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AI と共に爆速開発🔥誰でも使いこなせるようになる!バイブコーディングの基本と本質

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はじめに

こんにちは!株式会社 OCT-PATHで CTO をしている黛 政隆(X はこちら)です。

日々の学習や開発、本当にお疲れ様です!
最近は Cursor や Claude Code のような AI コーディングツールが驚くべき進化を遂げ、これまでプログラミング経験がなかった方でも、アイデアを形にできる「バイブスコーディング」が盛り上がっていますよね。素晴らしい時代だと思います!

「よし、AI と一緒にアプリを作るぞ!」と意気込んでみたものの…

  • 「なんだか思った通りに動かない…」
  • 「機能を追加したら、前まで動いていたところが壊れた…」
  • 「エラーが出たけど、AIに聞いても解決しない…」

こんな風に、見えない壁にぶつかって、悔しい思いをしている方も多いのではないでしょうか?

でも、ご安心ください。それはあなたのスキルが低いからではありません。AI の力を最大限に引き出すための、ほんの少しのコツを知らないだけなのです。

この記事では、AI コーディングで多くの人がなぜ失敗するのか、その根本原因を解き明かし、 誰でも確実にアイデアを形にするための「本質的な考え方」と「具体的な実践テクニック」 を、徹底的に分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたは AI を「優秀な相棒」として自在に操り、バイブスコーディングを心から楽しめるようになっているはずです。さあ、一緒に新しい時代のモノづくりを探求していきましょう!

【いきなり本質🔥】AI 時代の必須スキル「言語化力」とは?

まずはいきなり本質的な話をします!

「AI を使いこなせるかどうかは、その人の能力次第」とよく言われます。私は、この関係性を次のような方程式で表現できると考えています。

AI開発力 = あなたの言語化力 \times AIモデルの性能

どんなに優れた AI モデルを使っても、「言語化力」が低ければ、その性能を十分に引き出すことはできません。逆に、自分の考えを正確に言葉にできる人なら、AI を強力なパートナーとして、これまでにないスピードとクオリティで開発を進めることができます。

では、なぜ AI にとって「言語化」がそれほど重要なのでしょうか?

AI の真の強みは、「膨大な情報を整理し、その中から最適解を導き出す」 ことにあります。

  • 情報整理能力: 人間には到底不可能な量の知識やコードを瞬時に処理します。
  • 最適解の導出: 人間の持つ偏見(バイアス)なく、無数の選択肢から最適な答えを見つけ出します。時には、人間では思いもよらない解決策を提示することさえあります。

しかし、これには大前提があります。それは、AI が「何をもって最適解とするか」を正しく理解していることです。

一般的な質問であれば、AI は学習済みの知識から「一般論としての最適解」を答えてくれます。しかし、私たちが取り組むプロダクト開発における「最適解」は、常に 個別具体的な状況(コンテキスト) に依存します。

この「個別最適解」の条件を AI に正確に伝える能力こそが、「言語化力」 なのです。
そして、「言語化力」とは、突き詰めれば 「自分が本当に達成したいことを、明確な言葉にする力」 に他なりません。


なぜあなたの AI 開発はうまくいかないのか?

バイブコーディングがうまくいかない原因は、実は現実世界でのプロジェクト失敗の原因と非常によく似ています。

よくある失敗例

  1. 本当に達成したい目標(A) がある。
  2. そのための手段として(B) が良いと考えた。
  3. 手段(B)を実現するためのシステム開発(C) をエンジニアに依頼した。
  4. しかし、そもそも目標(A)に対する手段(B)が間違っていたため、システム(C)をいくら精巧に作っても、目標は達成されなかった…。

これは、AI に対する指示でも全く同じことが起こります。
多くの人は、自分が考えた「手段(B)」や「システム(C)」の実装方法を直接 AI に伝えようとします。しかし、AI はあなたの「本当に達成したい目標(A)」を知らないため、言われた通りのコードを生成するしかありません。その結果、的外れなものが出来上がってしまうのです。


STEP 1:すべては「要件定義」から始まる 📝

モノづくりの基本が要件定義であるように、バイブコーディングもまた 「要件定義」 から始まります。まずは、あなたが達成したいこと、作りたいものを AI に伝え、対話しながら最適なシステムの形を一緒に考えてもらいましょう。(ここはWEB版のChatGPTとかでOKです!)

開発の羅針盤となる「神の設計書」を作る 5 つのコツ

AI が正確に状況を理解し、最適なコードを生成するためには、質の高い要件定義書が不可欠です。以下の 5 つのコツを意識して、「神の設計書」を作り上げましょう。

1. 構造化の魔法「Markdown」を使う

文章が構造化されていないと、意図は正しく伝わりません。Markdown は、あなたの考えを強制的に構造化してくれる最高のツールです。見出し(#)やリスト(-)を使って、情報を整理しましょう。

2. 「背景・目的・課題」を最初に書く

なぜこれを作るのか?というコンテキストは、AI が最適解を導き出す上で最も重要な情報です。必ず最初に書きましょう。

sample_requirements.md
# 新しいTodoアプリ開発プロジェクト

## 1. 背景
- 既存のTodoアプリは機能が複雑すぎる。
- ADHDの傾向がある自分でも、タスク管理が苦にならない、シンプルで楽しいアプリが欲しい。

## 2. 目的
- 「タスクを追加する」「完了する」という2つの操作だけで使える、究極にシンプルなTodoアプリを開発する。
- ゲーム感覚でタスクをこなせるような、ポジティブなフィードバック機能を設ける。

## 3. 解決すべき課題
- ユーザーが使い方を学習する必要がないUI/UXの実現。
- タスク完了時に、ユーザーを褒めるようなユニークなメッセージをランダムで表示する機能の実装。

3. MVP(Minimum Viable Product)から始める

AI も人間と同じで、一度に複雑すぎる要求をされると混乱します。まずはプロダクトが成立するための最小限のコア機能(MVP) だけを定義し、そこから開発を始めましょう。

4. 「全部」書く(簡潔さより網羅性)

AI のコンテキストウィンドウ(一度に読み込める情報量)を気にして、情報を削る必要はありません。むしろ逆です。あなたが考えていること、懸念していること、細かい仕様など、思いつく限りの情報をすべて書き出しましょう。 情報は多ければ多いほど、AI の理解度は高まります。

5. 「サンプル」は最高の教師

AI は具体的な例(サンプル)があると、理解度が飛躍的に向上します。
例えば、「API のレスポンスは JSON 形式で」と書くだけでなく、具体的な JSON のサンプルを示すことで、AI はあなたの意図を完璧に理解します。

### API 仕様

- タスク完了 API (`/api/tasks/complete`)
- リクエスト:
  - `{"taskId": "t_12345"}`
- レスポンス(成功時):
  - `{"status": "success", "message": "よくやった!天才!"}`
- レスポンス(失敗時):
  - `{"status": "error", "message": "タスクが見つかりません"}`

STEP 2:AI の記憶をハックする「メモリ機能」活用術 🧠

バイブコーディングを支援するツール(Cursor, WindSurf, ClaudeCode, Gemini CLI など)には、プロジェクトのルールや設定を AI に記憶させておくための 「メモリ機能」 が搭載されています。(CLAUDE.md, GEMINI.md, .rulesなど)

これは、開発プロジェクトにおける 「憲法」 のようなものです。ここに書かれた指示を AI は常に意識して作業を進めます。

メモリファイルに何を書くべきか?

  • 最新の要件定義: 常に最新の状態に保ちます。
  • 開発の進め方: 実装フェーズを分けて(Phase 1, Phase 2...)、段階的に開発を進めるよう指示できます。
  • コーディング規約: コードの可読性を上げるためのルール(例: 詳細なコメントを入れる、デバッグログを豊富に出力するなど)を定めます。
  • チームの共通ルール: チーム開発の場合は、フォーマット規約や命名規則などを記載します。

【超重要】デグレードを防ぐ「禁止事項」の書き方

バイブコーディングで最も恐ろしいのが、新しい機能を追加したら既存の機能が壊れる 「デグレード」 です。(みなさん経験があるでしょう・・)これを防ぐために、AI に「絶対にやってほしくないこと」を明確に伝えましょう。


STEP 3:AI を自在に操る「指示(プロンプト)」の極意 🗣️

完璧な要件定義書とメモリファイルが準備できたら、いよいよ実装です。以下のフローで開発を進めましょう。

指示の出し方

  • 初期実装:

    @CLAUDE.md を ultrathink で深く理解し、MVP(最小限の機能)を実装してください。

    (※ ultrathink は Claude モデルがより深く思考するためのトリガーワードです)

  • 機能追加: 新しい Issue ファイル(xxx-issue.md)を作り、それを参照させます。

    @add-login-feature-issue.md を読んで実装してください。関連のないファイルのコードは一切変更しないでください。

エラー発生時の鉄則:すべての情報を AI に捧げる

エラーが出たら、それを解決するためのヒントを可能な限り AI に提供しましょう。

  • 画面上のエラーメッセージ
  • ブラウザの開発者コンソールのログ
  • ターミナルに出力されるログ

スクリーンショットを撮って画像を渡したり、長いログはファイルにまとめて(理由は前述)渡したりするのも非常に有効です。

AI の「原因特定しました!」を鵜呑みにしない

AI は時々、自信満々に間違った原因を提示してきます。何度やっても修正できない場合は、読み取り専用(ASKやPlan mode)にしてAI と話し合いをしましょう。そこでAIが提案する修正プラン(タスクプラン)をよく確認し、自分が納得できる内容になってから実行を許可しましょう。

どうしても解決しない場合は、セカンドオピニオンとして別の AI(ChatGPT、Web 版の Claude など)に相談してみると、あっさりと解決することがあります。


【必須スキル】バイブコーディングを支える「Git 管理術」 💾

コード開発において、Git によるバージョン管理は絶対に欠かせないスキルです。これは AI と開発するバイブコーディングでも全く同じです。Git がなければ、何か問題が起きた時に「前の状態」に戻すことができず、すべてが破綻します。

幸い、基本的な開発で使う Git の概念とコマンドはごくわずかです。

ゲームで例える Git の基本概念

  • commit: セーブポイントを作る(ゲーム機本体にセーブ)
  • push: セーブデータをクラウドに保存する(オンラインストレージにアップロード)
  • pull: クラウドからセーブデータをダウンロードする
  • reset / checkout: 以前のセーブデータをロードする
  • branch: 別のセーブデータスロットを作る
  • merge: 別のスロットのデータをメインデータに統合する

これだけは覚えたい!必須コマンド 6 選

# 1. 変更したファイルを選択する
git add .

# 2. セーブポイントを作成する(メッセージは分かりやすく!)
git commit -m "ユーザー登録機能のバックエンドを実装"

# 3. クラウドにアップロードする
git push

# 4. クラウドの最新版をダウンロードする
git pull

# 5. 現在の状況を確認する
git status

# 6. 【超注意】1つ前のセーブポイントに戻る(今の変更は消える!)
git reset --hard HEAD~1

※これらの操作は VSCode などのエディタの GUI からも実行できます。

具体的な開発シナリオで見てみよう

Todo アプリの開発を例に、Git の操作を見てみましょう。

このように、commitでこまめにセーブポイントを作っておけば、バグが発生しても安全な時点まで簡単に戻ることができます。


迷ったらコレ!おすすめ技術スタック(アーキテクチャ) 🏗️

AI は、Web 上に学習データが豊富な、広く使われている(枯れた)技術やフレームワークを扱うのが得意です。ここでは、バイブコーディングと相性の良い、シンプルで強力な構成を紹介します。

  • フロントエンド: Next.js
    • 現在最も人気のある React フレームワーク。簡単なバックエンド処理(API Route)も書けるため、小規模なアプリならこれ一つで完結します。Vercel へのデプロイも非常に簡単です。
  • データベース & BaaS: Supabase
    • データベース、ユーザー認証、ストレージなどを簡単に提供してくれます。AI に「Supabase を使って認証とデータ保存を実装して」と頼むだけで、面倒な処理を肩代わりしてくれます。
  • 複雑なバックエンド処理: GCP Cloud Run (サーバーレス)
    • Next.jsのAPI Routeでは時間のかかる処理などは不得意です。その場合はフロントエンドと分離して、Python などで重い処理や外部 API との連携を行いたい場合に最適です。

コラム:AI 時代の新しい開発思想 🚀

最後に、AI との開発が当たり前になった時代の、新しい考え方について少しだけ触れます。これは、今までの常識を覆すものかもしれません。

  • 冗長性を恐れない。共通化・抽象化はもろ刃の剣。

    • これまでプログラミングでは、コードの重複(冗長性)をなくし、共通化・抽象化することが「善」とされてきました。しかし、過度な抽象化はコードの依存関係を複雑にし、AI にとっては意図しないデグレードの原因になりがちです。「この機能はこのファイルだけで完結している」というシンプルな状態の方が、AI は安全かつ正確にコードを修正できます。AI はコードを書くのが無限に速いので、多少の冗長性は許容しましょう。
  • コメントは AI のために書く。

    • 「多すぎるコメントはコードの可読性を下げる」というのは、人間中心の考え方です。AI にとっては、処理の意図や注意点が自然言語で詳細に書かれている方が、はるかにコードを理解しやすくなります。トークン量を気にするよりも、AI の理解度を上げるメリットを優先しましょう。

おわりに:AI と共に創る未来

バイブコーディングは、単なる技術ではありません。AI と対話し、協力して、一人では成し遂げられなかったアイデアを形にしていく、新しい創造のスタイルです。

開発が進んだら、ぜひ AI にこう頼んでみてください。

「このプロジェクトのすべてのソースコードと要件定義書を読んで、詳細な設計ドキュメントと README.md を作成してください。」

数分後、あなたは見事なドキュメントを手にしているはずです。メンテナンスやドキュメント作成といった、これまで手間のかかっていた作業も、AI は喜んで手伝ってくれます。

この記事が、あなたのバイブコーディングの旅を成功に導く一助となれば幸いです。
Happy Hacking!!🐙


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