UEFI エミュレータで遊ぶ
概要
UEFI(最近のBIOS)ファームウェアを仮想化環境無しで遊ぶ方法について。
UEFIファームウェアやアプリの開発環境は OSS (EDK2)として公開されています。
このツリーにはEmulatorPkgという、ホスト環境上で実行可能なUEFIファームウェアとUEFI Shellのエミュレータが含まれています。このエミュレータ上ではUEFIアプリの実行も可能なようです。
以下では、これのビルドからお試し方法をまとめてみます。
エミュレータでできること
軽く触ってみたところ、下記のことが行えました。
VMがなくても、またVM上でも気軽に UEFI Shell をお試しでき、UEFIアプリも実行可能なため簡単な動作確認に使えるかもしれません。
- UEFI Shellの操作
- エミュレータから ホスト上のディレクトリのマウント
- エミュレータから ホスト上の UEFIアプリケーションの実行
エミュレータのビルド
Ubuntu 18.04 64bit上でビルドします。[1]
Ubuntuの公式サイトにビルド環境構築方法が書かれているので参考になります。
1. 必要なパッケージのインストール
※ 参考資料には未記載ですが、最近のEDK2のビルドにはpython3-distutils
が必要なようです。後半のlibx二つはエミュレータのビルド用に必要です。
sudo apt-get update
sudo apt-get install build-essential git uuid-dev iasl nasm python3-distutils libx11-dev libxext-dev
2. EDK2のチェックアウトとベースツールのビルド
下記は edk2-stable202011
というタグからビルドする例です。
git clone --depth 1 --branch edk2-stable202011 https://github.com/tianocore/edk2.git
cd edk2
. edksetup.sh
git submodule update --init
make -C BaseTools
3. エミュレータのビルド
Ubutnu18.04 + GCC5そのままではビルドに成功するものの実行時にSegmentaton Fault する issueが報告されています。暫定的に最適化オプションを切ることでビルドできるようです。
perl -pi.bak -e 's/-D DISABLE_NEW_DEPRECATED_INTERFACES/-D DISABLE_NEW_DEPRECATED_INTERFACES -O0/g' EmulatorPkg/EmulatorPkg.dsc
build -p EmulatorPkg/EmulatorPkg.dsc -t GCC5 -a X64
エミュレータの実行
※ 実行後に端末の標準出力がおかしくなるようなので注意。
ビルドされたディレクトリ上で実行するとUEFI Shellが立ち上がります。
cd Build/EmulatorX64/DEBUG_GCC5/X64/
./Host
ホストのディレクトリをマウント
このUEFI Shell上では fs0 として、上記実行ディレクトリ(edk2のルートディレクトリ以下の)Build/EmulatorX64/DEBUG_GCC5/X64/
が見えるようになっています。
UEFI Shell上で下記コマンドを使用することでホストのディレクトリをマウントできます。
fs0:
ls
上記実行ディレクトリ以下に任意のUEFIアプリを置いておけば、エミュレータのUEFI Shell上から実行することができます。
参考資料
Ubuntu公式のEDK2ビルド方法ドキュメント
-
Windowsでもビルドできるようですが、試してみたことがないので割愛します。 https://github.com/tianocore/edk2/tree/master/EmulatorPkg#how-to-build--run ↩︎
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