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最近話題のDeFiプロジェクト Chicken Bonds入門

jhcoder2022/12/23に公開

DeFiの界隈においての最近のトレンドはいくつかありますが、その中でも

  • POL(Protocol Owned Liquidity)のブートストラップにおける技術革新。
  • NFTの活用。

この2つの領域のプロトコルは度々話題になりますが、今回は前々からの話題であったこの2つのが組み合わさったChicken Bondsというものがリリースされ、注目されています。このChicken Bondsはどういったものなのか、特徴や仕組みについてまとめてみました。

Chicken Bondsとは

Chicken Bondsは債券の一種と考えて大丈夫です。レンディングプロトコルとして知られるLiquity(後述)を元にした仮想通貨の取引を行うことのできるシステムです。
Liquityのフロントエンドを通じて、ユーザーはLuquityが発行しているステーブルコインであるLUSDを入金して債券のポジションを作り、収益を得ることができます。そしてそのポジションによって独自のNFTを発行するという仕組みを持っています。(こちらも後述)

Chicken Bondsの特徴を説明する前に深く関係しているLiquityについて先に紹介したいと思います。

Liquityとは

LiquityはEthereumブロックチェーン上で動作している、MakerDAOのように暗号資産を預けることでステーブルコインを借りることのできる分散型の借入プロトコルの一つです。担保としてEthereum(ETH)を使って0%の利息ローンを利用してLUSDを借り入れることのできる DeFi[1]の1つです。

Liquityの特徴として

  • 0%の金利
  • 最低担保率が110%
  • 完全に分散化したプロトコル

といった点が挙げられます。それぞれ見ていきましょう。
Liquityでは、担保なしでステーブルコインを借りることを受けることができ、また金利が0%であることが特徴です。また、最低担保率が110%であることも特徴と言えます。これは、Liquityでは、借り手が担保なしでステーブルコインを借りることができるようにするために、借り手が提供する担保の額が、借りたい金額よりも少し多くなければならないということを意味します。これにより、Liquityは、借り手が担保なしでステーブルコインを借りることができるようにするのと同時に、融資リスクを軽減することができます。
さらに、分散化したプロトコルである点も特徴的です。分散化とは、データを複数のノード(コンピューター)に分散することを指し、Liquityは、Ethereumブロックチェーン上にあるため、データが複数のノードに分散されています。これにより、Liquityは、セキュリティー面でも堅牢であると言えます。

Chicken BondsはこのLiquityの派生プロジェクトと言える立ち位置です。

Chicken Bondsの特徴

Ethereumブロックチェーン上で動作している

Chicken BondsはLiquity同様にEthereumブロックチェーン上で動作している分散型借入プロトコルという特徴があります。Ethereum上で動作しているということはEthereumの抱えている問題もそのまま享受してしまいます。いくつか挙げるとするならば、Ethereum Network自体の通信速度の遅さやガス代の高さといったデメリットがあります。また価格面でもEthereumの影響を受けてしまうのでそこも注意が必要なところかもしれません。また、リスク面で見ると、 Chicken BondsはLiquityのベースになっており、LiquityはEthereum上で動作するのでEthereumに依存したDeFiということになります。なのでCPリスク(カウンターパーティリスク[2])は発生してしまうのでこちらについて認識はしておく必要はあります。

Liquityがベースとなっている

前述したようにLiquityを元にしていため勿論土台はLiquityです。LiquityはChicken Bondsの収益の大部分を占めています。つまり、Chicken Bondsを利用することで得られる収益はLiquityで発生した収益から獲得しています。ですが、預け入れられたLUSDは、Yearn Finance[3]を経由してCurveのLUSDプールでも運用されているとのことですので、LiquityとYearnが土台になっているみたいですね。

利回りを増加させる

このChicken Bondsという債券には満期はありません。bLUSD(Boosted LUSD)という形で時間とともに利回りが発生する仕組みを持っています。その上でホルダーはLUSDを放棄してbLUSDを受け取ったり、またはbLUSDを放棄して、LUSDを取得することもできます。それぞれを説明すると、

  • Chicken In: 最初に債券を発行したLUSDを放棄する代わりに発生したbLUSDを受け取る
  • Chicken Out: 債券を解約して最初のLUSDを取り戻し、蓄積されたbLUSDを放棄する

とChicken Bondsでは定義されています。

このようにすることで、Chicken Bondsは、ホルダーにLUSDの利回りを上げる機会を提供し、同時にLiquityのために追加のプロトコル所有の流動性を取得することができるようにしています。

要はLiqityの派生として始まったChicken BondsはLiquityで発行されるLUSDがより多くのユーザーに利用されることが目的となります。bLUSDに需要を発生させ、bLUSDの担保となるLUSDにも価値を発生させるという流れです。そのためこれらのChicken Bondsの持つ仕組みはLUSDの利用範囲をより広げるに狙いを置いています。

こう見るとユーザー(ホルダー)に旨みあるんか?となりますが、この仕組みでより流動的になり、債権を発行する人、額が増えればその債権をもつユーザーにメリットはありますよね。

独自NFTを発行する

前述したようにChicken Bondsを用いて、ユーザーはLuquityが発行しているステーブルコインであるLUSDを入金して債券のポジションを作り、収益を得て、そのポジションによって独自のNFTを発行することができます。

その独自に発行されるNFTは以下のような可愛い見た目になっています。

最初、NFTの見た目は「卵」ですが、Chicken Inして一定期間預け、その後報酬を請求することで「鶏」の見た目に変わります。逆にChicken Outし、LUSDを取得すると「ひよこ」の見た目にNFTは変化します。勿論他のNFT同様にChicken Bondsで発行されるNFTにもレアリティが設定されています。プロトコルに預け入れるLUSDがが多いほどレアリティの高いNFTが発行されます。

コレクション寄りの話をしましたが、このNFT発行の最も重要なはNFTが預かり証として機能し、NFTに価値を持たせることにも成功しているという点です。取り扱いのあるNFTマーケットでは売買することが可能ですので、Chicken Bondsを使っていないユーザーでもこのNFTを買い、債券を保有することが可能です。現在、取引可能なマーケットプレイスは

  • LooksRare
  • X2Y2

などです。

Chicken Bondsの仕組み

冒頭にあったPOL(Protocol Owned Liquidity)のブートストラップにおける技術革新についてです。

そもそもPOLとは?

Protocol Owned Liquidity(プロトコル所有流動性)とは、ブロックチェーンのプロトコルが所有する、あるアセットと他のアセットの間の流動性のことを指します。POLは、あるプロトコルが所有する流動性を、複数のマーケットで共有することができます。分散型金融(DeFi)のアプリケーションやサービスを構築する際に、POLを利用し、流動性が異なるマーケット間でのアセットのやり取りがよりスムーズになることで、取引手数料が低減されることが期待されます。

Chicken Bondsのシステムについて見ていきましょう。

2つの収益源から収益を得る

収益源のことをプールと言います。Chicken Bondsは2つのプール、2つの外部の収益源を持っています。Chicken Bondsが収益源にしているのは前述したChicken Bondsの土台となっているそのものです。つまり、

  • Liquityの安定性の高いStable LUSDプール
  • Yearnでのややリスク高めなCurve LUSDプール

です。
最近のDeFiプロトコルでは見かけるようになった安定性の高いプールで堅実に利益を出し、もう片方でリスクと利益を高めたもう一つのプールで利益を増やすといった戦略を採用しています。

この戦略を採用すると、

ある程度実績のあるDeFiプロトコルでの運用を代行することで、巨額の資本を持たない投資家に対しても参加のハードルを下げることができる

というメリットがあるそうです。

資産管理を3つのバケットで行っている

3つのバケットは、プロトコル内部での資産管理システムを意味します。Chicken Bondsシステムに預けられたLUSDは、3つのバケットに分類されます。
バケットは

  • Pending: 入金されたLUSDを保持し、それを振りわける
  • Reserve(POL): Chicken Inをし、トークンの一部と利回りを取得する
  • Permanent(POL): 残りのトークンを受け取り、後は保管する

に分かれています。この三つのバケットがうまく機能することでプロトコルは時間をかけて流動性を獲得し、その一部を恒久的に取り込むことで、コストをかけずにPOLを起動させることができます。

多くのDeFiプロトコルが直面してきたトークンの流動性をいかに効率的に拡大するかという問題をChicken Bondsの活用で実証された、ブーストされたトークンが提供する増幅された利回り機会によって解決し、プロトコル所有のLUSDの流動性を促進しています。

感想

前々から気になっていたChicken Bondsについてまとめてみて改めて色々と勉強になったのでよかったです。そしてLiquityがChicken Bondsで行ったことは、DeFiイノベーションの一つだとも思いましたし、こういったブロックチェーン技術が発展し、より多くの人々が使いやすい、参入しやすいプロジェクトが多く生まれると良いなと思います。

References

https://www.chickenbonds.org
https://docsend.com/view/dakurpcuv3259bnx
https://docs.chickenbonds.org/
https://twitter.com/ChickenBonds
https://www.liquity.org/
https://medium.com/iearn
https://yodakaart.tech/?p=12736
https://yodakaart.tech/?p=11571
https://frogsanon.neworder.network/articles/liquity-a-chicken-bonds-primer
https://hedge.guide/feature/counterparty-risk-in-crypto-bc202103.html

no plan株式会社について

脚注
  1. DeFi(decentralized finance、ディーファイ、分散型金融)は、金融の実験的形態のひとつであり、それは仲買人、取引所、銀行といった中央集権的な金融仲介者に頼らず、ブロックチェーン上のスマート・コントラクトを利用します。 ↩︎

  2. カウンターパーティリスクとは、金融機関から契約が履行されない等のリスクを指す意味。ブロックチェーンにおけるカウンターパーティリスクは少し意味合いが変わります。暗号資産業界ではそもそも規制から外れた取引所を使う事が多くハッキング等による顧客資産喪失事件も多い事から、預けた資金が引き出せなくなる、もしくは無価値化すると言った様なもう少し広いニュアンスで使われます。 ↩︎

  3. Yearn Financeとはイールドアグリゲータ:利回り収集、イールドオプティマイザ: 利回り最適化と一般的に言われるプロジェクトの一種でユーザーの資金を一括管理してDeFiの運用利回りを最適化することを目的としたサービスです。つまりこのサービスは利用ユーザーにYearnに資金を預けもらい、Yearnがその資産の運用を代行し、それによって発生した報酬の一部をユーザーへ還元するといったものです。 ↩︎

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