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【未経験から合格】AWS SAA勉強法まとめ

2021/10/25に公開

要約

クラウドの台頭と相まって、AWS SAAの市場価値が非常に高くなっています。
本記事では、実際に資格を取得し、エンジニアとして働いている筆者が、下記の悩みに答えます。
・取得するメリットは?
・そもそもAWS SAAとは?
・エンジニア未経験でも受かるの?
・どうやって勉強したらいい?

AWS SAAを取得するメリット3選

市場価値の高いエンジニアに

まずAWS SAA取得者の年収を見てましょう。
米グローバルナレッジ社が毎年発表している「高収入なIT資格 TOP15」において、AWS SAAは2016年から5年連続で4位以内にランクインしています。※
セキュリティ系やオンプレ系の資格を抑えての順位ですので、AWS需要が急激に高まっているなかで、本資格を取得した人材が求められていることが分かります。
15 Top-Paying IT Certifications for 2021

また、クラウド市場の規模は年々成長しています。
米Synergy Research Group社の調査によると、2021年の市場規模は、前年と比べて39%増加し、今後も長期間にわたって成長し続けると予測しています。※
堅調な成長に合わせて、クラウド人材はより重宝されると推測できます。
クラウド需要は「今後も長期間、果てしなく成長
これらのデータから、AWS SAAを取得することで、市場価値の高いエンジニアになれるといえます。

インフラ基礎習得の証明に

本資格は、サーバやネットワークをはじめとする様々な分野から出題されます。
そのため、AWSだけでなく、インフラの基礎全般を学習する機会になります。
筆者も未経験からエンジニアになりましたが、当初は限られた分野の知識しか身に付けられず、別部署とのやり取りに苦戦していました。しかし、本資格の勉強を始めて、インフラの基礎用語を覚えていくうちに、段々コミュニケーションがスムーズになり、取り次ぎがうまくいくようになりました。資格取得後には、AWSの知識だけでなく、インフラ全般の基礎を身に付けていると評価され、部署を横断したプロジェクトに参画することが出来ました。
インフラ系の資格は、分野やメーカーに限定されたものが多く、基礎を体系的に学べる機会が少ないです。本資格は、AWSとインフラを同時に学べる一石二鳥な資格です。
AWS SAAを取得することで、インフラ基礎の習得を証明することができます。

汎用的な設計スキルが身に付く

本資格では、設計原則とベストプラクティスを理解する必要があります。
設計原則とは、AWSでシステムを設計する際のポイントのようなもので、以下の5つに分けられています。

原則 概要
信頼性 耐障害性に優れていること
パフォーマンス効率 効率性の高いリソースを選択していること
セキュリティ システムとデータが保護されること
コスト最適化 費用効果の高いリソースを選択していること
運用上の優秀性(※) システムの管理作業が最小限となっていること
(※)運用上の優秀性は試験対象外です。

ベストプラクティスとは、上記の原則をもとに、AWS公式が設計した構成例を指します。
下記は、設計原則「信頼性」を基にしたベストプラクティスの一例です。
あるサービスがサーバ1台で稼働しているとします。この構成では、サーバに障害が発生した途端、サービスは利用できなくなってしまいます。
そこで、下記のようにサーバを2台構成にして、ELBというAWSサービスを利用します。ELBは、クライアントからの通信を各サーバへ振り分ける分岐点です。このように設計することで、片方のサーバに障害が発生しても、もう片方のサーバは稼働しているため、サービスを継続させることができます。

無論、これらはAWSを対象としたものですが、他のクラウドサービスやオンプレ環境でも役立ちます。
特に5つの設計原則は、あらゆる現場で自然と意識されています。
筆者がオンプレ環境での設計業務に携わった際には、設計原則を参考にしながら、「信頼性」を優先させて、「コスト最適」は二の次といった要件で顧客との調整を行いました。
業務で欠かせない設計スキルですが、設計原則を確立しているメーカーや、それを認定する資格は少なく、一般的に経験によって積み重ねられるものと考えられています。その中で、本資格は、未経験者や初学者にとって貴重な学習機会になるといえます。
AWS SAAを取得することで、汎用的な設計スキルを習得することが出来ます。

そもそもAWS SAAとは?未経験でも合格できる?

AWS SAAとは?

AWS SAA(ソリューションアーキテクトアソシエイト)は、AWSにおける設計スキルを認定する資格です。
AWSの資格は、基礎コース・アソシエイト・プロフェッショナルの3つのレベルに分かれており、本資格はアソシエイト(中級者)レベルの難易度です。

試験では、主に以下の3つが問われます。
・各AWSサービスの機能を把握しているか
・設計原則とベストプラクティスを理解しているか
・上2つを踏まえ、要件を満たす設計ができるか

試験範囲は、以下の通りです。
・AWSサービス:12分野から、50超のサービスが対象。
         詳細は「試験ガイド」を参照。

・設計原則:「運用上の優秀性」を除いた4つが試験対象。
       出題割合は以下の通り。

原則 概要
信頼性 30%
パフォーマンス効率 28%
セキュリティ 24%
コスト最適化 18%

その他の概要は、以下の通りです。

項目 内容
問題形式 すべて選択式
問題数 65問(うち15問は未採点)
試験時間 130分
合格基準 720点(1000点満点中)
受験料 15,000円(税抜き)
言語 英語、日本語、韓国語、中国語)
実施形式 テストセンター または オンラインプロテクター試験(在宅)

エンジニア未経験でも合格できる?

決して簡単な試験ではありませんが、未経験の方でも合格できる難易度です。
理由として、まず教材の豊富さが挙げられます。
下記「【経験者別】勉強方法とおすすめ教材を紹介!」で紹介している通り、様々な種類の教材が販売されているため、自分に合った勉強方法を確立することができます。
筆者は、動画教材でサービスの機能を理解し、問題集を繰り返し解いて、知識を定着させました。
また、すぐに実践できる点も挙げられます。
AWSは、誰でも始められるクラウドサービスであるため、理解できなかった部分を実際に設定し、検証することができます。
IT資格の勉強が困難な理由として、イメージの掴みづらさが挙げられます。
参考書を読んで概要は理解できても、実際の設定画面や設定後の動作が分からず、結局身につかないまま暗記に頼ってしまうことがあると思います。
その点、AWSはすぐ確認できるため、より具体的なイメージを掴みやすく、理解が容易になります。ほとんどのサービスが無料枠の中で検証可能なため、お金の心配もいりません。
本資格は、勉強しやすい環境が整っているため、未経験の方でも合格できる難易度だといえます。

【経験者別】勉強方法とおすすめ教材を紹介!

ステップ① エンジニア未経験者の方はこちらから

まず、インフラについて勉強しましょう。
上記で説明した通り、本資格の試験範囲は広く、インフラ全般の基礎知識を習得していることが前提条件となっています。
そこで、インフラの概念を理解し、知識の土台から作り上げることから始めます。
サーバやネットワークが何であるかを学習することで、ステップ②以降の勉強内容が理解しやすくなります。
おすすめ教材は以下の2つです。

①「AWS:ゼロから実践するAmazon Web Services。手を動かしながらインフラの基礎を習得
・おすすめポイント:ブログなどの身近なシステムを例に説明しているため、実感が湧きやすいです。
・おすすめの学習方法:是非AWSのアカウントを発行して、実際に構築してみてください。細かい設定は後回しで構いませんので、自由に設定を変更し、楽しむことを意識しましょう。インフラに対して抵抗感を無くすことが大切です。

②「「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典
・おすすめポイント:誰でも分かるような言葉でざっくり説明しているため、概念を理解する際に最適です。
・おすすめの学習方法:教材①の中で理解できなかった用語を調べると効果的です。

ステップ② AWS未経験者の方はこちらから

設計原則を軸に、各AWSサービスの機能を覚えましょう。
機能単体ではなく、設計原則と関連付けながら理解することで、本試験の問題形式に合わせた学習ができます。
おすすめ教材は以下の2つです。
①「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座(SAA-C02試験対応版)
・おすすめポイント: 設計原則に沿って、各サービスを紹介しています。
実際の設定画面を見ながら解説しているため、細かい機能を覚えやすいです。
・おすすめの学習方法:ボリュームがあるため、設計原則を理解した後は、勉強したいサービスを選んで受講すると効率が良いです。
②「【Black Belt】AWS サービス別資料」「AWS ホワイトペーパー
・おすすめポイント:図と実例が多用されているため、初学者でも理解しやすい内容です。
・おすすめ学習方法:AWSの機能は日々更新されています。
教材①を勉強した後に見て、仕様変更がないかチェックしましょう。

ステップ③ 試験直前

試験対策用の問題集を解き、難易度や問題文に慣れていきましょう。
参考書を用いて、知識を整理することもおすすめです。
教材は以下の2つです。

①「【SAA-C02版】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)」
・おすすめポイント:本試験より難易度が高く設定されているため、充分に対策できます。

・おすすめ学習方法:解説が非常に丁寧です。
分からなかった問題は、必ず目を通しましょう。

②「一夜漬け AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト[CO2対応]直前対策テキスト
・おすすめポイント:出題ポイントごとにまとめられているため、知識の整理に最適です。
・おすすめ学習方法:内容のレベルが高いため、各サービスの概要を理解したうえで読みましょう。

勉強期間はどれくらい?

各ステップから始めた場合の勉強期間は以下の通りです。
あくまで目安ですので、自分の勉強スピードに合わせて調整してみてください。
・ステップ①から:4~5か月
・ステップ②から:3~4カ月
・ステップ③から:1~2か月

【合格者が語る】受かるコツ3つ

とにかく問題文に慣れる

本試験の問題文は、長文で遠回しな言い方になっています。
理解するまで時間がかかってしまい、最後まで解き終わらない方も多いようです。
筆者も十分に対策をしたつもりでしたが、本番は試験時間ギリギリで終えました。
模擬問題集を繰り返し解き、文章を読んでるうちに構成図が浮かんでくるまで慣れていきましょう。
最初のうちは絵を描きながら進めると分かりやすいです。
また、問題文の言い回しには、答えのヒントが潜んでいます。
下記のようなコツを掴むことも大切です。
例)トラブルシューティング系の問題。
・エラーが出ている場合:各サービスの設定ミスが原因である可能性が高い。
・エラーが出ていない場合:システムの設計に問題がある可能性が高い。

これ何がすごいの?と問い続ける

AWSのサービスは、旧技術の問題解決を目的として開発されているため、元来の機能や設定から複雑化しているものがあります。
これらの経緯を知らずに勉強を進めてしまうと、それぞれの目的が分からないために論理関係が成立せず、結果暗記に頼ってしまうことがあります。
そこで、「これ何がすごいの?」と問い続けることによって、意義を理解することが大切です。
サービスの成り立ちや旧技術の機能・問題点を抑えると、単に覚えやすくなるだけでなく、本来の用途に合っていない選択肢を省く手段にもなります。
特に、比較的最新の技術を利用したサービスは複雑な部分があるため、よく意義を理解したうえで進めることをおすすめします。
下記は一例です。
· Amazon Kinesis
· Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)
· Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS)
· Amazon API Gateway
· AWS WAF

学習方法としては、ステップ①の教材②で旧技術を調べ、問題点や開発目的を理解することが効果的です。

似たもの同士の違いを知る

AWSサービスの機能は似たものが多く、そこを突いた問題が出題されます。
特に下記の分野は、点数を落としやすい箇所です。
・データベース・・・Amazon RDS, Amazon Auroraなど
・アナリティクス・・・Amazon Athena, Amazon ESなど
・ストレージ・・・Amazon S3, Amazon EFSなど

混同するサービスを洗い出し、違いを明確にすることが大切です。
表にすると分かりやすいですね。
例)各LBの機能
ALB NLB CLB
プロトコル HTTP, HTTPS TCP, UDP
TLS(レイヤ5) TCP, SSL/TLS,
HTP, HTTPS
セキュリティグループ 可 不可 可
パスベースルーティング 可 不可 不可

スティッキーセッション 可 不可 可
静的IPの設定 不可 可 不可
ステップ③の教材②でも、上記のようにまとめられているため、こちらを使うことも効果的です。

AWS SAAを取得して、脱インフラエンジニア未経験者

AWS SAAは、AWSにおける設計スキルの証明だけでなく、インフラの基礎と汎用的な設計スキルを習得する機会になります。
たとえ現場経験がなくとも、本資格を取得したのちには、実務レベルの知識が身に付いているでしょう。
是非、本記事の学習方法を参考に、自分に合ったステップから進めていただければ幸いです。
もし、SAAはレベルが高いと感じた場合は、AWS クラウドプラクティショナーという一段階難易度を下げた資格もありますので、こちらも併せて検討してみてください。

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