家庭教育(プログラミング)に取り組んだ体験から後進育成(IT教育)と採用・被採用について思ったこと
お詫び
Qiitaの元記事にて、区切り線を「---」で書いている場所があり、これがZennの記法に干渉して一部うまく表示できない記事がある事を認識しています。
全ての記事を精査しきれていないため、お手数ですがお見かけの際は教えていただけると大変喜びます。
注意
※ポエムです
※来年は第一線に戻ろうと思っている元エンジニア講師の私個人の感想です
※会社や環境が変われば、真逆のご意見もあるかと思います
想定読者
- プログラミングスクールに入ろうと考えている方
- 転職希望のエンジニアの方
- 現場採用ご担当者
言いたいこと
IT教育でもプログラミング・アルゴリズム以外でもある程度は就職・転職スキルを会社ごとにカスタマイズ(≒最適化)するべき。
本稿執筆に向けてやったこと
- 機会あって親戚(文系・プログラミング未経験・社会人)をエンジニア研修
本人からは喜ばれましたが、はたしてエンジニア採用に受かったのかどうか…。
今後の動向を注視していますが、今後も報告できる事はないかもしれません。
現状の問題
就活においてエンジニアの採用ミスマッチの問題が、そのままスクール事業社の考えるエンジニア像と、エンジニアリング事業社の求めるエンジニア像のミスマッチになっています。
そのため、スクール事業社はコースを手広くやるより、ニッチに尖らせた方が質が高くなりやすい傾向があります。
これは、案件ごとに特化した指導ができた方がプロジェクトに参画しやすくなるのは自明ですが、他の案件も見据えた「現場主義」が意識されているかどうかの問題とも言えます。
具体例
新卒研修の例を考えます。
事業者が指導しているオープンスクールは、個別具体のケースには対応せず、一般的に技術とはこういうものです、と指導するのが主なアプローチです。
これを、企業ごとに重視している内容にフォーカスすると、実務で採用しているケースを交えて、より身近なものとして意識を促しやすいため、受講生目線での「講義での重要なポイント」を推測しやすくなります。
特にプログラミング等実技研修より概論(手を動かさないでサーバーの話やチーム開発理論など)の学習効果が高くなる傾向が見られました。
(残念ながらソースは出せないですが、私が見てきた受講生の座学テストデータや、テストで間違えた点を復習する時の受講生コメントなどによります)
就職・転職希望者の対策
これからエンジニアを目指したいなら、とりあえずで入るプログラミングスクールよりも、エンジニア人材派遣事業社が推進している教育機関や事業を狙うほうがよいです。
そもそも、仕事をするためにお金を払ってスクールに行くのではなく、既に持っているスキルをより高めるために投資した方が費用対効果やリスク面でメリットが大きいので、プログラミングスクールに行く前に未経験でエンジニア採用を探した方が良いですね。
とはいえ、かなりハードルは高いです。一昔前ならともかく、今はプログラミングスクールもピンキリですし、人事(現場)によっては最初から戦力だと考えていない事もあります。
これらを踏まえるとぶっちゃけ、一次面接は現場をご存知でない方が出てくるのでエンジニアリングスキルより演技力を磨いた方がいい。
また、二次面接は自分よりも上位スキルを持った人間が出てくるので、自分よりエンジニアリングスキルが高い事を意識して話す内容を考えた方が有意義でしょう。
なお、採用担当(人事)とは面接のプロではない人なので、相手のコミュニケーションスキルが低い事があります。
採用者のプレゼンスキルによっては、代わりに自分がその場を仕切るつもりで臨んだ方がうまくいく事があります。
採用事業社の対策
まずは採用側の観点で見ていきます。
だいたい三次面接までされると思いますが、採用の悩みとして多い
- 書類と一次選考のコスト
- 応募者のスキルや条件面
- 社風に合うか合わないか
の3つをどうやって見定めるか、という観点で見ていきましょう。
書類選考のポイント
正直、このタイミングでは応募者がどういう人間か見定めるのはほぼ不可能です。
なので、書類で選ぶというよりは求人の出し方が正しかったかどうかを、書類選考の過程で見直した方が良い事が多いです。
応募が多い場合は選考コストばかりをかけてムダになり、応募が少ないと条件面以外にも求人の出し方が分かりにくいので応募者に避けられてしまっている可能性もありえます。
こういう状況を踏まえると、書類選考する必要がないと思ってもらえるように書類を送付する前・後ぐらいのタイミングで核心をつく質問を4つぐらい投げてみて、人事の動向を窺うという方法を取らせてもらってます。
エージェントが入っている場合は、エージェントを介していますが、経歴書類を求人に合わせて最適化していく方法もあります。
要は、書類選考後の選考フロー云々だとタイミングによっては選考すらしない事があるため(怖いことに実話です。どことは言えないですが)、選考以外の方法で印象を持たせる必要性を感じています。
一次面接
ここで重視すべきは「応募者のスキルを見極める」のではなく「応募者を一人の営業マンとして見た時に信用できるかどうか」という観点であることを、面接前に応募者に伝えておくことです。
腹の探り合いみたいな面接に意味はないので、求人を出した募集背景や求める人材かどうかの擦り合わせ・共通認識が取れているかどうかの確認に努めるべきです。
とはいえ、応募者はうまい事やってくるので、人事サイド(非現場)としては条件面でのミスマッチになっていないかどうかだけ見定めて、後は現場に投げてしまうのも一つの方法です。
応募者の立場から言えば、ここでやるべきは準備体操のような面談(面接)です。
条件の擦り合わせの場と割り切って、自分の認識している内容と求人に食い違いがないか確認する場としてとどめておきましょう。
これでダメなら「社風に合わない」が大体のお断り理由です。こればかりはどうにもならないので諦めて次を求めましょう。
二次面接
目的は往々にして応募者のスキルを測る事にあるが、覚えているかどうかを測る筆記テストよりは現場レベルでの課題や問題を応募者に提示し、どのように解決を見出すのか見定めるのがベターです。
おそらく、リーダークラスの方が出られる事が多いはずなので、現在のチームに応募者が加わるとどういう変化が起こるのか、想像はできるかと思います。
また、未経験者が現場でやっていけるかどうかを現状のスキルで測るのはあまり良い方法ではない事をご存知のはずなので、応募者が回答に困るようであれば情報を追加していくと設問自体の不足に気付いていけるはずです。
なお、企業スパイを警戒される方はここでは取り上げない事にします。話がややこしくなるためです。
応募者としては、自身のスキルや方針など考え方と、既存のチームの問題点をヒアリングしてみて、解決可能かどうかをテーマに意見交換してみましょう。
思った以上に上手くいくと思います。
三次面接
会社ごとに大事にしている事柄があると思うので、そちらを受講者とのすり合わせにしていただくと良いです。
ただし、応募者は間違いなく演技をしているので、会社からの要望を伝えて認識合わせをする場としてしまう手もあります。
この時、率直に感想と解決策を求めてみてください。この回答が腑に落ちれば、採用後のリスクを抑えやすくなると思います。
応募者側の話になりますが、ここまでに嘘をつくメリットがあまりないんですよね。
というのも、採用がゴールではないからです。採用後にチームとしてやっていけるか?という観点で見ると、二次面接の段階から忌憚のない意見をぶつけていっていいと思います。
面接だと思うと萎縮してしまうかもしれませんが、採用されて社内的に立場が決定するまでは会社を超えて対等な関係であるはずです。
「採用していただく」という受け身の姿勢ではなく「この会社で活躍の場はあるのか?」という攻めの姿勢で臨んでください。
スクール事業社の対策
派遣登録者を有料で斡旋するスクール事業をやる手がありそうです。
あるいは、専属の教育を施す委託業社と契約する(登録スタッフを教育事業社に送るなど)方法で、他のエンジニア派遣業社と差別化していけそうです。
toCだけど、toBのメリットや要素、営業を入れていくと講師はともかく、目的が明確になった分カリキュラムのクオリティを上げていけるはずです。
やったこと
結論に至るまでに私がなぜこのように考えるに至ったかを示していきます。
- toC事業社
- 会議式講演型:ティーチング・コーチング
- オンライン1on1型:コーチング(一部ティーチング)
- toB事業社
- 会議式講演型:ティーチング
- オンライン講演型:ティーチング
- オンライン1on1型:コーチング
定義:ティーチング・コーチング
人によって定義が曖昧なので、ここでは
- ティーチング:聞き手が知らない事を教える(教科書やカリキュラムページ)
- コーチング:聞き手がやりたい事を導く(質疑応答、自主制作)
としておきます。
(本当はもっと細かいのですが、話がややこしくなるのでざっくりと上記にしました)
結論の根拠
まず、toBとtoCの教育事業で受講者のスキルに明確な差が出ました。
資料を提示できないのが悔しいですが、私感で平均値あるいは中央値を取ってみてもtoBの受講者の方が質が高くなります。
ただし、toBはだいたい1〜3ヶ月、toCは長くて1年近く学べるので、個人の納得度(仕上がりの良さとは連動していません)が高いのはスクールです。
そもそも、研修後にすぐ業務で活かしていくtoB受講者と、これから転職活動をしていくtoC受講者ではモチベーションが違うので仕方がないのかも知れません。
根拠から考える、就職・転職として最良の方法
転職するためにスクールに入るぐらいなら、まずは転職を成功してからスクールで学びましょう。
元採用担当者という立場で見ると、プログラミングスクールで学んだ方と未経験の方は同じテーブルで考えます。
これはなぜかというと、プログラミングスクール出身者はプログラミングが好きでスクールに入ったわけではないからです。
信用できないスクールが指導したために入社希望の方に変な手垢がついてしまっていた分、プログラミングスクール出身者の方は取りにくいです。
また、変な野心を持っている[1]ことが多いので、だいたい1年ぐらい勤めたら独立されてしまう(企業としてペイできない)ので、警戒心も当然高まります。
プログラミングスクールにお金を払って行ったのに、何もしていない人と比べて不利になるぐらいなら、最初から未経験として、会社に入ってからやりたい事を伝えた方がまだマシです。
長く就活を続けると内定を取るのが目的になりますが、自分と合っていない会社に無理やり入っても楽しくないので、あなたが「この会社は合ってないな」と思ったらお祈りした方がお互いにとって良いと思います。
根拠から考える、採用・教育として最良の方法
研修内容は可能な限り現場レビューをいれるようにしましょう。
(とはいえ、大体の企業様は外部企業を入れるような大掛かりな研修をやらない or OJTの現場主義を採用される事がほとんどですので、外部企業をいれたケースを想定しています)
まずそもそも、何のために研修をしているのかを伝えないと学習効果が薄まります。
講師が指導できるのはあくまで「カリキュラムを修了したら今とどう違っているのか」想像してもらうことだけです。
たとえば「IT基礎理論」という講演があり、受講者に取り組んでもらう前に「IT基礎理論を理解すると◯◯が理解できるようになります」という話をします。
が、これは「◯◯を理解しても何の役に立つんですか?」というイメージを沸かせる事はできません。
従って、事前に「研修が終わったらこういう事をやってもらいます」という話を入社後〜研修前に受講者の方にお伝えいただけないと、講演する側にもゴールが見えず、何を指導すれば良いか分からなくなります。
ケーススタディ
ちょっとイメージが難しい話なので例を挙げます。
- 教育事業社にほぼ丸投げ
- 人事の強い拘りによる指導方針を求める
の2つを見ていきます。
それぞれ対照的なケースを取り上げます。
大体の場合、まずは営業と教育事業マネージャーが入って研修方針を固めます。
が、この場には新卒者(受講者)と講師(実務担当)はほぼ介在しないです。
この時に絶対に議論できないのが、
- どういった講師がいるのか
- 何を教えるのに特化した講師なのか
- 講師はどんな指導スタイルが得意なのか
- 社風を理解しているのか
- どういった受講者がいるのか
- 受講者数
- 受講者の来歴
- 受講者間の相関
の二点です。
まず講師について触れますと、講師によって得意とする講義スタイルは微妙に異なります。
この辺りは塾や予備校、家庭教師を想像してもらえれば分かりやすいです。
そして、残念ながらITスクールの講師はプロパーでも教える側の専門家ではない(教育者ではない)事が考慮されていません。
講師側は研修なので画一的に指導しますが、当然ながら受講者との信頼関係が大きく影響しますので、人間的に合う・合わないは社会人でも出てきてしまいます。
思った以上に長くなったんで、個人がやるべき・できる事については別記事で扱います。
## 注釈
次の記事
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【スクール卒業生が持つ変な野心】個人としてみると、目標があるのは立派なことだと思います。ただし、採用サイドからすると会社利益にならない個人の野心は非常に扱いにくいのです。 ↩︎
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