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それでも私はWindsurfを応援したい!Cursorと比較して見えた現在地と今後の可能性

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はじめに

こんにちは!
ネクスタで、SmartFという生産管理SaaSの開発エンジニアをしている日野岡です。

私は、直感的な操作感が魅力のAIエディタ「Windsurf」を個人的に愛用しています。しかし、2025年はWindsurfにとってまさに受難の年でした。5月のOpenAIによる買収合意と、その後の破談、そしてCognition AIによる再買収という目まぐるしい変化の中で、一時期は開発の先行きが不透明に感じられたことも事実です。

実際に9月時点で、業務開発でのメインエディタとして使用している「Cursor」と比較した際には、バグの多さや機能的な優位性の乏しさを感じる場面も多く、「いよいよ終わりかな…」と、眠れなくなる夜もありました。

ところが、10月に入って再度使用してみると、この1ヶ月で驚くべき改善が見られました!

そこで本記事では、Windsurfが辿った激動の2025年を振り返りつつ、9月時点と現在(10月)のCursorとの比較を通して、Windsurfの現在地と未来への期待をまとめてみたいと思います。

Windsurfの2025年:混乱と買収劇のタイムライン

まず、今年Windsurfが経験した大きな混乱を振り返ってみます。AMP[アンプ]の記事 「AI業界を揺るがす72時間の人材争奪劇。Windsurfを巡るOpenAIとグーグルの攻防」 によると、その内情は想像以上に激しいものだったようです。

  • 急速な成長と競争激化: Windsurfは年間経常収益(ARR)8,200万ドルを1年で達成するなど急成長を遂げていましたが、OpenAIによる買収の噂が広まると、AIモデルを提供していたAnthropicがClaudeへのアクセスを遮断。これにより多くのユーザーが競合のCursorへ移行を余儀なくされるという事態が発生しました。
  • 7月の買収劇:
    1. OpenAIの買収破談: 7月初旬、OpenAIによる30億ドルでの買収交渉が最終段階で決裂(裏では、VSCodeを擁するMicrosoftが暗躍していたという噂も・・・)。
    2. Googleによる電撃的な人材引き抜き: そのわずか数時間後、Googleが24億ドルを投じて、CEOや共同創業者を含む主要メンバーと技術ライセンスを獲得(リバース・アクハイヤー)。企業そのものではなく、トップ人材を引き抜くという異例の動きでした。
    3. Cognition AIによる救済的買収: 主要メンバーが去り「抜け殻」状態となったWindsurfを、最終的にDevinの開発元であるCognition AIが買収。この買収は、Googleの取引で取り残された従業員を救済する形となり、権利の即時撤廃など従業員に配慮した条件が提示されたと報じられています。

このように、わずか数日の間に企業の根幹が揺らぐ事態が続いていたことが、ツールの品質に直接影響していたのだと感じています。

Cursorとの比較 (2025年9月時点の評価)

9月に行った、WindsurfとCursorの機能比較結果は以下の通りです。結論から言うと、この時点では「Windsurfを積極的に使い続ける理由は見いだせない」という厳しい評価でした。

詳細はこちら
比較内容 評価 WindSurf Cursor
Deep Wiki ・マウスオーバーでカーソル・イン・サイトするだけで、クラス、関数の説明が表示される(ただし、英語)
・内容的には、 Devin Wikiと同等の品質
・日本語で確認するには、DeepWikiの内容をチャットへメンションし、日本語化の指示をする必要がある
・メンションした内容から設計書などのドキュメント作成には生かせそうだが、CursorやDevinでも同様の事ができるため、それ程優位性はない
・Deep Wikiを動作させるためには、LSPの拡張機能をインストールする必要があるが、その説明がどこにも書かれていない
・Devinとの連携は特にない
機能なし
Vibe and Replace \times ・自然言語で、AIによる一括置換が行える機能
・しかし、条件を指定して実行してみたが、無視される
・通常の一括置換と差が無い・・・
・また、一度置換を実行すると、停止できない
機能なし
プレミアムリクエスト数 \triangle 500回
・Claude sonnet 4 は \times 2
・GPT5(low,medium) \times 1
・GPT5(hight) \times 2
・GPT5(slow)は、毎週250回。
※この中ではすべて、 \times 1 でCursorの方が優位。
また、GPT5(hight)は、Claude sonnet 4 と同等の速度でコードが書けるため、500回の優位性はあまりない
Autoであれば無制限
LM指定の場合、
トークン数にもよるが220〜300回
・Claude sonnet 4 \times 1
・GPT5(low,medium) \times 1
・GPT5(hight) \times 1
使用できるMCPのToolsの数 \times 50 80
CLI機能 \times なし あり(ただし、WindowsではWSLを使用する必要がある)
Visual Studioのプラグイン機能 \triangle ・Visual Studioのプラグイン機能も存在するが、4月から更新が停止している
・また、LLMもGPT4oやsonnet 3.7までしか使用できない
なし
Cascade機能 \bigcirc ・明確に、CodeとChatが分けられているため、誤ったファイルで更新される事が無い
・また、どちらもAgentとして動作する
Askモードが存在するが、Agent動作はしない
VS Codeのバージョン \triangle 1.99.3 1.99.3
チャットの回答速度 \times Cursorの方が速い
コードベースへの回答精度 \bigcirc WindSurfの方が若干精度高い印象(贔屓目にみた個人的な肌感)
自動アップデート \times アップデートの際に書き換えるファイルが、常に何者かにロックされており書き換えられず、毎回再起動が必要 再起動は必要なし
使用時のバグの発生率 \times ・GitHub MCPを呼び出すと、メモリーリーク、強調しすぎる事がある
・新しいプロジェクトを開くと、コード解析が一向に終わらない、遅すぎる時(強調しすぎて、再読み込みしたら完了する)
・頻繁にアップデートがあるため、上記の再起動が煩わしい
問題なし(コード解析の進捗も確認可能)

特に気になった点は以下の通りです。

  • バグの多さ: GitHub MCPを呼び出すとメモリリークが発生したり、アップデートの度に再起動が必須だったりと、開発体験を損なう問題が頻発しました。
  • 独自機能の未成熟さ: 期待の独自機能「Deep Wiki」は日本語に対応しておらず、ひと手間かけないと活用が難しい状態でした。
  • MCPの使いづらさ: 利用できるMCPツールの数で明らかにCursorに劣っており、状況によってMCPの切り替えが必要でした。

1ヶ月での復活劇:2025年10月の改善点

正直なところ、9月の評価を終えた時点では、しばらくWindsurfから離れるつもりでした。しかし、10月に入って改めて触れてみると、わずか1ヶ月で多くの課題が解消されており、その変化に驚かされました。

10月に改善していた点は以下の通りです。

機能 9月時点の課題 10月の改善点
Deep Wiki ・英語表示のみ
・別途LSP拡張機能が必要
・日本語で表示されるように!
・LSP拡張機能なしで動作
自動アップデート ・毎回再起動が必要 ・再起動が不要に
安定性 ・MCP使用時にメモリリークが発生 ・メモリリークの問題が解消
MCP Tools ・50種類 ・100種類に増加
プレミアムリクエスト数 ・Claude sonnet 4 x2 ・Claude sonnet 4.5 が x1消費で使用できる(Cursorはx2)
VS Codeのバージョン ・1.99.3 ・1.100.3にアップデート(Cursorは1.99.3)

特に、アップデート時の再起動が不要になったことや、メモリリークが解消された点は、日々の開発体験に直結する大きな改善です。また、Deep Wikiが手間なく日本語で使えるようになったことで、ようやくその真価を発揮し始めたと感じています。

まとめ:これからもWindsurfを応援したい

2025年、Windsurfは買収劇に翻弄され、一時はその存続すら危ぶまれるほどの苦境に立たされました。9月時点では、その影響がプロダクトに色濃く表れており、競合であるCursorに対する優位性を見いだすのは困難でした。

しかし、わずか1ヶ月という短期間で、ユーザーからのフィードバックを元にしたであろう数々の改善を成し遂げたことは、開発チームの情熱と底力を感じさせます。もちろん、Cursorにはある、CLI機能や、ブラウザ操作機能がまだなかったりと、課題が全てなくなったわけではありません。

それでも、この劇的な復活を目の当たりにして、私は「これからもWindsurfを応援していきたい」と強く感じています。AI開発ツールの世界は変化が激しいですが、Windsurfがこの先どのような進化を遂げるのか、一人のユーザーとして楽しみに見守っていきたいと思います!

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