セールスフォースがエンジニアを採用しない時代|AIの超実践環境としてのネクスタ
はじめに ネクスタでのAIの位置づけ
こんにちは。株式会社ネクスタ代表の永原です。
先日、Salesforce社が今期の新規エンジニア採用を停止するというニュースが大きな話題となりましたね。このニュースを聞いた時、僕は驚きよりも「とうとうその時が来たか」という感覚を抱きました。
ChatGPTの登場以降「AIがエンジニアの仕事を奪うか」という議論は常にありました。しかし正直なところ、現場レベルでは「開発業務に実践投入するにはまだ物足りない」と感じていた方が多いのではないでしょうか。
僕自身、2024年中頃まではそう考えていました。
しかし、Cursorと、昨年末に一般提供を開始したDevinの登場を受けて、一気に開発業務のAI代替が現実味を帯びてきました。
ネクスタでは1年以上前からGithubCopilotを導入し、直近ではCursorやDevinの活用体制を急速に立ち上げてきました。
全社的にも、ChatGPT、Gemini、NotebookLM、ヘルプデスクチャットへのDify導入など、あらゆる活用の可能性がある業務へのAI投入を積極的に行っています。
ちなみに僕自身が今業務で最も価値を感じているのは、Meetの文字起こし機能とGeminiを組み合わせたワークフローによる、オーダーメイドの面接議事録ツールです。
これまでの汎用的なAI議事録ツールだと、自社の採用観点で重視している部分や、残しておきたい情報が、省かれてしまったり、サマられすぎてニュアンスが伝わらなくなってしまうという課題感がありました。
これをGeminiをベースに、自社の採用ポイントをベースにしたオーダーメイドの議事録アプリ化することで、いままで通りの議事録が、なんなら僕の書いたもの以上に、読みやすい仕上がりで自動作成されるようになりました(笑)
面接中、一切議事録を取る必要がなくなり、候補者の方との会話に全力で集中できるようになったおかげで、選考品質が劇的に向上したのはいうまでもありません。
そして今、ネクスタの開発組織は、AI活用にさらにアクセルを踏み込んでいます。具体的な方向性を2つの観点からお話しさせてください。
1.開発プロセス自体をAIで革新するー開発特化AIエージェント活用の最大化
まず1つ目は「開発特化AIエージェント活用へのフルコミット」です。
僕たちがいま開発・提供している製造業向けSaaS「SmartF」は、製造業のあらゆる業務領域を網羅する、大規模なノンカスタマイズの業務システムです。
ただ、大規模であるがゆえの宿命として、開発すべき機能数は膨大になり、技術的負債も蓄積しやすい。事業成長に比例して増え続ける顧客要望や開発要件と、限られた開発ケイパビリティとの間で、常にデッドレースを繰り広げることになります。
僕はこの複雑で大規模なプロダクトの開発環境だからこそ、AIの効果が表れやすいと考えています。
すでにCursorやCopilotといったツールは、それぞれの特性を活かした形でテスト自動化などで実用化されており、現場レベルでの勉強会を通じて、その知見を組織全体で共有するサイクルが回り始めています。
Devinは、保守開発やリファクタリングといった技術的負債の解消タスクで真価を発揮するのではないかと期待しています。
これらの開発特化AIエージェント活用が本格化すれば「品質と新規機能開発との狭間で悩みながら優先順位をつける」という大規模システムの宿命的なジレンマから解放される可能性をも感じています。
2.SmartFを製造業SaaSから「製造業特化AIエージェント」
SaaSの価値は、リレーショナルDB管理ツールからAI活用の箱へ
2つ目は、「SmartFというサービス自体を、AI活用の箱として進化させていく」という方針です。
LayerX・CEO 福島氏の記事の中には「SaaS is Function」というキーワードが登場します。まさにそのように、あらゆるSaaSの提供価値が変わっていく時代だと僕は感じています。
そしてSmartFも、その進化の道を歩んでいきます。
そもそも、業務支援システムの根源的な価値とは何でしょうか?僕は「複数のデータベースをリレーショナルに管理できること」だと考えています。もし、単一の業務をシンプルに管理したいだけであれば、正直シンプルかつ最強のUIであるExcelやスプレッドシートに勝るものはないと思っています。
しかし、複数の業務領域を統合的に管理し、「全体最適」を目指すとなると、データ同士の関係性を定義できるリレーショナルさが必須となり、そこで初めて業務システムの介在価値が生まれます。
その上で、そのDBを扱うUI/UXを磨き込むことで、価値向上を図ってきたのが、これまでの業務支援システムの戦い方だったと思っています。
あらゆる非定型業務をカバーする、汎用型製造業特化AIエージェントへの進化
しかしこれから、UI/UXの領域がAIによって劇的な進化を遂げると考えています。
製造業DXを推進する際、いきなり全ての業務をデジタル化することは難しく、紙の帳票やExcelといったアナログかつ非構造化データを人が介在してシステムに繋いでいく、という手間からは逃れらない宿命でした。
しかし今後マルチモーダル化したLLMを活用すれば、人の介在なしで情報を解釈し、構造化データとして取り込むことができるようになります。
僕は今後、SmartF自体が「製造業特化型AIエージェント」に進化していくと考えています。
大規模な業務システムの宿命として、いかに画面のUI設計を洗練させてたとしても、前提、膨大な機能、複雑な画面遷移、操作手順がある中で、正しく運用できるまでのハードルはとても高いです。それはユーザーにとっても、我々にとってもオンボーディングの大きな障壁となり、システム導入が進まない一因でもありました。
それが「今日の作業計画、組んでおいて」「昨日の受注案件の納期を計算して、取引先に回答しておいて」「部品のピッキングリスト、出しておいて」といった自然な言葉で指示するだけで、SmartFが業務を実行してくれる。そんな世界が現実のものとなります。
これは業務レベルの支援にとどまらず、経営レイヤーでの支援にも広がります。これまで、コンサルタントが何日もかけて分析していたような管理会計情報を瞬時に読み取り、最適な経営判断までサポートする。そんな未来も描いています。
そしてSmartFはこれまでSaaSの守備範囲外であった、コンサルやBPOサービスが担っていた非定型業務領域にまで染み出し、より大きな価値を生み出す存在になっていくと考えています。
AI時代に価値を発揮する、SmartFが培ってきた資産
ネクスタは、オンプレカスタマイズが当たり前の業界で一番最初に、業界初のノンカスタマイズの生産管理クラウドをリリースし、これまでも業界の進化を牽引してきました。
様々な製造業DXのスタートアップがありますが、SmartFが唯一、ノンカスタマイズのSaaSで、150以上の機能画面(ポップアップ画面を除く機能画面のみ)と1,500を超えるDBカラムにより、購買・在庫・生産・工程・品質・原価など、製造業のあらゆる業務を網羅的におさえられています。
そしてAIを活用するうえでの大前提は「正しいデータを、正しい形で集めること」です。特に製造現場ではデータの記録漏れや形式のバラつきが当たり前の世界ですが、 ネクスタではシステム導入時のサポートの中で、泥臭くこの「データ整備」を懇切丁寧に行ってきました。
この業務データの網羅性と蓄積量、そして正しさが、そのままAI時代に提供できる価値の大きさに転換されます。
##AIの「超実践環境」としてのネクスタへようこそ
冒頭のSalesforce社のようなニュースが出るたびに、「いよいよエンジニアという職種はなくなっていくのだろう」という話題がネット上では盛り上がります。
僕は半分正しく、半分間違っていると考えます。
プロダクト開発においては、コーディング作業などの大部分は将来的にAIに代替されていくと思っていますが、適切なAIの活用は、前提として深い技術的知見がなければ成り立ちません。
その上で、抽象概念理解力が高い、AIをディレクションして課題解決へと導けるエンジニアが、これからますます活躍していく未来になるでしょう。
そして、ネクスタこそがまさに「AIの実践経験」を積むことができる最高の環境だと自負しています。
テックブログでAIエージェントの活用事例やその凄さを眺めているだけではなく、僕たちと一緒に、その最前線で実践経験を積み、その知見を発信する側に回りませんか?このタイミングで自分自身でAI活用を試行錯誤する経験は、あなたのエンジニアキャリアにおいて、間違いなく貴重な財産になるはずです。
ここにしかない環境で、AIでプロダクト開発の未来を、そして製造業の未来を創っていきませんか?
少しでも興味をもっていただけたら、ぜひお話ししましょう。
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