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Cursor RulesでPR作成を効率化してみた

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はじめに

プルリクエスト(PR)の作成に時間を取られていませんか?
レビュアーが意図をすばやく理解できるようにするためには、以下のような作業が必要です。

  • 背景や目的、前提条件を漏れなく示す
  • 依存関係やテスト項目を明確にする
  • 変更範囲を要点だけに絞ってまとめる
  • 箇条書きや見出しを工夫する
  • 専門用語に対して簡潔な説明を加える
  • 関連チケットへのリンクを貼る

これらの配慮をしながら文章を書くのは思いのほか手間がかかります。そこで、本記事ではAI開発ツールであるCursorのRules機能を活用して、チーム全体のPR作成プロセスを効率化し、品質を標準化する方法をご紹介します。
本記事がチームのPR作成効率向上のヒントになれば幸いです。

Cursor Rulesとは

Cursor Rulesは、Cursor(AI開発ツール)のエディタ内でAIの動作をカスタマイズできる機能です。.mdc形式のファイルでプロジェクト固有のルールやガイドラインをAIに指示できます。

プロジェクトルールを定義しておくと、次のような用途で活用できます。

  • ドメイン固有の知識をエンコード
    コードベース特有の知識や命名規約などを定義し、AIに確実に反映させる
  • プロジェクト固有のワークフローやテンプレートを自動化
    PRテンプレートやチェックリストを標準化し、一貫した形式での出力を得る
  • スタイルやアーキテクチャの決定を標準化
    コーディングスタイルやアーキテクチャパターンを統一し、チーム内の一貫性を保つ

次の4つのRule Typeがサポートされています。

Rule Type 説明
Always 常にモデルのコンテキストに含める
Auto Attached globパターンにマッチするファイルが参照されたときに自動的に含める
Agent Requested AI(エージェント)が必要に応じて含めるかどうか判断する
Manual @ruleNameで明示的に指定されたときのみ含める

この仕組みによって、チーム全体で統一された開発スタイルを維持しつつ、プロジェクトの文脈に合わせたより適切なコード提案を得ることができます。

Rule Type の選択

チーム開発でCursor Rulesを活用する際、Agent Requestedをおすすめします。
以下のポイントを満たすために最適だからです。

  • 均質な支援品質
    チームメンバーの経験や所属期間にかかわらず、同じ品質のサポートを受けられる
  • 学習コストを低減
    特殊な操作を覚えなくても、自然にCursorがルールを適用してくれる
  • メンテナンス負荷を抑制
    頻繁なパターン更新やファイル構造の見直しが不要になることが多い

各Rule Typeの課題

Manual の課題

  • プロジェクトごとに @ruleName を明示的に覚える必要がある
  • 新メンバーの学習コストが高く、うっかり使い忘れるリスクがある
  • チームでの利用度にばらつきが生じやすく、一貫した適用が難しい

Auto Attached の課題

  • globパターンを正確に記述しないと適用漏れが発生する
  • ファイル構造が変わるたびにパターンを更新しなければならず、メンテナンス負荷が高い
  • パターンが複雑になると管理が難しくなり、意図しないファイルにも適用されることがある

Always の課題

  • 常に全てのルールを読み込むため、ルール同士の干渉や競合リスクが高まる
  • ルール数が多いとパフォーマンスに影響する可能性がある
  • 不要な場面でも適用されることで、AIの出力が意図しない方向に偏る場合がある

Agent Requested の課題

  • 適切にdescriptionを書かないとAgentが適用判断を間違える
  • Agent が呼び出す判断をした理由が分かりづらい
  • ルールを呼び出すために適切にプロンプトを書く必要がある

以上を踏まえると、運用コストのバランスが最もよいのが「Agent Requested」です。特別な設定や運用フローを最小限に抑えつつ、必要なときにルールを呼び出せる点が魅力です。

実際に作ってみたルール

「Agent Requested」を選択して、実際にPR作成を効率化するルールを作成してみました。
興味がある方はぜひ見てください。
https://github.com/nimiusrd/cursor-rules

工夫した点

ルール作成において、以下の2点を重視しました:

1. 用途を明確にする
各ルールの目的と適用場面を明確に定義することで、AIが適切なタイミングでルールを適用できるようにしました。

2. 例を書く
期待する出力の具体例を示すことで、AIがより正確で一貫した結果を生成できるようになりました。

例:PR説明文の「概要」セクション

概要セクション

「概要」セクションには、変更の目的と全体像を簡潔に記述します。一読して変更の主要な点が理解できるようにします。外部資料を参照しなくても内容が理解できるように記述することが重要です。

記入のポイント:

  • 変更内容を端的に表現する見出しをつける
  • 外部資料を参照しなくても内容が理解できるように記述する
  • 変更の目的や背景を簡潔に説明する

例:

## 概要
ユーザー認証機能を実装し、ログイン・ログアウト機能およびユーザープロフィール画面を追加しました。これによりユーザーはアプリケーションにログインして個人設定を管理できるようになります。

課題

Cursor Rulesを使うことで多くの効率化が期待できますが、完全に自動化されるわけではありません。以下のような注意点があります。

  • プロンプトを書くスキルは必要
    AIに「何をやりたいか」を伝えられないとルールが適切に適用されず、生成結果が意図とずれる場合があります。
  • AIの出力品質のバラつき
    同じルールでも内容や文脈によっては意図した形式にならない場合があるため、出力のチェックは必要です。

まとめ

  1. チームでCursor Rulesを使うなら「Agent Requested」を選ぶと運用コストが低そう
  2. Cursor Rulesを活用するとしてもプロンプトを書くスキルは必要

Cursor Rulesを活用して、一貫性のある高品質なPRを効率的に作成してみてください。

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