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プロダクトづくりをテーマとした社内講演とワークを行いました!

2023/11/21に公開


外部講師を招いてのスペシャル講演会です!

こんにちは、NE株式会社に勤めますきんじょう(@o0h_)です。

去る10月の第4週に、NEでは「プロダクトづくり」をテーマとした社内講演+ミニワークを開催しました。
今回の企画は、外部講師として森雄哉さんをお招きしたものです。
結果として、参加者からは「間違いなく良かった!」という声が多く挙がる、非常に素敵な時間になりました。
(もちろん、私を含む企画を主導した面々は大満足&大興奮でした!)

そんな訳で、実施のねらいや背景と、企画の表側に裏側、実施後に寄せられた参加者の声を紹介します。

記事のねらい

  • とても素敵な時間を作っていただいた森さんに、あらためて感謝を届けたい
    • そのおかげで学びの多い話を聴けたので、外部にもシェア(過去の登壇資料も超オススメ!)
  • 「外部講師を招いて社内講演をやってみるのは良いぞ」という気持ちを届けたい
    • メンバーの&組織としての学習の機会創出やモチベーションアップにもつながる
  • そんな機会を作っている&大事にしているNEという会社を知ってもらいたい
    • We're hiring・・・!

森雄哉さん

森さんは、プロダクトマネジメントや組織開発について非常に精力的に発信されている方です。
私自身は、RSGTやスクラムフェス、アジャイル関連のコミュニティでそのご活躍を拝見しておりました。
登壇にこめられたメッセージの鋭さや、具体抽象を織り交ぜた分かりやすい内容、その背景に感じられる圧倒的なインプット量、etc..
毎度毎度、強い刺激をいただいています。

PdMの伊藤とも「この人の話を、社内メンバーに聴いてもらう機会が作れたらきっと素晴らしいだろう、いつか呼んでみたいな」と話していた存在です。

森さんを"未経験"の方は、ぜひ過去の発信をご覧になってみてください

note上で「仕事のご依頼」の記事があるのを知っていたので、こちらから最初のコンタクトを取ってみる事になりました。
https://note.com/mryy/n/n036d6fb9691d

NEと社内講演

時は遡って前期末、CTOと「次期はどんな期になるのか」と計画を立てる中で「ぜひ、外部からゲストを招いての講習や講演などの形で、刺激をもらって組織の成長につながるような機会を作ろう」という話が出てきます。

NEでは、Hamee株式会社からの分社化以前から、折を見て外部から講師をお招きしての社内講演会を行ってきました。
過去にも、和田卓人さん曽根壮大さんによる講演が開かれています。

そして、「このタイミングならプロダクトに関するテーマが良いのではないか」という見解で一致を見ます。

まだまだ道半ばではあるものの、直近の期間において、社内では何だか開発生産性や内部品質についての意識が格段に高まってきたように変化を感じている所です(それが起きた明確な理由もあります)。
集団の変化というのは、まずは「気づき」「意識の変化」から始まりますが、ここの萌芽さえ出来れば「後は自動で結構どうにかなる」というのが個人的な感覚です。
となれば、全体を見る立場にある身としては、そんな状況を踏まえて、「次の矢」を仕込んでおく必要があるでしょう。
そこで浮かんできたキーワードが、「プロダクト」「アウトカム」「職域を超えてコトに向う組織」といったものでした。

そして、「プロダクトと言えばこの人!!」ということで、森さんの名前が挙がります。

講演テーマ

今回は、「プロダクトとは何であるか」という哲学・マインドに関する話と、「プロダクト入門」という基礎理解を整理する話をしていただきたい!というテーマで講演を依頼しました。[1]

NEのエンジニア組織では、「北極星(=ありたい姿、我々らしさ)」と「歩み方(=価値観、日頃の行動の基準となるもの)」を定めています。
その価値観の1つが「顧客の喜びのため」です。[2]

そして、森さんは過去の登壇[3]において「プロダクトは顧客の思いに応えるもの」と表現していました。
これこそ、「まさに!」と言える、組織全体で考えたい話題ではないかと感じたのです。
「プロダクト」という存在について、こんなマインドで、あらためて皆で視線を向けることが出来たなら・・・!
自分たちで定めたエンジニア組織の価値観にも立脚しながら、今の仕事により深い意味を持たせていけそうです。

そうして、今回のテーマが決まりした。


実際に、初回の打ち合わせ後に森さんにお送りしたメール[4]

講演当日


つまりこういうセッションだ!の場面

今回は、こちらからリクエストして、過去に発表されていた「プロダクトってなに? マネジメントってなんなの? ゼロからプロダクトマネジメントを 明らかにするぞ」の内容をベースとした講演をしていただきました。

参照: Speaker Deck https://speakerdeck.com/moriyuya/what-is-product-management

そして、森さんから「聞いているだけでは分かったつもりになってしまうので、 途中途中でワークを挟むのが良いのではないか」とご提案をいただき、全体でのワークも実施されることになりました。

実際のタイムラインは次のような形になります。
全てオンラインでの実施です。

コンテンツ 目安時間
1 オープニング・講師紹介 10分ほど
2 講演+ワーク 90分ほど
3 講演+ワークを通じてのふりかえり 10分ほど
4 Q&A 30分ほど
5 クロージング 数分

ノンストップでの2時間半と、ボリュームとしても重厚な時間です!
その中でも、学びの密度を高めるための取り組みも行いました。

  • 講演中は、Zoomのチャットで自由に感想や気付きを共有し合う
  • ワークはMiroを用いたインタラクティブなもので、他の参加者の様子も簡単に見えるように
  • 同じMiro上に、講演やワーク中に「あとで聞きたいこと」を自由にストックできるエリアを用意

タイムラインは森さんがご提案していただいたものに沿った形です。
全体的に「ただ聞くだけで終わりにしない」「パートごと、全体でしっかりふりかえりのタイミングを挟んで、IN-OUTのサイクルを作る」という設計になっていたなぁ、と強く感じます。

実際に、参加者からの感想としても「ワークを織り交ぜながらの進行が、メリハリを生んでいて良かった」「インプットを受けた後に、自分の頭と手を動かして咀嚼するタイミングが設けられていたことで、理解がより深まったと感じる」といった声が多く寄せられていました。
また、「自身が同様のコンテンツを実施する際にも真似したい」という人もいたようです。

森さんからは、「NEの人たちは、Zoomでのチャットで積極的にワイワイと盛り上がっている雰囲気や、Miroを自然に使い込んでいて良いですね」とコメントをいただき、コレは個人的に結構な嬉しみポイントでした。


Miro上で展開されたワークの様子(一部)①


Miro上で展開されたワークの様子(一部)②


実際にMiro上でやり取りされたQ&Aの様子。
当日に扱いきれなかったものも、森さんのご厚意で後日に丁寧なご回答をいただきました!

講演の内容について〜参加者からの声とともにふりかえる〜

講演の内容について、事後アンケートにて参加者から寄せられた声と共に紹介します。

プロダクトの構造: 体験価値・中核要素・間接要素

「プロダクトは、その価値・要素を「構造」で捉えることが可能で、よく出来た製品パンフレットはその構造と対応した作りになっている」という説明がありました。
詳しくは、Speaker Deckの資料(#72〜)で見ることができます。

参加者からの感想です。

  • パンフレットの話が面白かった。
  • 実際に存在するパンフレットを見てプロダクトの構成要素を考えるというのが、自分の中では新鮮な体験でした。
  • 「体験価値」「中核要素」「間接要素」の様に機能に対して分解できる部分が論理的で面白いと感じました。また、それがパンフレットに表れている、というのもさらに納得感が増し大変興味深かったです。
  • 中核要素中心の思考になりがちなので、体験価値が抜けてしまうことがある。そうなると、あれもこれもと詰め込めすぎてしまうことがある。

ワークを通じて「何が中核要素で、何が間接要素かを考えてみると意外と難しかった」という声も挙がっていました。
Q&Aでは、「狩野モデルでいう当たり前品質は、それが無いとプロダクトとして成り立たない中心的な要素だが、これは中核要素と言って良いのだろうか?」という質問も出ています。
それに対して、「その要素は、パンフレットの冒頭において目に入りやすいものにしたいのか?そう考えると、刺さらないかも知れない(なので、ここでいう中核要素には当てはまらなそう)」「間接要素は、実際に購入した後に気づくもの、購入時点では検討軸として念頭に上がりにくいもの」とのアドバイスをもらいました。

「プロダクト」「(顧客の)ニーズ」のような、フワっとした無形の存在に感じるものでも、「実は身の回りで論理的に具現化されている例があるんだ!」と衝撃を受けている参加者が非常に多く見られました。
ここから、「日常生活の中でも、プロダクト脳を鍛えることはできるんだ」というメッセージも受け取ったように感じます。

プロダクトの変化

プロダクト自体の進化や競争環境の変化といった外部要因により、プロダクトの構成要素が追加されたり変化されたりしていきます。その際には、顧客に提供したい体験価値の実現に向けて、過不足なく「ぴったり」な変化が大切である、という説明がありました。
詳しくは、Speaker Deckの資料(#113〜)で見ることが出来ます。

参加者からの感想です。

  • 我々が提供した方がいい価値もきっと時代とともに変化していると思うのであらためて言語化したいし、それを踏まえて自社製品のパンフレットを作るとかは実際にやってみても良いのかも。
  • 昔からのユーザーと新規のユーザーでニーズが異なるというのも長いプロダクトだと難しい要素だなと感じました。
  • 自社のプロダクトがどういう価値があって、どこを目指しているのか。3年後のパンフレットを考えてみる、っていうのはめっちゃ良いアイデアだと思ったのでこれを考えていきたいと思いました。

「プロダクトが長く続くと、段々と機能が増えてくる」という状況が多くあると思います。また、自分たちのプロダクトだけに限らず、そのプロダクトのカテゴリの成熟や「当たり前」と見なされる機能が増えることによって、求められる機能の種類や数が増えていくこともあります。
「段々と『最低限』のハードルが上がっていくと、何が中核要素か・いま作るべきモノが分からなくなる時もありそうだ」との声も挙がりました。
それに対して、森さんからは「何が当たり前になっているかを見越していくことが必要。3年後の自分たちのプロダクトのパンフレットのを考えてみると良い。そこに何を載せたいか?必ずしも、今の段階でピンとくるものではないかも知れないが、先を見越してプロダクトマネジメントをしていく」とのアドバイスをもらいました。

プロダクトの差別化、ニーズの差異

同じ製品や機能を持っていたとしても、「誰がどんなシチュエーションで利用するのか」で求められる・利便性をもたらす特徴が異なります。
すなわち、「人によって、刺さる差別化は異なる」「ニーズを掴むことが大事」ということで、これについてはあらためて考えていかなければいけないなと気づきを得た参加者は多かったようです。
言葉にすると身も蓋もなく思えるようなことでも、普段の自分の活動に(できている?できてない?)と照らし合わせみると、ドキッとさせられますね・・・
詳しくは、Speaker Deckの資料(#134〜)で見ることが出来ます。

参加者からの感想です。

  • 何でもかんでも、機能を入れがち、作りがちにはなりますが、差別化するにあたり、 どのようなターゲット層のユーザーに刺さるようなポイントを作るのかの指針が重要ではありつつ、割とブレることが多いなと痛感しております。
  • 各所に他社との差別化を盛り込む事、差別化のコンテンツがニーズにマッチしてる事、 独りよがりの価値にならないようにしない事。めちゃくちゃ大事だと思いました。 プロダクトを作るには、まずはニーズの把握が重要。
  • 最後のQ&Aでお客様の言いなりにならない。言いなりになってしまうと実質子会社になるというお話しはハッとされられました。
  • 特定の顧客からの意見を聞き入れすぎるのは、長いスパンで見た時に逆効果になり得る場合もあるなというのは再認識できた

「自分たちにとって何が大事であるか」を考えていくこと、それを突き詰めて動くこと、「顧客の声から何を学び、どう取り扱うか」に関連する話もQ&Aのコーナーで出てきました。
B2B事業をやっていると、顧客の声には全て応えていきたくなるものです。しかしながら、機能の充実が必ずしもプロダクト価値の増幅につながるとは限りません。しっかり「マネジメント」して、届けるべき人の思いに応えていくことが重要です。
とてもシビアな事だと思いますが、プロダクトを通じてよりよい未来を作っていけるかは自分たち次第なんだな!とも、あらためて感じた次第です。

全体を通じて

個人的には、とにかく楽しめた贅沢な時間でした!
「自分が話を聴きたい人をお呼びして、自分たちのためだけにお話をしてもらえる」というだけでも最高なのですが、社内講演の醍醐味はQ&Aの面白さにあるとも感じます。
クローズドかつ仲間内しか居合わせない状況なので突っ込んだ話をしてしまえるのもありますし、他の参加者のことを考えずに「自分たち都合」の話題を許されることで、一気に解像度が高まりやすいです。 良いものですよね・・

今回は主にエンジニア部門を対象として起こした企画でしたが、「部門に関わらず、周りにいる聴いて欲しい人はぜひ誘ってみて!」とアナウンスしていました。
実際に一部のチームではセールスやマーケティングのメンバーも誘い合わせて参加してくれていました。それだけでなく、そのメンバーたちから自主的に「この講演で聞いた話を踏まえて、翌日にチームで今のプロダクトについて考える場を作った」というアクションも生まれていた様子です。

参加者にとって、「ただ良い話を聞いて終わり」ではなく、「刺激をもらって、むしろそこから後が本番だと思える」のが、こうした企画ごとにおける最高の成功の形なのではないかと考えます。
そうした意味では、今回の講演+ワークは「かなり良かった!!!」と思いました。
これも一重に、森さんのお話の「大事さ」「良い塩梅の分かりやすさ」「ワークやふりかえりを設けて適切にラッピングしていく設計の良さ」が功を奏したものだと感じます。

また、「プロダクトマネジメントやプロダクトマネージャーを、『崇拝の対象』や『権威』にしてはいけない」「みんなで取り組めるようにするには、まずはPdMやリーダーが楽しみながらプロダクトについて考えている姿を見せていってほしい」というアドバイスも森さんからいただいています。[5]
「プロダクトは大事なもの」であり「それを扱う専門的な立場の人」だからこそ、その振る舞いが組織全体にとって(良くも悪くも)非常に重大な影響を持つのだろうな、と感じました。
その点で言えば、今回は「話を聞けてよかった」「楽しかった」という声も多く集まっていることから、NEにとって良い方向へと歩みだすための1日になったはずだと手応えを覚えています。

非常に素敵な時間を提供していただいた、森雄哉さんに感謝でいっぱいです!!

私が担当した講演前のオープニングの中で、「『開発組織』を乗り越えて『プロダクト組織』になりたい」という旨のメッセージを出しました。
大変そうですが、取り組む価値のある&きっと楽しいテーマだと考えています。
そのための第一歩になれたでしょうか?

これからのNE株式会社に乞うご期待です!!

脚注
  1. 初期段階のコンタクトをとった段階では、まだ「プロダクトについてお話を聞ければ」という漠然としたイメージでした。初回打ち合わせの際に、依頼に至った背景の共有や課題感の相談を行い、テーマの明確化が進んだ形です。丁寧にこちらの話を聞いていただき、いくつもの問いかけを受け取りながら、素晴らしい壁打ちの時間になっていったと感じます ↩︎

  2. 詳しくは、「NEエンジニア「北極星」と「価値観」の紹介」というタイトルで書いたコチラの記事をご覧ください ↩︎

  3. プロダクトってなに? マネジメントってなんなの? ゼロからプロダクトマネジメントを 明らかにするぞ / what is product management - Speaker Deck の#61 ↩︎

  4. 「外部の権威に頼る」というのは、RSGT 2023での岩瀬さんのキーノートで語られている視点に着想を得たものです。こちらもまた最高の講演なので、未見の方はぜひ御覧ください。 ↩︎

  5. 本番当日の事前打ち合わせでは、こちらのスライドが登場しました😏 ↩︎

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