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論文の書き方簡易まとめ(初心者向け)
はじめに
論文の書き方って分野に依存する部分が大きく、あまり統一されたものがない印象でしたので、オレオレな論文の書き方をまとめてみました。どちらかというと、初心者が守るべきルールが多めになっています。
なお、筆者は食品臨床研究でたくさん論文を書いていましたので、書き方や考え方が生物系に寄っています。ただ、なるべくどの分野でも使えるようにまとめております。
概要
IMRAD
-
とにかくIMRAD(序論 (Introduction)、方法 (Methods)、結果(Result)、考察(Discussion))で書いてみる
- Abstract(概要)もIMRADでいったん書くのが個人的にはおすすめ
Introduction
- 読者にこの論文でのスコープ(問題、解決した範囲)を提示する。もうちょっと具体的に書くと、以下の3つとなる。
- こんな問題があるで。みんな困ってねん。
- 先行研究ではこういった取り組みがされてるねん。でも、ここまだ未解決問題やねん。
- この研究では、ココをこうやって解決したで。
Result
-
Introductionで提示した問題を解決するために行ったことを書く。ただし、Resultの書き方は色々なパターンがあるので、先行研究をいくつか見てどういうパターンがよいか見定める。
- 実験 → 仮説 → 実験 → 仮説...パターン(分子生物学の研究はこういうのが多い)
- 1個の結果を多角的に見るパターン(例:IBD患者の腸内環境を様々な角度から分析してる論文。菌の分析→遺伝子の分析...みたいに様々な分析が並んでいる)
- 作成したものの性能を多角的に評価するパターン(例:BERT論文)
Discussion
- Resultに対しての解釈を記載し、その解釈から結論を導く。「空・雨・傘」というフレームワークがありますが、この中でも雨を書く(「空を見ると雨雲が多い」という事実ではなく、「夕方には雨が降ってきそうだ」という事実を元にした解釈を書く)。
- ちなみに書き始めに悩む場合は、最初に研究の総まとめをするといいよ
ルール
とにかく投稿する雑誌の規約を読むが、わからない部分は提出してから考える
- 細かいルールは査読者のためというより雑誌社側で最後出版のときに必要なものだったりするので、間違っててもそんな怒られない。
- 行番号は最低限入れておく。個人的には通し番号の方がよい。
- 査読者としては行番号がないと査読できない。。
- システムが入れてくれる場合もあるのでそういう場合は入れない。
- なお、テンプレートが配られてたらそれ使用した方が効率的。
- 困ったらAPAスタイルを参考にする。
文法
- 方法、結果は過去にやったことだから過去形
-
序論における先行研究は過去形、事実は現在形。
- 過去系を使うべきところで使えていないと論文としての質が落ちて見えるので注意する
MethodのTips
チェックリストを探してみる
再現性担保のために、分野独自のチェックリストがあることがあるので、探してみる
- 機械学習:しゅんけーさんの記事にチェックリストがまとまってる
- ヒト臨床研究(ヒトに食品などを摂取させる試験):CONSORT
- 動物実験:ARRIVE
Methodにはワークフローやフローチャートが含まれていると丁寧
処理の流れを示すことで、専門に近い人たち(共著者や査読者)への理解が推進されます。図が有名なので省略しますが、Transformer論文のモデルアーキテクチャなんかも処理の流れを示しているといった点で似たようなものかと思います。
【ワークフローの例】
参考になったページ
📝 論文の書き方
松尾研での論文の書き方
松尾豊先生による論文の書き方。以下は結構有名な話。意識しておくとよいかも。
それから、良い論文は良い論文を引用します。
研修II要旨
論文で書くべきことについて、文章でコンパクトにまとまっています。
論文の作成
↑の要旨より具体的に、論文で書くべきことが記述されています。
🎨 フォーマット
APA Style Table setup
フォーマット系は困ったらAPAスタイルを参考にします。以下は表のフォーマットについてのサイトです。
Nature式Abstractの書き方
Natureに出す場合は参考になると思います。その理由としては(Natureは総合誌であるため、)より幅広い読者が読むことに特化している印象があります。その他雑誌に出す場合はあまり参考にする必要はないというのが個人的な意見です。
✅ チェックリスト
コンピュータサイエンスのトップカンファレンスが示す再現性チェックリスト
機械学習系の論文のチェックリストです。
CONSORT 2010声明
ヒト臨床試験のチェックリストです。CONSORTはかなり項目が多いので、これを守っているだけでほぼ論文書けます。
🟤 その他
学術論文における時制の使い分け
時制についてのページです。わからない場合のリファレンスとして。
Discussion