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【初心者】モジュールを作ってみよう〜【FPGA入門】

2022/04/24に公開

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はじめに

FPGA を使うことで、自分だけの IC を作ることができます。今回は、FPGA で回路設計をする際に使う、VerilogHDL という言語 を使って、もっとも基本的な要素である「モジュール」を作ってみます。

「厳密さ」よりも、「分かりやすさ」を重視しています。ご了承ください。

分かること

  • 回路内の部品(モジュール)はどうやって作る?
  • 入出力ポートって?

今回のゴール

今回のゴールは、VerilogHDL を使って、「モジュール」が作れるようになることです。
スイッチを ON/OFF すると、LED が点灯するコードを紹介します。

誰に向けて?

FPGA についてあまり詳しくない方を想定して書きました。
今回の内容は、下記の記事を見てからの方が、理解が深まります。ぜひ。

https://zenn.dev/nekoallergy/articles/5b0677796ba6a1
https://zenn.dev/nekoallergy/articles/fpga-basic-01
https://zenn.dev/nekoallergy/articles/fpga-basic-02

(おさらい)HDL とは?

FPGA 内の電子回路(ハードウェア)の構成は、ハードウェア記述言語を使って書くことができます。ハードウェア記述言語は、Hardware Description Language の頭文字をとって、HDL(エイチ ディー エル)と略されます。

初めはプログラミング言語と思ったら OK ですが、プログラミング言語とハードウェア記述言語は全く違うものなので、注意してください。

(おさらい)HDL は 2 種類ある。2 種類しかない。

HDL は、VHDL と VerilogHDL の 2 種類が使えます。Python とか Javascript など、プログラミング言語に種類があるのと同じです。ハードウェア既述言語(HDL)では、基本的にこの 2 つしかありません。

  • VHDL :ブイ エイチ ディー エル
  • VerilogHDL :ヴェリログ エイチ ディー エル

どちらを使っても、FPGA 上にハードウェアを作ることができます。この 2 つに優劣はあまりないので、どちらを使うかは好みです。

今回は、Verilog の基本的なコードの書き方を解説します。ハードウェア記述言語(HDL)のイメージをつかむことが目的です。

モジュールってなに?

モジュールとは、回路を作るための 1 つ 1 つの部品のことです。

HDL の最終的な目標は、想像通りの動きをしてくれる電子回路(IC)を作ることです。そして、その IC はいくつかの部品から構成されています。 部品のことをモジュールと呼びます。

HDL で行うことは、必要なモジュールを作り、モジュール同士を配線でつなげていくことです。

部品を組み立てるぞ

1 つのモジュールは、1 つの役割を持っています。

たとえば、「カウンタ」と呼ばれるモジュールは、「数を数える」という役割をもっているモジュールです。「シフトレジスタ」と呼ばれるモジュールは、「1つずつ値をズラす」という役割をもっているモジュールです。

部品単体でみると、できる動きはめっちゃ単純で、シンプルなものばかりです。しかし、それらを組み合わせていくことで、複雑な動作をする IC を作ることができます。すごい。

突き詰めれば、FPGA を使って CPU を作ることもできます。GPU を作ることもできます。FPGA は、何にでも化けることができる、可能性を持った IC なんです。すごい。

たとえばこんな感じ ↓ で組み立てていきます。

めっちゃシンプルなモジュールの例
module main();

	input SW;
	output LED;

	assign LED = SW;

endmodule

上記のコードは、「スイッチの ON/OFF に合わせて、LED を点灯させる」というモジュールです。書き方は、プログライング言語の関数みたいですね。簡単な英単語だけなので、なんとなく伝わるはずです。

これは、いっちばん簡単なモジュールなので、もっと細かい動作をつけることもできます。

順番に解説していきます。

STEP01  モジュールを作ってみよう

1 からモジュールを作ってみます。わりと簡単です。

and回路(andモジュール)を作ってみる
module and();
	//この中がモジュールの内部
endmodule

上記のコードでは、モジュールの枠組みだけ書きました。module から始まり、endmodule で終わります。これで 1 個のモジュール完成です。うれしい。

and();の部分にモジュールの名前を書きます。モジュール名はプログラマが自由に決めることができます。今回は、and って名前にしてみました。

このコードでは、形だけ定義した状態なので、特に動作も何も起こりません。ただ、エラーも発生しないので、FPGA に書き込むこともできます。(何も起こらないけどね)

STEP02  入出力ポートを追加しよう

次に、モジュールに「ポート」を追加します。モジュールという体から、足をはやすイメージです。

and回路(andモジュール)を作ってみる
module and(signal_a ,signal_b, signal_out);
	input signal_a;     //入力信号
	input signal_b;     //入力信号
	output signal_out;  //出力信号

	//ココに処理を書いていく

endmodule

and()の、(かっこの中)にポートの名前を並べて書き足します。ここでは、signal_a, signal_b, signal_out という 3 つのポートを定義しました。

また、各ポートに対して、入力信号なのか、出力信号なのかを決める必要があります。今回の場合、signal_asignal_b が、モジュールに入力されて、signal_out が、モジュールから出力されることにしたいです。

これにより、モジュールが別のモジュールと通信できるようになりました。ポートって出入口みたいな意味です。ポートの書き方とか考え方は、普通のプログラミング言語でいう、引数と返り値みたいな感じですね。

この状態でも FPGA に書き込めますが、まだ何も動きません。

STEP03 処理を記述するぞ

さて、モジュールの中に処理を追加していきます。

and回路(andモジュール)を作ってみる
module and(signal_a ,signal_b, signal_out);
	input signal_a;
	input signal_b;
	output signal_out;

	assign signal_out = signal_a & signal_b; //ここ追加した

endmodule

内部の処理を記述しました。今回は、signal_a と signal_b の、AND(論理積)をとり、その結果を signal_out に繋げてみました。

assign 文を使うことで、信号を繋げることができます。(詳しくは割愛)

それぞれの信号は、1bit 分の 2 進数という点に注意してください。普通のプログラミイング言語みたいな、整数とか文字列は出てきません。(ちょっと出てくる場合もあるけどね)

モジュールを呼び出すぞ

改めて言いますが、モジュールはただの部品です。そのままでは、ただ定義しただけです。なので、作ったモジュールを、実際に使ってみましょう。

and回路(andモジュール)を作ってみる
module main();

	input SW_A;
	input SW_B;
	input SW_C;
	output LED_01;
	output LED_02;

	and a01(SW_A, SW_B, LED_01) //ここでモジュールを使っている
	and a02(SW_B, SW_C, LED_02) //ここでモジュールを使っている

endmodule

新しく、main()というモジュールを作りました。このモジュールには、3 つのスイッチと、2 つの LED をポートして定義しました。

詳しくはまた紹介しますが、main モジュール のポートは、実際の FPGA ボード についているボタンとか LED に繋がっています。(コードとは別の設定が必要です。今回は割愛。)(別に main って名前じゃなくても OK だよ)

さて、この main モジュールに、さっき作った and()モジュールを追加しています。プログラミング言語の関数のように使うことができます。

and a01(SW_A, SW_B, LED_01)の部分で追加しています。andはモジュール名です。a01の部分は、個別に付けることができる名前です。無くても動作しますが、モジュールをたくさん使う場合、それぞれに名前があった方が便利です。

さて、これにより、こんな回路を作ることができました。↓
💡SW_A と SW_B を同時に押すと、LED_01 が光る。
💡SW_B と SW_C を同時に押すと、LED_02 が光る。

とってもシンプルです。
FPGA に書き込めば、回路を動作させることができます。

今回のまとめ

今回は以上です。興味を持たれた方は、ぜひもっと調べて見てください 🐱

全コード
//ここからメインのモジュール
module main();

	input SW_A;
	input SW_B;
	input SW_C;
	output LED_01;
	output LED_02;

	and a01(SW_A, SW_B, LED_01)
	and a02(SW_B, SW_C, LED_02)

endmodule

//ここからAND回路のモジュール
module and(signal_a ,signal_b, signal_out);
	input signal_a;
	input signal_b;
	output signal_out;

	assign signal_out = signal_a & signal_b;

endmodule

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