環境変数の設定を間違えてほとんどのコマンドが command not found になってしまったときの対処法
はじめに
先日、サーバの設定をいじっていたときにやらかしてしまい冷汗を書いたので、いざというときに焦らずに対処できるようにするためにここにメモしておきます。
原因
自分の中で得られた結論を先に言ってしまうと、環境変数のexportは複数箇所に書くべきではないです。
.bash_profile
等にexport PATH="パス"
を追加することで環境変数が使えるようになります。たとえばls
コマンドは本来なら/bin/ls
や/usr/bin/ls
としなければ実行できませんが、/bin
や/usr/bin
を環境変数として登録しておけば単にls
と打つだけで実行できるようになります。
今回の問題の原因は、export PATH="/path/to/something:/path/to/anything:$PATH"
となっている行の下にexport PATH="/path/to/badthing"
を追加してしまったことです。PATH
への代入が複数ある場合は下に書いた代入文によって上書きされます(プログラムを書くときと同じです)。なので、今回の例だと/path/to/badthing
にしかパスが通っていない状態となり、ほとんどのコマンドが環境変数から参照できなくなりました...(これが"/path/to/thing:$PATH"
とかならまだ良かったんですがね...)
$ source ~/.bashrc
-bash: rbenv: command not found
$ vi ~/.bashrc
-bash: vi: command not found
$ ls -a
-bash: ls: command not found
パスが通っていないのなら、絶対パスから参照すればいいんだ! とひらめきコマンドのパスを確認しようとするも...
$ which vi
-bash: which: command not found
( ̄△ ̄;)
解決法
このサーバだけではもう手の打ちようがないので、同じOSのテストサーバで確認しました。
$ which vi
/usr/bin/vi
ということで、vi
の絶対パスは/usr/bin/vi
ということがわかりました。CentOSでもUbuntuでも同じでした。
パスがわかったところで再び問題発生中のサーバに戻りvi
を起動
$ /usr/bin/vi ~/.bashrc
そして、パスを一行にまとめます。
export PATH="/path/to/something:/path/to/anything:/path/to/goodthing:$PATH"
パスは左から順に参照していきますので、たとえばls
の場合、/path/to/something/ls
がなければ/path/to/anything/ls
を調べ、それがなければ/path/to/goodthing/ls
を調べ、それもなければ$PATH
にあるパスを調べていきます。
ちなみにパス一覧は以下のコマンドで確認できます。
$ echo $PATH
/path/to/something:/path/to/anything:/path/to/goodthing:/usr/local/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
また、ホームディレクトリ内のディレクトリをパスに指定したい場合は$HOME
を使用することで$HOME
の箇所がホームディレクトリまでのパスとして認識されます。
# $HOME/.binはホームディレクトリ以下の.binディレクトリを参照する
export PATH="$HOME/.bin:/path/to/something:/path/to/anything:/path/to/goodthing:$PATH"
環境変数を正しく設定できたので再読込しようとします。ところが...
$ source ~/.bashrc
-bash: env: command not found
となり再読込もできませんでした。この場合、source
コマンドは利用できますが、内部的に使用されている(?)env
コマンドのパスが通っていないので実行できませんでした。
どうしたものかと少し悩みましたが、そういえば.bashrc
の中身はsource
コマンドを使わなくてもシェルに再接続すれば新しい設定で読み込まれるので、一旦切断してしまえばいいことに気づきました。
ローカルの場合はシェルの終了、リモートの場合はSSHのコネクションを切断します。いずれにしても
$ exit
として、再びログインすることで.bashrc
の中身が新しく読み込まれます。これで設定が間違っていなければちゃんと元に戻ります。
$ which vi
/usr/bin/vi
$ ls
file1 file2 file3 file4 file5
めでたしめでたし:smile:
結論
繰り返しになりますが、パスは一行にまとめるのがベターです。一行にまとめなくても
export PATH="/path/to/something:/path/to/anything:$PATH"
export PATH="/path/to/anotherthing:$PATH"
となっていれば、2行目の$PATH
は1行目のパスの内容を参照するので、この記事のような問題は発生しませんが、冗長的ですし思わぬところでミスをしてしまう可能性があります。
サイトの説明によっては
$ echo 'export PATH="/path/to/something:$PATH"' >> ~/.bashrc
などと書かれていることがあり(現に自分が他の記事で使っています...)一行でまとめておくのはめんどうかもしれませんが、せめて本番サーバ等ではそうしておくほうが無難かな、と今回の反省を踏まえて感じました。
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