集中していない状態の仕事があなたの「実力」
ある程度の年月を社会人として過ごしていると、色々な割り込みなどで1日のうちで仕事に集中できる時間を確保できないことも珍しくありません。マネージャーとか新たな役割を担うようになった場合などは特に顕著でしょう。
こういう時に「仕事に集中できない」「実力を発揮できない」と心が荒みがちですが、ここはひとつ認識を改めてみましょう。
集中していない状態での仕事こそが、あなたの「実力」なのだと。
集中はチートである
よく言うフロー状態みたいな集中は、自分の実力以上のものを引き出しているチート状態なのだと考えます。
これを前提に物事を考えてしまうと、その妨げになるものに敵意を抱くようになってしまいます。
- あなたに相談しにきた同僚
- 目の前の仕事より重要かもしれない未来の仕事の種
- 家族や友人、あるいは趣味の時間
といった大切なものがあなたの手からこぼれ落ちてしまうかもしれません。
また、本来の実力よりも高い力を引き出すのは疲れるものです。1日に何時間も使えるモードではないし、何十年も続けるのは難しいでしょう。集中はドラゴンボールでいう界王拳みたいなものです。格ゲーならゲージ消費技です。
その状態を当たり前だと考えて走り続けるようになると、自分に対する期待値が高くなりすぎます。
「自分はこれぐらいの出力が普通に出せる」という期待値がどんどん高くなって、いずれは心身にダメージを与えることになりかねません。
戦略的に高い出力を維持する時期を設けるのはありですが、何年も続けるのはやはりリスクが高いでしょう。どこかで「集中せずに継続的な成果を上げ続ける」スタイルを身につけることをおすすめします。
具体的にどうするか
他の何かをしながらコードを書く
人と話しながらでもいいし、何かを見ながらでもいい。
「ながら」でコードを書くことを日常とすることで思考コストをかけずに成果を出せるようにしましょう。
子供の頃は怒られたりしがちですが、社会人として数十年に渡って走り続けるにはこのスキルは重要だと感じています。
大切なのは、同じ呪文を唱えるのに必要なMPを下げるための訓練です。
おじさんが1日ずっとSlackやTwitter(X)ばっかやってるのは、この訓練を日常からやっているからなんだよ!
仕事を小さく区切る
例えば、
- ご飯までもう少し時間があるぞ
- 予定がキャンセルになって予期せぬ空き時間ができた
- 次のMTGまであと15分あるな
みたいなちょっとした隙間で成果を出せるように日頃から備えておきましょう。
細切れの時間で少しずつ仕事を進めるのではなく、その短時間でカタを付けることが大切です。
午前にちょっと作業を進めて中断したら次のチャンスは6時間後、あるいは翌日まで訪れないかもしれません。
そのための具体策として最も大切にしているのは、とにかくPullRequestを小さくすることです。
コードを書くのもそうだし、レビューを短時間で済ませるためにも小さな単位で進められるチームを作ることが重要です。
リラックスした時に次の手を考える
風呂に入っている時でもいいし、散歩してる時でもいい。
なんでもいいので自分がリラックスできる時に「あそこの設計どうしようかな」とか「今度のMTGでこのへん提案してみよう」とかに思いを馳せるといい考えが出やすいです。
「そんな時に仕事のことなんて考えたくもない」という人も少なくないのかもしれませんが、集中せずに日常の中に薄くそういう時間を作るのは私にとっては悪くない習慣になっています。
最後に
言うは易しなので、実際にはなかなかうまくいかないかもしれません。
それでも、もしあなたが「集中できない現状はマズい」と焦っているのであれば、まずは「集中していない状態が普通なんだ」と意識を切り替えることで、自分を呪いから開放できるかもしれません。
ちょっとぐらい肩の力を抜いてみてもいいかもよ。
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