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確率過程について

nikuniku

自分で物理現象に対し確率過程のモデルを構築して、そこから様々な量を計算できるようになりたい

まずは、「ブラウン運動 江沢洋、中村徹」の二章をしっかりと理解したい

nikuniku

イギリスの植物学者 Robert BrownがBrown運動を発見したのは1826年〜1827年に行った顕微鏡観察にて

花粉を水に浮かべて、しばらく待っていると、水を吸ってパンクし微粒子を吹き出す
この微粒子たち(大きさは≦1μm)が顕微鏡で見られる程度のBrown運動をする

30s, 60s, 120s間隔でBrown運動する粒子の位置をサンプリングするとBrown運動(乱雑な運動)を行う

さて、室温の水中に漂う半径0.5μmの球形微粒子の場合を考える。
サンプリング時間をどんどん短くしていくと10-7s(100ns)のオーダーで乱雑性が維持されなくなっていく。

なぜ上記のような現象が生じるのであろうか、既知の概念でうまく説明する方法を考える。
1.速さvで動く質量M,半径aの球形微粒子を考える
2.個の微粒子はStokesの法則に従うとする(=粘性抵抗6πaηvを受けるとする:ηは媒質の粘性係数)
3.すると粒子の運動量が緩和する時間は

\tau = \frac{Mv}{6\pi a \eta v}=\frac{2\rho a^2}{9 \eta} \qquad (2.1)

で与えられる。(ρ:微粒子の密度)
4.

\begin{align} & \rho = 1 \mathrm{g/cm^3} \notag \\ & \eta=1.002 \times 10^{^3} \mathrm{Pa \cdot s} \qquad (20℃における水の値) \notag \\ & a=0.5 \mathrm{\mu m} \notag \\ & とおいて\tau を計算すると \notag \\ & \tau = 5.5 \times 10^{-8} s \qquad (2.2) \notag \\ & となる \notag \end{align}

以上のように微粒子がStokesの法則に従うと仮定し、
1.緩和時間で運動の記憶を失う
2.分子の熱運動からエネルギーを得て直線運動を始める
というプロセスを繰り返していると考えればBrown運動の説明がつく気がする

nikuniku

独立な要素変位の和

理解を容易にするために(Markov過程[1]として扱える)1次元の粒子の乱雑な運動を考える
運動の緩和時間 \tauとそれに比べて十分長い時間\Delta tを考える
現在の粒子位置をxとし、それから\Delta t後の位置をx'とする
\Delta t内で緩和時間程度で要素変位がn回発生し、それぞれs_1, s_2, \, ... \, , s_nとすると、以下の式が成り立つ
x' - x = s_1 + s_2 + \cdots + s_n
\langle x' - x \rangle_{平均} = 0 \qquad (2.3)
\Delta t /\tau \approx \langle n \rangle_{平均} とし、 \langle s^2 \rangle_{平均} = 2D/\tau とおくと
\langle (x' - x)^2 \rangle_{平均} = \langle s^2 \rangle_{平均} \langle n \rangle_{平均} = 2D\Delta t\qquad (2.4)

このDを拡散係数と呼ぶが、現時点ではどの程度の大きさかはまだ不明である。

脚注
  1. Markov過程とは
    1.緩和時間τくらいの時間を直線運動して一旦止まる
    2.それまでの直線運動とはまったく無関係な方向にstart afreshして直線運動してτくらいで一旦止まるを繰り返す
    ことで得られるような性質を持つ確率過程のこと ↩︎

nikuniku

Einsteinの関係式

Einsteinは拡散係数DD=\frac{k_BT}{6\pi a \eta}とした。
\eta:媒質の粘性係数
T:絶対温度
k_B:Boltzmann定数
a:運動する球の半径

媒質を20℃の水とすると
D=4.28 \times 10^{-13} [m^2/s]
となる