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広く伝えるための文章では固有名詞を略称で呼ばない

2023/06/03に公開

例えば私は業務上、社内に向けてお知らせを書く機会がそれなりにあります。

全世界の何万人に読まれるものではありませんが、決して少なくない様々なバックグラウンドを持つ人たちに伝えるお仕事です。また、その多くは具体的に何らかのアクションを起こしてもらうためのものです。

そうした広く伝えるための文章を書く時に、大切にしていることのひとつが「組織や制度などの固有名詞を略称で呼ばない」です。

略称を知らない人を蚊帳の外にしない

そもそも、その略称を知らない人にとっては何のことだか分かりません。

それはそのまま「このお知らせはあなたに向けて書いてません」というメッセージになります。

書いた本人がそう意図しているかは関係ありません。むしろ多くのケースではあまり深く考えずに習慣的に書いているだけでしょう。

受け手にとって意味の分からない略語が使われている場合は「これは自分に向けて書かれたものではないのだな」と解釈されると考えましょう。

  • その略称が分からない人は弊社にはいない
  • もし分からないなら、このお知らせを読まなくていい

と自信を持って言い切れる場合でなければ略するのは避けた方が妥当です。

読む人に認知負荷をかけない

まったく知らないわけではないが、略称を読み解くのに思考コストがかかる場面も少なくありません。

コストの大小には個人差がありますが、誰にどれぐらい負荷がかかるかを予想するのは簡単ではありません。

特に3文字略語は世の中に数多ある他の候補と衝突して認知負荷が高くなりがちです。

また略称というのは必ずしもひとつではありません。

  • 人によって略し方がまちまち
  • ひとつのお知らせに違う略称が混在(複数人で書くと起きがち)

なんてことになると、読む側にかかる負担はより大きくなります。

ともすれば読むこと自体が苦痛になって、本来伝えたかったことを理解してもらえなくなります。

これらを踏まえて認知負荷をコントロールできる自信がない場合は、やはり略称は避けた方がいいでしょう。

正式名称がないがしろになりかねない

チーム内などで軽く話す場合はともかくとして、社内に広くお知らせする場面で略称ばかりを使うと「そもそもこれ正式にはなんて言うんだっけ?」が分からなくなります。

あるいは「正式名称? こまけぇこたぁいいんだよ!!」という姿勢が見えてしまうかもしれません。自分が決めた名前ならまだしも、そうでない場合は対象への敬意を欠いているように見える可能性もあります。

お知らせを出す時は、その名称を知らなかったり馴染みが薄い人に知ってもらうきっかけでもあると捉えて、正式な名前を使うようにしましょう。

もし、あまりにも長かったり複雑すぎて正式名称を書くとかえって分からなくなる場合は、そもそもの名前付けに問題がある可能性が疑われます。

お知らせを書く人は「私が決めた名前じゃないのに…」となってしまうかもしれませんが、その場合は社内用語であれば名前変えませんかみたいな話ができるといいですね。

正式名称だと長すぎてかえって読みづらい場合は、最初にフルで書いて(以下○○)と文中での略称を提示すると混乱を避けられます。

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