Marvell等 - ASIC
NVIDIA、Broadcom、Intel、Marvell等 - Network OS
- OSS:SONiC、ONL、DANOS、Stratum、Goldstone等
- 商用:Dell SONiC、Edgecore SONiC、Cumulus Linux、PiCOS、OcNOS等 - トランシーバ
II-VI、NVIDIA、Edgecore、Dell等
Network OSの概要
Network OSの概要とその種類
Network OSとはネットワーク機器に搭載され、パケット転送機能を提供するOSの総称です。
大別すると、以下の3種類に分類することができます。
- 独自NOS:ベンダーが個別に作ったNetwork OS
代表例:FBOSS、dNOS等 - 商用NOS:オープンソースで提供されているNetwork OSをベースに各ベンダがカスタマイズ
代表例:Dell SONiC、Edgecore SONiC、Cumulus Linux、OcNOS、Vyatta等 - OSS-NOS:オープンソースで提供されているNetwork OS
代表例:SONiC、ONL、DANOS等

独自-NOSの例:FBOSS(Facebook Open Switching System)
FBOSSは、Facebookが開発したNetwork OSで以下の特徴があります。
- LinuxベースのNetwork OS
- 自社製のホワイトボックススイッチ(Wedge)向けに開発
※詳細は以下のサイトをご確認ください。
https://github.com/facebook/fboss
商用-NOSの例:Cumulus Linux
Cumulus Linuxは、旧Cumulus Networksが開発したNetwork OSで以下の特徴があります。
- DebianベースのNetwork OS
- ルーティングスイートとしてFRRoutingを採用(後述)
- 独自コマンドにて設定(nv show、nv set)
- vi/nano等での直接設定やvtyshを用いた設定も可能
- VXLAN、BGP unnumberedといった機能も利用可能
※詳細は以下のサイトをご確認ください。
https://www.nvidia.com/ja-jp/networking/ethernet-switching/cumulus-linux/
https://docs.nvidia.com/networking-ethernet-software/cumulus-linux/
OSS-NOSの例:SONiC(Software for Open Networking in the Cloud)
SONiCは、Microsoftが開発しオープンソース化したNetwork OSで以下の特徴があります。
- Open Network Linux上で動作するパッケージ群
- ルーティングスイートとしてFRRoutingを採用(後述)
- SNMPやRoutingといった各種機能はコンテナ上で動作
- 独自コマンドにて設定(show ~、config ~)
- vi/nano等での直接設定やvtyshを用いた設定も可能
- VXLAN、BGP unnumberedといった機能も利用可能
※詳細は以下のサイトをご確認ください。
https://github.com/sonic-net/SONiC/wiki
[参考] FRRouting(Free Range Routing)について
Cumulus LinuxやSONiCで作用されているFRRoutingとは、LinuxやUNIX系のOSで動作するルーティングプロトコルスイートで、Quaggaから派生したものとなります。また、RIPやOSPF、BGPといったルーティングプロトコルだけでなく、ゲートウェイ冗長化技術であるVRRP等様々な機能を利用することができます。FRRoutingに関する詳細な情報は以下サイトをご確認ください。
まとめ
今回はホワイトボックススイッチの概要とその上で動作するNetwork OSについて紹介させてもらいました。実機を用いた簡単な検証内容とその結果については、今後時間を見つけて執筆していこうと思います。
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