今さら聞けないPLG
はじめに
今回はPLG
について紹介します。
PLG
はZoom
やSlack
などの急成長中のSaaS
が実践している成長戦略です。
参考
下記の記事を参考にしています。
PLG
とは
PLG
はProduct Led Growth
の略です。
直訳すると「製品主導の成長」という意味です。
ここで言う成長とは 「企業」などの製品を提供する母体の成長を意味します。
これに対して、従来のように「営業担当やプロモーション広告が顧客にアプローチして、製品を購入してもらう」成長方法をSLG
(Sales Sells Product
)と呼ばれています。
PLG
は「製品が直接顧客に価値を伝えて、購入を促す」ような戦略です。
具体例
参考文献中ではSlack
の例が紹介されていました。
業務でSlack
を利用している方は多いかと思いますが、Slack
を使い始めたきっかけは何でしょうか?
恐らくですが「Slack
の営業担当の人がやって来て、あれこれ説明を受けて、よし使ってみよう!」というプロセスを経た方はいないのではないでしょうか。
どちらかといえば、「知人や職場の人が使っていて(あるいはTwitter
かもしれません)、とりあえず無料で始めてみたら使い勝手が良く、徐々にチームに浸透してきたので有料プランに切り替えた」というケースだと思います。
丁度、下図のようなイメージです。
これがPLG
の成功例で、「Slack
の無料機能によってリーチし、顧客を獲得した」ことになります。
この間にセールスやプロモーション的なプロセスはほとんどなく、まさに 「製品が顧客を獲得し、企業が成長していく」 ことになります。
時代と共にリーチすべきユーザが変わった
PLG
が隆盛している要因として、 「時代の流れと共にリーチすべきユーザが変わった」 という点が挙げられます。
下図のようなイメージです。
一番左はCIO
時代と呼ばれており、80〜90年代です。
この時代のソフトウェア製品は昔ながらのオンプレで、購入に際する意思決定はCIO
が行っていました。
そのため、販売戦略としては「CIO
のもとに、営業担当が足繁く通う」ことが主でした。
真ん中はCIO
時代から少し時が流れた状態です。
ソフトウェアがクラウドに移行し、「シングルインスタンス、マルチテナント」を謳っています。
開発コストが減ったため製品価格も抑えられ、購入者もCIO
から管理職・幹部クラスへと移り変わりました。
販売戦略としては「デモンストレーション」などが挙げられます。
そして今、これからの時代を表すのが右の図です。
購入者の中心になるのはエンドユーザで、個々人が製品に触れて取捨選択を行います。
この時代の戦略として注目を集めているのがPLG
です。
PLG
企業一覧
Slack
以外にもPLG
を導入している有名企業は数多くあります。
下図によるとPLG
を取り入れている企業で最古参はhamachi
で有名なLogMeIn
です。
そこからWix
,shopify
,DropBox
,Zoom
など、時代の最先端を行く企業が次々と登場していきます。
IPO
後のパフォーマンスを見てみると、PLG
企業はS&P500
よりも高い成長性を見せています。
SE
,PG
としてPLG
にどう対応していくか
ここまでの話を聞くと「企業の成長戦略的な話で、技術的な内容は何も関係ないじゃないか」と思うかもしれませんが、PLG
を導入する場合、製品自体の設計も大きな影響があります。
PLG
はその性質上、 「無料開放している機能から有料オプションの販売への導線確保」 が重要になってきます。
「どこまでを基本無料とするか」の設計や「購入ロジック」の実装などは必須になってくるので、この辺りは今後もアンテナを高くしておくと役立つように思えます。
とは言ったものの、最近Zenn
やQiita
で投稿される「個人開発サービスやポートフォリオ」の記事を見ていると自然と「ゲストユーザログイン」のようにPLG
の形態を取り入れている方が多いので、感覚的にこれからの時代にどういったサービス設計にすべきかは浸透しているのかもしれません。
まとめ
今回はPLG
について紹介しました。
私自身の周りでもPLG
を積極的に取り入れていきましょう、という風潮になりつつあります。
間違いなく今後のトレンドにはなると思うので、興味がある方は元文献の方も参照されてみてはいかがでしょうか。
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