高度演算処理を必要とするPCを10万以内で自作する方法
突如、高度演算機が必要になった貴方へ
自分は、YoctLinuxを開発する機会があり、開発の仕方が分からず、何度もYoctoをコンパイルし、そして何時間たった後にエラーを見つけるといった開発を繰り返していました。
順調に開発を進めていくと、Yoctoコンパイル時に熱が凄いなぁと思っていましたが
突然(sshで繋がっていながら)応答が無くなり、起動もしなくなりました。
Intel製のNUC で開発していたのですが、ファンが小さく脆弱だったせいで、マザーボードの物理破壊が発生!!😢
そんな経験から、予算10万でYoctoLinuxがコンパイル出来る(後ついでにAIも試せる)デスクトップPCを組んでみようと思いました。
選んだ構成
YoctLinuxは、Cソースを大量にビルドします。
1個のビルドは1コアで行われます。
その為、分散ビルドがありますが、コア数によって性能が変ります。
より多くのコアが高速で動く事が期待されます。
項目 | 型番 | 値段(税抜き) | 購入リンク |
---|---|---|---|
CPU | AMD CPU Ryzen 5 8600G | 29,982円 | Amazon |
メモリ | DDR5-5200 32GB×2枚 | 19,709円 | Amazon |
マザボ | ASUS ProArt B650-Creator | 33,164円 | Amazon |
SSD | KIOXIA SSD 1TB NVMe M.2 Type 2280 | 8,982円 | Amazon |
電源 | MAG A850GL PCIE5 | 12,222円 | Amazon |
合計 | 104,059円 |
※あぁ!少しはみ出す!メモリ32GBで良いと思う。自分はSSDが壊れたPCからの持ち出しなので納まった感。電源も外部GPU要らないので下げても良かったかも。お許しを
Ryzen 5 8600Gは、6コア12スレッドでGPU内蔵のZen4世代のCPUです。
既にAIを意識した構成で、AM5のマザボで使用できます。
10万以内に収めるために、外部のGPU(RTX等)を買うのが難しく、8600GにはAMD Radeon™ 760Mが入っており、これがソコソコなスペックらしい(ゲームベンチマークだと60Hzだと妥当らしい)
今回はYoctoコンパイル向けなので、ゲーミング性能は無視していきます。
(でもAIでGPU使いたいし、ディスプレイにも表示したいじゃんって事で内蔵GPUにしてます)
あれ?ケースが無くね?
そうです、前回、NUCで熱による物理故障を経験したので、そんじょそこらのケースじゃ満足しません。
って事で、自作ケースぅぅぅ~!!!!
ミスミのアルミフレームと、ミスミのmeviyで自作板を設計して注文して、組み立てました。
最高ぅぅぅ!!(設計記事はまたどこかでまとめる予定)
USBでUbuntuを入れていきます
え?Windowsを入れたかった?あんた自宅にWindows幾つ持つつもりなの??
メインPCに1つ、ノートPCに1つ、これでWindowsのライセンスが完了しちゃうので、
当然サブPCはUbuntuですよね、えぇ、そうですよね。
また、YoctoはUbuntuでコンパイルするのが一番良さそうなので、Ubuntuで進めてます。
取りあえずUbuntuが立ち上がったら、メインPCからsshでログインします。
12コア(論理は6コア)の響きぃぃぃ!
btopと言うコマンドでCPUの状況が調べられるコマンドがあったので、とても気に入ってます。
早速、YoctoLinuxのbitbakeを行ってみます。
GUI無しでクロスコンパイル(ターゲットCPUがARMコア)を行ってみました!
うぉぉぉぉ!!!真っ赤だ!最新のCPUがフル稼働になってるの、本当に初めて見ました!
温度も上限96℃に達してて、CPU付属のファンだと少し心もとないかもなって思いました!
(CPUは温度によってクロックを下げるコントロールがあるとの噂なのでこのままでも問題無い説)
この状態で、Yoctoのコンパイルは数時間かかります。
前のIntel NUCは(Intel Core i5-1135G7 )で、4コア8スレッドで、今回6コア12スレッドになり、DDR4からDDR5になり、高性能化しました。
その為、YoctoLinuxのビルドを同じ条件で行うと
5時間30分 -> 2時間30分 と大幅な速度向上を行っていました!
これで、快適なYoctoLinuxが出来ます!!
※資金があれば、同じ構成を2台分作って、クラスターを組んでも試してみたいです。
AIにも使えそう?
YoctoLinuxの為に、高度演算処理向けの構成で組んだのですが、YoctoLinuxはコンパイルを一度行うともう触る作業が無いので、CPU0%のまま放置されます(基本PCは終了させない派)
その為、勿体ないので何か良い方法ないかと思って、AIにも挑戦してみました。
丁度、今流行の gpt-oss 20b と 120bがあり、それを試してみました。
20b が軽量版、120bが高負荷版
120bも普通に出力されました(えぇ?!)
120bになると、論理展開でメモリを喰うとの話があったんですが、何とメインメモリ上に展開されたみたいです!!
メインメモリに展開されるって事は・・・メインメモリ増やせばいいのでは??(128GB計画?)
20b は少し遅延があるけど日本語応対が出来て普通に凄いです。
llama3 は物凄く快適です。オススメの一つになりました。
※どうやら120bは、64GBのメモリが必要との事で、120bを試したい方はメモリモリモリで
10万なら試しても良いかもな高度演算処理!!
流石に自作ケースまではオススメしませんので、別途購入して何とか10万に収まると思います。
そんで、YoctoLinuxで自作ディストリビューションを作るもよし!
自分みたいに自作組込みLinuxを楽しむのもよし!
ローカルLLMで試してみるのもよし!
ケースまで自作して何かの機器に組み込むことを考えてるのもよし!
そんな感じで、10万で結構たのしめるサブPCが組めたので、超オススメです!
それでは!
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北神雄太 kitagami(at)artifactnoise.com
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