SEOの目的は検索順位1位を取ることだけではない
初めに
最近、「Webサイトの検索順位ってどうやったら上がるんだろう?」と悩むことが増えた筆者。
SEOについてはWeb開発の業務を通じて触れる機会はあったものの、その多くは要所要所のテクニックに留まっていたため、「木を見て森を見ず」といった状況でした。
そこで今回は、SEOの仕組みや、なぜ対策が必要なのかといった根本的な部分から振り返ってみることにしました。
というわけで今回の記事は自分自身の頭の整理と備忘録、そしてSEOに関心のある方との共有も兼ねてまとめていこうと思います。
SEOの仕組みやその必要性について少しでもお役に立てれば幸いです。
SEOとは
まずは「そもそもSEOとは何か?」というところからおさらいします。
SEO(Search Engine Optimization)とは、日本語で「検索エンジンの最適化」のこと。
もう少し噛み砕くと、検索エンジンがユーザーにとって価値ある情報を見つけやすくするために、Webサイトを最適化する考え方や手法のことを指します。
検索エンジンとは、皆さんご存知であるGoogleやYahoo!といった、日常的に何かを調べるときに利用されるプラットフォームのことです。
つまるところSEOとは、こうした検索エンジンでの検索結果において自身のWebサイトが上位に表示されるように最適化するための取り組みのことです。
検索結果で上位に表示されたWebサイトは多くのユーザーに見つけてもらいやすくなり、アクセス数が増加します。
このアクセスの増加は、サービスの認知度向上や売上拡大、または効率的な情報提供にもつながるため、SEOは非常に重要な取り組みとなっています。
SEOの仕組み
それでは、検索エンジンの表示順位はどのようにして決まるのでしょうか?
検索エンジンは、ユーザーの検索意図に応じた最適な結果を表示するため、「クロール」「インデックス」「ランキング」といった3つのプロセスに基づいて検索結果を生成しています。
このプロセスに対応してWebサイトを最適化することがSEOの基礎的な仕組みとなります。
クロール
「クローラー」と呼ばれる専用のプログラムが、Webサイトを巡回し、各ページのテキストや画像、リンク情報を収集します。
クローラーは巡回中のページにあるリンクを辿り、次々と新しいページや更新されたページを発見します。
インデックス
クローラーが収集したデータは、検索エンジンのデータベースに保存され、「インデックス」として整理されます。
インデックス化されたページは検索エンジンに内容や構成を把握され、必要に応じて検索結果として素早く表示できるようになります。
ランキング
ユーザーが特定のキーワードで検索すると、検索エンジンはインデックス化されたページの中から最も関連性が高く信頼できるページを上位に表示します。
この順位は、ページ内容の関連性や品質、サイトの信頼性、読み込み速度など、さまざまな要素によって決定されます。
SEOの利点
サービスの顧客を増やす手段は数多くありますが、SEOもその1つです。
集客方法には、ユーザーが受動的に情報を受け取る「プッシュ型」と、ユーザーが能動的に情報を取りに行く「プル型」があり、SEOは「プル型」の1つです。
この方法では、商品やサービスに関心があるユーザーが情報を探してWebサイトに訪れるため、成約やリピートにつながりやすい傾向にあります。
プル型集客の特徴
プル型集客のメリットは、商品やサービスに関心のあるユーザーが集まりやすく、商品の購入やサービスの申し込みにつながりやすいことです。
また、プル型のコンテンツはWebサイトのように資産として蓄積されるため、停止すると効果がゼロになるような広告とは異なり、長期的な集客効果が期待できます。
デデメリットとしては、効果が出るまでにある程度の時間がかかること、検索順位やアルゴリズムの変動によってアクセス数が不安定になりやすいことが挙げられます。そのため、継続的なメンテナンスを行うことが大切です。
効果的なSEO
SEOにはさまざまな手法がありますが、その中でも効果的とされる例をいくつかご紹介します。
コアウェブバイタルの最適化
検索順位の評価要素の1つに、Googleがユーザーにとって使いやすいWebページを評価するために定めたPage Experienceという基準があります。
その中でも特に重要視されるコアウェブバイタルを改善することで、検索順位の向上が期待できます。
コアウェブバイタルを構成する3つの指標
-
LCP(Largest Contentful Paint)
- ページ内で最大のコンテンツ(メイン画像や見出し)が完全に表示されるまでの時間
- 目標値:2.5秒以内
- 改善策:画像や動画の圧縮、サーバーレスポンスの高速化
-
FID(First Input Delay)
- ユーザーが最初に行った操作(クリックやタップ)に対してページが応答を開始するまでの時間
- 目標値:100ミリ秒以内
- 改善策:JavaScriptの軽量化や不要なスクリプトの削除
-
CLS(Cumulative Layout Shift)
- ページの読み込み中にレイアウトがずれる量
- 目標値:0.1未満
- 改善策:画像や広告スペースのサイズを事前に指定
モバイルファーストの最適化
モバイルファーストとは、Webサイトをクロール・インデックス化し、検索順位を決定する際に、モバイル版のコンテンツが優先的に評価される仕組みのことです。
以前はデスクトップ版のサイトが評価基準の中心でしたが、スマートフォン利用者の増加に伴い、現在ではモバイル版が評価の中心となりました。
モバイルユーザーがサイトを利用する際の使いやすさや満足度はSEOスコアに影響します。一例として以下の要素が重要視されます。
ページの読み込み速度の向上
モバイルユーザーはデスクトップユーザーより通信速度が遅い場合が多いため、読み込み速度がランキングに大きな影響を与えます。
- 具体例
- 画像や動画を圧縮して軽量化(WebP形式を利用など)
- 不要なJavaScriptやCSSを削除
- コンテンツの遅延読み込み(Lazy Load)の導入
レスポンシブデザインの採用
Googleはレスポンシブデザインを推奨しており、1つのURLで異なるデバイスに対応することで、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
- 具体例
- CSSメディアクエリを使用して、画面サイズに応じてレイアウトを動的に調整
- タブレットやスマートフォンの横向き・縦向きにも対応
モバイルフレンドリーの改善
モバイル端末での使いやすさは検索順位の直接的な評価基準であるため、UI/UXの点を考慮し、慎重に設計・実装することが重要です。
- 具体例
- フォントサイズを大きくして、ズームなしで読みやすくする(最低16px推奨)
- ボタンやリンクのタッチエリアを大きくする
- 横スクロールを必要としないレイアウトにする
構造化データの活用
構造化データとは、Webページの内容を検索エンジンがわかりやすく理解できるようにするための特別な情報です。
これをページに追加すると、検索結果で目立つ表示(リッチスニペット)がされる可能性が高まります。
たとえば、商品なら「価格」や「レビュー評価」などが検索結果に表示され、ユーザーにとって情報が見やすくなります。
構造化データの活用はSEO評価に直接影響しませんが、CTRが向上することでGoogleのアルゴリズムがそのページを「ユーザーに有用」と判断し、間接的に順位が上がる可能性があります。
通常の検索結果
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リッチスニペット
⭐⭐⭐⭐(4.5)
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SEOの目的は1位を取ることだけではない
SEOで忘れてはいけないのは、あくまでSEOは手段であり、目的ではないということです。
たとえば、人材紹介会社が「ビジネスマナー」というキーワードで検索順位の1位を取ったとしても、このキーワードで検索するユーザーは新社会人や若手社員が多く、転職や人材紹介サービスの利用はまだ視野に入れていない場合が多いでしょう。
そのため、こうしたキーワードでWebサイトが上位表示され、一時的なアクセスは増えたとしても、転職のニーズは低いため、サービスの利用には結びつきにくいと考えられます。
一方、「転職サポート ITエンジニア」などの直接的なキーワードは勿論、「自己PRの書き方」といった転職を考えている人が検索しそうなキーワードで集客できれば、転職支援を求めているユーザーに情報を届けることができるため、サービスの利用につながりやすくなります。
このように、SEOの目的は単に「1位を取ること」ではなく、自社のサービスにとって価値のあるユーザーに情報を届け、最終的な成果を上げることです。キーワード選定は、ターゲットに合った集客のための重要なポイントとなります。
おわりに
ここまで、SEOの仕組みや対策、考え方について解説してきました。
SEOは、一度行えば完了するものではなく、検索エンジンの進化やユーザーのニーズの変化に合わせて、継続的な取り組みが求められます。新しいトレンドに対応し、サイトのパフォーマンスを定期的に見直し、コンテンツをアップデートし続けることで、SEOの成果は少しずつ積み上がっていきます。
また、SEOは開発者やマーケティングチームだけで行うものではありません。会社全体で取り組むことで、より効果的な結果が期待できます。たとえば、営業チームが顧客との会話から得たニーズを共有することで、SEO施策がユーザーのニーズにマッチし、ターゲットユーザーにより届きやすいサイト作りが実現します。
短期的な結果を求めるのではなく、長期的な視点で日々の小さな改善を重ねることが重要です。これにより、ユーザーに価値を届けるサイトを育て、検索エンジンからの信頼を高めることができます。そうした積み重ねが競合との差別化を生み出し、長期的な成長の基盤となるでしょう。定期的な計測とメンテナンスを欠かさず、持続可能な成長を目指していきましょう。
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