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SOAPとRESTの違い

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はじめに

「SOAP」を聞いて、RESTと似ているようだけど何が違うの?今はあんまり聞かないけど、なんで?といった疑問が生じたのでまとめました。

「SOAP」とは何か?

まず、「SOAP」とは何か?SOAP (Simple Object Access Protocol) は、Webサービス間で情報を交換するための**プロトコル(通信規約)の1つである。
軽く歴史について触れると、SOAPの仕様は1999年にマイクロソフト社が発表したもので、2000年5月にW3Cが最初の標準規格を勧告した、らしい。詳細は以下で確認できる。

https://e-words.jp/w/SOAP.html#:~:text=SOAP(Simple Object Access Protocol,利用に適している。

詳細な特徴は以下のとおり。

  • XMLベースのメッセージ: 送受信されるデータは、厳格なルールに基づいたXML形式で記述される。これにより、異なるプラットフォームや言語間でも共通の形式で通信が可能。
  • 構造化されたメッセージ: SOAPメッセージは、以下のような決まった構造を持っている。
    • エンベロープ (Envelope): メッセージ全体
    • ヘッダー (Header): 認証情報などの付加情報(任意)
    • ボディ (Body): 実際のデータ(リクエスト内容やレスポンス結果)
    • フォルト (Fault): エラー情報(エラー発生時)
  • プロトコル非依存 (基本はHTTP/HTTPS): 通常はHTTP/HTTPS上で通信しますが、SMTPなど他のプロトコルも利用可能
  • WSDLとの連携: WSDL (Web Services Description Language) というXMLファイルで、サービスの機能や使い方(エンドポイント、メッセージ形式など)を定義するのが一般的
  • 標準化と高機能: WS-Security(セキュリティ)、WS-Reliability(信頼性)、WS-Transaction(トランザクション)といった多くの拡張仕様(WS-* 標準)があり、高信頼性・高機能な連携を実現できる
    このように、SOAPは厳格なルールと豊富な機能を持つ、エンタープライズ向けのしっかりとしたプロトコルと言えます。

SOAP vs REST:何が違うのか?

REST (Representational State Transfer) は、SOAPのような厳密なプロトコルではなく、Webの設計原則に基づいた**アーキテクチャスタイル(設計思想)**です。
以下の比較表でも、その差ははっきりしています。

比較項目 SOAP REST
基本概念 プロトコル (通信規約) アーキテクチャスタイル (設計思想)
データ形式 XML のみ (厳格) JSON, XML, YAML, テキストなど柔軟 (JSONが主流)
通信プロトコル HTTP/HTTPS以外も可 ほぼ HTTP/HTTPS
メッセージ構造 厳格な構造 (エンベロープ等) 決まった構造なし (HTTPメソッドとURIで表現)
操作の表現 ボディ内の操作名 HTTPメソッド (GET, POST, PUT, DELETE)
リソース中心 操作中心 リソース中心 (URIでリソースを指定)
状態管理 ステートフル可能 (WS-*) 原則ステートレス
標準化 多くの標準仕様 (WS-*, 高機能だが複雑) 少ない (Web標準活用, シンプル)
仕様記述 WSDL (一般的) OpenAPI (Swagger) など (主流, 必須ではない)
パフォーマンス オーバーヘッド大 軽量・高速
開発容易性 ツール依存度高, やや複雑 シンプル・容易

大きく差があるのは以下の3つと思います。

  • データ形式: SOAPはXML固定ですが、RESTはJSONが主流です。JSONはXMLより軽量で、特にJavaScriptとの相性が良いため、Webフロントエンドやモバイルアプリ開発で好まれます。
  • 操作の表現: SOAPは「何をするか」をメッセージの中身で指定しますが、RESTはWebで標準的なHTTPメソッド(GET=取得、POST=作成など)とURI(リソースの場所)で表現します。これはWebの仕組みに非常にマッチしています。
  • 状態管理: RESTは基本的にステートレス(通信が毎回独立)なので、サーバー側の負荷分散がしやすく、スケーラビリティに優れます。

なぜRESTが主流になったのか?

ここまで見てきた違いを踏まえると、RESTが現代のWeb API開発で主流になった理由は明らかです。

  1. シンプルさと開発の容易さ: HTTPの知識があれば理解しやすく、特別なツールなしでも実装・テストが比較的簡単です。学習コストが低いのは大きなメリットです。
  2. 軽量さとパフォーマンス: JSON形式の利用とシンプルな構造により、通信量が少なく高速です。モバイルアプリやSPA(シングルページアプリケーション)など、パフォーマンスが重視される場面に適しています。
  3. 柔軟性: データ形式や設計の自由度が高く、様々なニーズに対応しやすいです。
  4. Webとの親和性: HTTPの仕組みを最大限に活用するため、Web技術との相性が抜群です。ステートレス設計はスケーラビリティを高め、クラウド環境にも適しています。
  5. エコシステムの発展: 各言語のフレームワークでのサポートが充実し、OpenAPI (Swagger) による仕様定義やツール連携も活発です。
  6. 時代のニーズ: モバイルアプリやマイクロサービスの普及に伴い、軽量で柔軟なAPIが求められるようになりました。
    これらの要因が複合的に作用し、RESTは多くの開発シーンで「第一の選択肢」としての地位を確立したと思われます。

まとめ

RESTが主流であることは確かですが、SOAPが完全に不要になったわけではなく、ケースバイケースなのかなと思いました。

  • RESTが適しているケース: Web API、モバイルアプリ連携、マイクロサービス、パフォーマンス重視、開発速度重視
  • SOAPが適しているケース: 高い信頼性・セキュリティ・トランザクション管理が必須なシステム(金融など)、既存のSOAP資産との連携、厳格な契約ベースの連携
    技術選定は、常に「どちらが優れているか」ではなく、「目的に対してどちらがより適しているか」という視点で行うことが重要と感じました。プロジェクトの要件、将来的な拡張性、開発チームのスキルセットなどを総合的に考慮して、最適な技術を選択ができるようにしたいと思いました。

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