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圏論 原著第2版の練習問題を解いてみる(1章-3)

2025/01/17に公開

圏論 原著第2版の練習問題を解いてみます。

1章-3(a)

以下の内容で \text{Sets} において同型は全単射に一致することを示す。

1. 同型ならば全単射である

\text{Sets} において、 f: A \to B が同型射であるとする。

1.1. 全射であること

任意の b \in B に対して、 f(f^{-1}(b)) = b となる f^{-1}(b) \in A が存在するため、 f は全射である。

1.2. 単射であること

f(a_1) = f(a_2) のとき、 f^{-1}(f(a_1)) = f^{-1}(f(a_2)) となる。

また f^{-1}(f(a_1)) = a_1f^{-1}(f(a_2)) = a_2 より、 a_1 = a_2 となるため、 f は単射である。

1.1. と 1.2. より、 f は全単射である。

2. 全単射ならば同型である

f: A \to B が全単射であるとする。

全単射の性質から、任意の b \in B に対して、唯一の a \in A が存在して f(a) = b を満たす。

この性質を用いて g: B \to Ag(b) = a \iff f(a) = b と定義する。

2.1. g \circ f = \text{id}_A

g(f(a)) = a となるため、 g \circ f = \text{id}_A が成り立つ。

2.2. f \circ g = \text{id}_B

f(g(b)) = b となるため、 f \circ g = \text{id}_B が成り立つ。

2.1. と 2.2. より、 g \circ f = \text{id}_Af \circ g = \text{id}_B が成り立つため、 gf の逆射である。よって f は同型射である。

3. 結論

  1. と 2. より、 \text{Sets} において、 同型射は全単射に一致する。

1章-3(b)

以下の内容で \text{Monoids} において同型は全単射な準同型写像に一致することを示す。

1. 同型ならば全単射な準同型写像である

\text{Monoids} において、 f: M \to N が同型射であるとする。

f は集合間の写像であり、全単射であることは3(a)で示した。

2. 全単射な準同型写像ならば同型である

f: M \to N が全単射な準同型写像であるとする。

3(a) と同様に、 g: N \to Mg(n) = m \iff f(m) = n と定義する。

また、 M の単位元を e_MN の単位元を e_N とする。

2.1. g \circ f = \text{id}_M

g(f(m)) = m となるため、 g \circ f = \text{id}_M が成り立つ。

2.2. f \circ g = \text{id}_N

f(g(n)) = n となるため、 f \circ g = \text{id}_N が成り立つ。

2.3. g は準同型写像である

任意の n_1, n_2 \in N に対して、 n_1 = f(m_1) , n_2 = f(m_2) とすると、

g(n_1 \cdot_N n_2) = g(f(m_1) \cdot_N f(m_2)) = g(f(m_1 \cdot_M m_2)) = m_1 \cdot_M m_2 = g(n_1) \cdot_M g(n_2)

となる。

また、g(e_N) = g(f(e_M)) = e_M であるため、 g は準同型写像である。

2.1. と 2.2. と 2.3. より、 gf の逆射である。よって f は同型射である。

3. 結論

  1. と 2. より、 \text{Monoids} において、 同型射は全単射な準同型写像に一致する。

1章-3(c)

以下の内容で \text{Posets} において全単射な準同型写像が同型射ではない例を示す。

Poset の定義

Poset PQ を以下のように定義する。

\begin{aligned} P &= \{a, b, c\}, a \leq b, a \leq c \\ Q &= \{x, y, z\}, x \leq y, x \leq z, y \leq z \end{aligned}

写像 f: P \to Q の定義

写像 f: P \to Q を以下のように定義する。

\begin{aligned} f(a) &= x \\ f(b) &= y \\ f(c) &= z \end{aligned}

写像 f の全単射性

fP の各要素を Q の各要素に一意に対応付けているため、全単射である。

写像 f の準同型性

a \leq b のとき、 f(a) = x \leq y = f(b) となる。

また、 a \leq c のとき、 f(a) = x \leq z = f(c) となる。

よって、 f は準同型写像である。

逆写像 g: Q \to P の定義

逆写像 g: Q \to P を以下のように定義する。

\begin{aligned} g(x) &= a \\ g(y) &= b \\ g(z) &= c \end{aligned}

写像 g の準同型性が破綻することの確認

y \leq z のとき、 g(y) = b \not\leq c = g(z) となる。

よって、 g は準同型写像ではない。

結論

f\text{Posets} において全単射な準同型写像であるが、 g\text{Posets} において準同型写像ではないため、 f\text{Posets} において同型射ではない。

参考文献

Category Theory (Oxford Logic Guides)
圏論 原著第2版

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