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ユーザーインタビューの技術

2021/09/02に公開

以前、このようなスライドが上がってました。

https://www.slideshare.net/storywriterjp/ss-249984164

私個人としては、そんなに真新しいものではないのですが、わりと反響が大きかったようでした。なので乗っかって、私の意見も書いておこかなと。わりと、例のごとく内容を整理してません.....

インタビューは役に立たない?

よく、インタビューが役に立たないという意見を聞きます。おそらくその理由はいくつかあるように思います。いくつか書いていこうかと。

ユーザーインタビューよりもより良い手法がある

ユーザーインタビューをするよりも、コストパフォーマンス的にも都合がいいリサーチ手法があったりするかもしれません。例えば、観察法(オブザベーション) だったりです。それは至極全うな意見のように思います。

ユーザー意見をそのまま信じると失敗するから

この意見も時々たまにみます。「ユーザーに意見をそのまま、実装すると、失敗したから」みたいなのです。このような意見は数点、問題があって、

  • そもそもインタビューの手法でやってない、調査になってない
  • インタビューのやり方がまずい
  • インタビュースキルが足りていない
  • 分析をしていない

があるように感じます。つまり、これはどういうことかと言えば、「ユーザの意見」というものは本当に正しくインタビュー手法で聞けているか? というのと、「ユーザ意見」をそのまま信じるわけではない、分析をするんだということです。

最初の方は、例えば、「ユーザーにアンケートしたら失敗したから」というのですが、質問紙手法とインタビュー手法は異なります。質問紙手法は質問紙手法で難しいのでそもそも違う技術だったりします。また、ただユーザーとの世間話をそのまま鵜呑みにしたりです。

2番目は、そもそもインタビューのやり方が、まずいやり方でやっているパターンです。これは適切な知識が足りていないように感じます。書籍等を読んで、学習する必要があるように思います。

3番目は、知識を持っていても、実戦経験が足りず失敗するパターンです。インタビューは、上達していくものです。上達するとユーザーからいろんな情報が引き出せたりします。

4番目はそもそも、分析をしていなかったりしています。私もインタビューで得たデータを直接使っうことはしません。分析をして、欲しい情報を抽出していったりしていきます。

ユーザーインタビューは簡単ではない

そもそも、ユーザーインタビューは簡単ではありません。適当なインタビュー本を手に取り、インタビューのやり方を知るだけでは、インタビューのスキルを培うことはできません。インタビューの上達には練習が必要なのです。

正直なところ、「ユーザーインタビューは役に立たない」とか軽くみる人は、そもそもインタビューの関連の書籍すら読んだことがないんじゃないかと思うときがあります。(もちろん、インタビューの技術を知った上で「役に立たない」という人もいますが、それは後述します)。

なので、「ユーザーの声を聴く」という上でリサーチの一つの方法である「ユーザーインタビュー」の技術の向上の方法を述べておきます。

インタビューの関連書籍で知識をつけよう

まずは、インタビューの関連の書籍が沢山あるので、いくつか紹介します。

https://amzn.to/2WJGZca

https://amzn.to/3jChv9N

https://amzn.to/2WOWVdF

https://amzn.to/3yDWjUQ

上、2冊(「ユーザーインタビューの教科書」「ユーザの「心の声」を聴く技術」)は、わりと実践的なユーザーインタビューについて書かれているので、こちらをまず読むことをおススメしますが、もし余力があれば、下2冊のような、より心理学の人たちがやっている研究者がやるような質的調査のインタビューも参考にしてみるといいでしょう。深い学びがあるように思います。

インタビューを練習しよう

とにかくインタビューは実践あるのみだと私は思います。とはいえ、関連書籍に書いてある通りに、インタビュー参加者をリクルーティングして、実戦するのはおそらく大変だと思います。

なので、身近な人に協力してもらったりで練習するといいでしょう。(もちろん、本格的に実践に比べたら学びは少ないのですが、やらないよりマシです)。手軽な練習方法として、例えば、その人のポケットの中身、カバンの中身を教えてもらい、それを元にインタビューするなど良いように思います。そして、その人の知らない一面、その人の以外な一面、生活の一面を知るなど、その人の新たな一面を聞き出すことができれば成功だと思います。

もちろん、この練習方法は、簡易的なものです。実際には実戦した方が上達します。これはあくまで、実戦するのが大変という方のための簡易的な方法です。

インタビューはある意味、「その人」人間への知的好奇心の一つの実践です。普段から、一人一人の人間に興味を持つことが肝心なのだと思います。そして、その興味を満たすためには、練習が必要なのです。

プログラミングだって、書籍を読んだだけでは、見につかないですよね。写経したり、自分なりの考えをコードにしたりして、上達するはずです。それと一緒で、インタビューというのは正しい知識を付けて、練習して上達するものです。

わたしなりのインタビューの考え方

インタビューの上達の方法については書きました。私の実践を通しての今度はインタビュー自体についていろいろ書いてみようかなと。

インタビューの2つ考え方

インタビューには大きく分けて2つの考え方があるように思います。

相手から「引き出す」インタビュー

まずは、相手から「引き出す」という考え方です。これは、相手が情報の保管庫であり、インタビューによってその情報を取り出していくような考え方があるように思います。このような考え方は、インタビューイーは受動的であり、能動的に情報を構築することがありません。

このようなアプローチでは、インタビューワーはとても質問の仕方に気を使います。インタビューイーに情報を引き出してもらうには、それなりの信頼が必要とします。また、「正しく」情報を引き出すためには、情報の形が変わらないように工夫しなければなりません。つまり、質問にバイアスがかからないようにするということです。

相手と構築するインタビュー

もう一つの考え方は、相手と「構築」するという考え方です。これはインタビューをインタビューイーとインタビューワーの創造的な行為と捉える方法です。このような考え方、「引き出す」インタビューと違い、相手も能動的になります。

考え方としては、インタビューワーは構築の「支援」をしていくものに近いように思います。インタビューイーが持つものを構築する手助けみたいなものです。また、このようなアプローチでは、インタビューイーとインタビューワーが対等になれる可能性を持っています。つまり、逆にインタビューワーもまた情報の支援を受ける可能性があります。

上記の2つの考え方はどちらが良いというものではないですが、2つのインタビューの方はプロジェクトや、状況によって使い分けると良いように思います。

インタビューの分析と結果の使い方

最後にインタビューの結果の使い方について書いていこうと思います。これは、実際には参考書籍を読んでいただきたいと思います。

似たようなものを集める

質的なデータを集めるとみんなは、クラスタリングというかカテゴライズしてグループ化をしたがります。しかしながら、いきなりカテゴライズはしてはいけないように私は思います。

このようなやり方は、勝手に分類領域を策定してから、それに見合うやり方に当てはめていくのが問題です。これでは、新しい構造を得ることができなくなります。

まずは、似ているものを集める ことです。ここが実は非常に難しく感じます。自身の枠組みではなく、その情報の洞察を得る必要があるからです。

結果はどうなるか?

いろんな、ものに使われると言った方が正しいでしょう。ペルソナの根拠になったり、あるいは、新しい企画に結び付いたりします。

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