【ゲーム】ノベル部分に欲しい最低限の機能まとめ
はじめに
対象
- ノベルゲームを作ろうとしてる方。
ノベル部分の定義
ノベルゲームの基本的なフォーマットです。
- 画面全体に背景画像が、その手前に立ち絵が表示されている。
- 画面下にメッセージウィンドウが表示されている。
- メッセージウィンドウの右側、上または下の縁にボタン類が表示されている。
またノベルゲームだけでなく、一部のシミュレーションやストーリー付きのRPG、アドベンチャーなどでも、上記のようなシナリオ再生部を含む場合は、その部分を『ノベル部分』と定義します。
ノベル部分に欲しい最低限の機能まとめ
セーブ・ロード
セーブ・ロード機能は尺の長いゲームには備わっているものですが、ことノベルゲームに関しては仕様が特殊です。ノベルゲームは選択肢によってストーリーや結末が変化するマルチエンディングシステムを採用していることがほとんど。いわゆる並行世界の物語を楽しむ遊戯です。
セーブデータはどのルートのいつの選択肢か、特定が可能でなければなりません。しかしこの手のゲームではルートや友好度が違うだけで、絵面も選択肢も全く同じ画面が出てきます。つまりセーブ時のサムネイルだけでは識別ができません。プレイ時間も当てになりません。なので、
- ネタバレでない場合はルート名・イベント名を併記する。
- プレイヤーがコメント・タグを残せるようにする。
など、セーブデータの特定を可能とする付随データがあると親切です。ロード画面から見返した際に分からなくなるようでは不便です。この辺りはもう少し業務アプリを見習いたいです。上記以外にも検索やフォルダ分けができれば利便性は上がりそうなものですが。
スマホゲームだと必然的にオートセーブになります。この場合はプレイを完了したところから再開できれば問題ないです。未読を残したままアプリが強制終了した際、次のイベントから始まるアプリがあるとは思いませんでした。後述するアルバム機能もなしだと打つ手がないです。
セーブ・ロード機能は、バグらない・勝手に消えない・間違って上書きしないなど、絶対的な安全と信頼がまず第一です。
クイックセーブ・クイックロード
PCゲームでお馴染みの一時的なセーブ・ロード機能です。ボタン類の中に「Q.SAVE」「Q.LOAD」ボタンが配置されていて、推すと瞬時に保存・読込されます。
なくても問題ありませんが、あった方が楽です。特に攻略サイトを見ない派は、片っ端から選択肢やパラメーターを試していくので、よく使う機能だと思います。セーブ・ロード機能のデータにゴミが溜まらないため、必要なセーブデータだけ残せるメリットもあります。
この機能の唯一の欠点は、どこでセーブしたかまで表示してくれるシステムが少ないことでしょうか。ロード確認画面にスクリーンショットなどが表示されるものは少ないです。
またクイックセーブ時に確認画面を挟むかどうかは設定で選べた方が親切かなとは考えています。機能の存在意義としては間にワンクリック挟みたくないですが、間違ってクリックしたら戻ってくるのが大変です。つまりプレイする人によるのではないかと。
既読スキップ
既に読んだことのあるシナリオを読み飛ばす機能です。未読の部分になると既読スキップが無効にされ、通常の再生が開始されます。設定画面で動作を変更できるものもあります。リセマラ前提なら既読でなくてもスキップできるとプレイヤー体験は向上するでしょう。
既読スキップ機能は必須です。最重要機能と言っても過言ではないかもしれません。残念なことに、その質はゲームにより様々であり、中には不完全なものもあります。
例えばムービーの前後や物語上の区切りで、スキップ機能が中断されることがあります。これはプレイヤーの期待している動きとは異なります。また立ち絵や背景の変更アニメーション、音声が普通に再生されるといったケースもあります。
突然次のシーンまで飛ぶものもありましたが、この瞬間移動は多くの場合、話の流れが読めなくなるので避けた方が無難です。実装するなら高速再生するか瞬間移動するかは、プレイヤーが設定画面から選択できるようにし、デフォルト値を高速再生としたいところ。
また別ルートの全く同じシナリオがスキップできないこともあります。確かに微々たる差分が含まれることはあるのですが、ほぼ全部同じなのにスキップができない。その些細な変化を見逃すまいと既に見たシナリオを流して待つのはじれったいです。
いずれにしてもスキップ機能を実装するからには、中途半端はなるべく避けた方が快適です。『スキップ機能』と銘打っている以上は、プレイヤーが想定するスキップを提供してください。
オート
シナリオを自動で読み進める機能です。
設定画面から文字表示速度、次の文章までの間隔を調整できるものもあります。特に地の文を読む速度は人それぞれなので、少なくともこの2点は調整できるようにしたいところ。遅いならまだしも、早いと結局使えません。
必要度はゲームの中でノベル部分が占める割合によると思われます。大半が戦闘画面やマップ移動のRPG等なら不要かもしれませんが、大半が文章を読むスタイルの恋愛シュミレーションでは、オート機能がないのは辛いです。
スキップ機能とオート機能の併用ができるとなお嬉しいです。たまに未読部分でオートになった後や選択肢後、既読部分になったらスキップ機能が復活しないものがあります。これも中途半端の一つなので、なるべくなくして欲しいです。
バックログ
直前のメッセージを見直す機能です。ボイス付きの場合は各メッセージログに再生ボタンが付いており、何回でも聞き直せるものがあります。絶対に必要という訳ではありませんが、あると誤操作時のリカバリーができます。
地の文を読み終わる前に飛ばしてしまいがちな方にも安心です。また誤って何らかの操作をしてしまい、ボイスが途切れてしまったとき絶望しなくて済みます。また推理ゲームやアドベンチャーでは、ヒントとなるログを読み返すのにとても便利です。
この機能がなくても、コンシューマーゲームであればセーブ時点から再プレイが可能です。しかしスマホゲームでアルバム機能が付いていないと代替手段が存在しません。操作を誤った自分が悪いのですが、悲しみのやり場がなくてモチベが下がります。
アルバム
『Extra』『おまけ』など呼び方は様々ですが、ゲーム中のムービー・スチル・BGM・シナリオなどを見返すことができる機能です。これをコンプリートするのが好きな方も多いでしょう。ゲームをプレイする目的か、あるいはミッションと化している方も少なくない筈です。
実はセーブやスキップ、メッセージウィンドウの非表示など、他の機能が充実していれば担保できる機能ではあります。
しかし直ぐに見たいシーンのセーブデータを用意したり、わざわざ見たいスチルのある場面に飛ぶためだけに、既読スキップやオートなどの操作をすることは、プレイヤーにとって面倒でしかありません。目的が違います。
プレイヤーの満足度を上げるためにも、是非とも用意しておいて欲しい機能です。
音量調節
BGM・効果音・ボイスの音量を調節する機能です。恋愛シミュレーションだと主要キャラクターの声を再生するかどうか、その音量をどの程度にするかも設定できるようになってます。
キャラクターによって音量差が激しい時は必要性を感じますが、そもそも最初から調整しておけば気にならない筈なんですよね。映画やアニメではできない・やってないことですし。動画編集でBGMと声のバランス調整は基本なので。
好みの問題があるので人によってはないと困る機能だと思いますが、この機能に頼る前にできることは尽くして欲しいと思います。
おわりに
一時期ノベルゲームにかなりハマっておりました。フリーゲームサイトを漁り、商業・同人問わず面白そうなものには手を出し、最後にはノベルゲームのエンジンまで触ってました。
だからといって、仕事になったり自分で何か出したりするところまではいかなかったのですが。若気の至りでそこそこの量はこなしたんでないかと自称しております。
この記事の執筆動機ですが……気に入りのアニメのコンシューマゲーや、そこそこ名の通った会社が出したスマホゲーのシステムがクソすぎていたたまれなかったからです。スキップの融通が利かないとか、セーブのタイミングがおかしくて再生機能もないとか。
素直にノベルゲームのエンジンを使った方がマシ、というか知見が集結されているのでせめて作る前に歴史に学べと。その時間がないならせめて、まとめた記事を置いておくから読んでくれと。
プログラム的に無理なのか、発想がなかったのかは分かりませんが。もはや必需品とも呼べる機能がないばかりにクソゲー認定されるのは、ノベルゲーム好きとして忍びないです。
そういったフラストレーションの塊みたいなのから生まれた記事がこれです。プレイヤーの方々も色々思うところがあると思いますし、開発者の方々も言いたいことはあると思いますが、どうかお納めください。
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