【読書メモ】エンジニアリング組織論への招待

「曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為が「エンジニアリングとは何か」という答えでもあるのです
ということは、エンジニアリングで重要なのは「どうしたら効率よく不確実性を減らしていけるのか」という考え方なのです。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 18). (Function). Kindle Edition.

自分が仕事を進める際はいつも「不確実の時間」が人よりも長いと感じる
なぜ不確実の状態が長くなってしまうか考えると
- 不確実な箇所を言語化するのが苦手で、不確実を具体化するための相談に時間がかかってしまうため
- 「今現在不確実な状態である」という認識ができていない(自分の中では具体的であると思ってしまっている)ため、その状態に気づくまでの時間が長く必然的に時間が伸びてしまう
主にこの2点が原因で、不確実性の時間が長くなってしまっていると考えられる

では、「不確実性」の正体とは何でしょうか。実は、「情報」という概念と深い関わりがあります。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 21). (Function). Kindle Edition.
では、不確実性というものはどこから生まれるのでしょうか。不確実性とはつまり「わからないこと」によって生まれます。人間にとって、本質的に「わからないこと」はたった2つしかありません。それは、「未来」と「他人」です。 「未来」は、それがやってくるまでどうなるかわかりません。このような不確実性を「環境不確実性」といいます。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 23). (Function). Kindle Edition.

不確実、つまり「わからないこと」を構成する2つの要素、他人と未来
これは本当にその通りだなと感じた
「他人」のわからない点、予測できない点
ここを少しでも解消するために、当然コミュニケーションというものが存在する
少しでもコミュニケーションをとって、他人の「わからない点」を埋めていく作業をする
この本ではもちろん他人の全ての公道をコントロールしたり、会話上でお互いの認識通りの意思疎通はできないと書かれている(これをコミュニケーション不確実性とこの本では読んでいる)が、この不確実性が発生する一番の要因は個人的には感情が要因になりえるかなと考える

不確実なものに向き合うというのは、「不安」を伴います。「わからない」ということは、それだけで自分自身を脅かす可能性を考えてしまうからです。そのようなものに、人は本能的に「攻撃」か「逃避」を選択してしまいます。そのため、人は自分が安心だと「わかっている」物事を優先して実行してしまう癖があるのです。 しかし、不確実なものが減っていかない限り、常に「不安」は減りません。「不安」を減らすには、不確実性に向き合う必要があります。ところが、「不確実性に向き合うこと」それ自体が最大の「不安」を生み出してしまいます。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (pp. 24-25). (Function). Kindle Edition.

あぁ、本当にそうだよ
本当にこれだよ
わからないと不安なんだよね
ちょっと気持ち悪い方向に逸脱するけど、自分の人生がどうなるかもわからないから、他人に対してもどこか攻撃的になってしまう
他人を避けるようになってしまう
そう、↑のスクラップでも書いたように、他人が不確実なものだから、(実際に言動にするかどうかは別として)他人に対して攻撃的になってしまうんだよね
コミュニケーションを取ろうとすると、他人に対して攻撃的になってしまう(可能性がある)
でも攻撃的にならないために、コミュニケーションを取って少しでもその不確実性・わからないことを減らして、不安を消す
相反することをやらないと、前に進まない 不確実性から抜け出せない
だから他人との関係を築くためには、お互いを無条件に信用するということをしないといけないのではないかな
相手との上下関係や、技術力など、様々な仕事上の物差しはあるけど、そんなものは全て取っ払ってフラットに相手を信用してみる
見下さない、蔑まない、相手を勝手に想像しない
ただ、「この人は大丈夫だ」ってまずは信用してみる
これだけで、少しは攻撃的な言動や感情がなくなって、相手とコミュニケーションが取れるようになる
割と昔の実体験からこんなことを考えてみた

人は、論理的な思考を常に正しく運用できるわけではありません。とりわけ、他人が介在する問題について、私たちは感情的にならざるを得ない生き物です。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 28). (Function). Kindle Edition.
そのため、仕事での問題解決を行うために必要な論理的思考力は、コミュニケーションの失敗によって制限されてしまいます。どんなに自分が正論だと思っていることも、その人自身の世界の中で認識できる範囲の中での正論にすぎず、正解ではないということです。 どんなときに、自分は論理的でなくなる可能性があり、人が論理的でなくなる可能性があるのかを知った上で問題解決に臨む。それが論理的思考の盲点を知るという考え方です。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 29). (Function). Kindle Edition.

ほらやっぱり
感情が出てきたよ
以前、ロジハラを受けた際にずっと考えていたことだけど
他人に対して「ロジカル」や「ロジック」という言葉を使う人間ほど、自分の中の感情を軸にロジックを組み上げている
どういう感情かというと、「支配欲」
自分が考える「論理」を、他人に当てはめて動かすことに快感を得ているのかなぁなんて、勝手に想像している
本人に自覚あるか無いかはわからないが
たとえそれが論理的に成立している内容だとしても、その支配欲にまみれた感情がある時点で、健全なコミュニケーションなど取れない
それがなぜわからないかなぁ
と、本の内容とズレた愚痴みたいなのを書いてしまった・・・・
自分はどこで論理を失うか、ちゃんと考えてみよう

ある前提からスタートしても、人はすばやく結論へと思考を進めてしまいます。このときに発生しているのは、論理的思考というよりも感情による短絡です。それを排除して、演繹しなければ正しく問題を解決できません。 たとえば非エンジニア職のAさんと、エンジニア職のBさんがトラブルになっているときに、Bさんは「Aさんはエンジニアのことを下に見ているので、このようなことを言うのだ」といったような短絡的な判断をして、報告した結果、トラブルになるということがあったとします。 実のところ、Aさんは、エンジニアであるBさんの仕事のことをよく知らなかったため、無自覚にその人をないがしろにするかのような発言をしたことがあっただけで、悪意をもってそのような発言をしたわけではなかったのです。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 34). (Function). Kindle Edition.

結論をすぐに導き出そうとする姿勢には、感情が入り混じってしまうということ自体には納得ができる
ロジック組み立てていくことって、結構時間がかかることだし、正直面倒くさいことが多い側面もあると思う
だからその面倒な点を感情で片付けてしまおうと振る舞うのは理解ができる
自分が結論を急ぎすぎてたり、そもそも急いでいる感覚はなくとも突発的に結論を出していたら、そこに感情が入っていないかを一度振り返ってみる癖をつけたほうが良いかもしれない

一方で、本書の主張とはずれるけどちょっとこの文の例には違和感を感じた
無自覚にその人をないがしろにするかのような発言をしたことがあっただけで、悪意をもってそのような発言をしたわけではなかった
なんか仕方ないよねみたいな感じで書かれているが、自覚があろうがなかろうが、悪意があろうがなかろうが、人を見下すような発言をする人間には心底反吐が出る(感情ウェーイ)
「その言動を取って、相手がどう感じるか」
当たり前だけどこれを想像して動けない人間は、論理が働いていようと感情が働いていようと、指摘・指導を受ける対象になりえると思う
常に他人に対しての想像力を持って動いていかねば、良いチームなんてとても作れないと思う

複雑な演繹的思考を精緻に組み上げる能力があったとしても、「自分や人はいつ非論理的になるのか」を知らない人は、そのような環境に陥ったときに論理的思考力が著しく限定されてしまいます。 結果的に、複数人が共存し目的に向かっていくための環境で、成果を得ることが難しくなってしまいます。 論理的思考能力というのは、「感情的になる瞬間を知り、その影響を少なくできる」能力でもあるのです。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 35). (Function). Kindle Edition.

洞窟のイドラは、個々を取り巻く環境から、外の世界を知らずに一般的なことだと決めつけて理解することから生じる偏見です。たとえば、「自分がそうだから、他の人もそうだと思う」「自分の家では目玉焼きにマヨネーズだからみんなそうだ」といったことが、洞窟のイドラです。
広木 大地. エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (p. 37). (Function). Kindle Edition.
洞窟のイドラは、個人的にすごく思い当たるフシがあるなぁ。。。
自分の世界だけで、もう少し具体的な表現で言うと自分の会社や特定のコミュニティだけにいると発生するのかな
あとは特定の人間関係のみとか
別に付き合いが社内だけとか、あんま狭いコミュニティにいること自体は悪いことではないと思う
別に今の時代ならわざわざ人と人で関わらなくても、ネット上の情報だったり、オンライン上の交流なしイベントとかでいくらでも外の情報は取ってこれるわけだし
そうじゃなくて、他人や組織に対して何か意見を述べるときに、瞬間的にこの洞窟のイドラを発動させてしまうのが問題な気がする
みんな多かれ少なかれ知ってるはずなんだよね 自分が所属しているコミュニティ以外の価値観を
でも、話すときや考えるときにそのことを忘れ、洞窟のイドラが発動してしまう
やっぱ普段いるところの影響は強いよ
一度、必ず振り返ろう