開発部内でDogfooding やってみました
Dogfooding やってみました
こんにちは!
私はNEで複数拠点周りの機能を開発するチームに属しており、ここ最近は拠点周りの新機能開発を行っています。
「使いやすいプロダクトを作りたい」「使い心地のいいUIを実現したい」
新機能開発のとき、開発者はこんな想いを胸に抱くと思います。
実際にユーザーにインタビューしたりして使いやすいものになっているか確認したいところですが、コストがかかり頻繁にはできないですよね。
Dogfoodingでは開発中の製品・機能を社内リソースでテストすることで、開発物のFBを得て改善を目指すものです[1]。
今回、開発部の他チームと合同でDogfoodingすることで、新機能へのFBにとどまらず、多くのものを得ることができました。
そんな、社内ではじめてDogfoodingをやってみた体験記を綴ります。
なぜしたのか
発端は、あすみさん(@asumikam)より「Dogfoodingをしないか?」とお誘いを受け、やることになりました!経緯に関してはこのようなものがあったようです。
↓
Women in Agile Tokyo 2024で、アジャイル開発における"あたらしい品質保証"のかたち。〜「プロダクトゴール」をチームで目指すために必要なこと〜の登壇を見た時に、「チーム内でリリースしたもののDogfoodingをやっている」というお話を聞きました。
やったことのないことでハードルを感じていましたが、やり方について聞くと、週に1時間ほど集まってやる、のようなものでも十分に効果があることを知り、「自分たちでもやってみたい!」となりました。
そこで、同じプロダクトの違う新規機能を開発しているチームに声をかけて、晴れてやってみよう、となりました🙌
参照:
(by @asumikam)
誰と
私の所属する「複数拠点機能の開発チーム」と、あすみさん(@asumikam)の所属する「商品管理機能の開発チーム」の2チーム合同で行いました。
この2チームは、社内イベントでは交流があるものの、普段の開発ではあまり交流がありません。
そのため、相手のチームが開発している機能をよく知らない状態でした。
今回の会が相手のチームの開発中の機能をはじめて触る機会であり、Dogfoodingにもってこいでした。
やったこと
事前準備
事前に準備として、以下の項目を考えました。
- なりきってもらうペルソナ
- やってもらう操作
今回Dogfoodingを行うにあたり、ユーザーリサーチ手法のひとつである「コンテキスチュアル・インクワイアリー」を参考にしました。
これはユーザーが機能を操作する様子を観察し、ユーザーには操作の説明をしてもらうものです。
これにならい、相手チームに自チームの開発中の機能を、考えていることを口に出しながら操作してもらいます。
この操作と、操作の動機づけのために操作者になりきってもらう「ペルソナ」を事前に各チームで考えました。
やってもらう操作は、「この設定画面で◯◯と入力し、このボタンを押す」のような具体的なものではなく、「◯◯の操作をこれまで手作業で行っていたが、新機能を用いて自動化するよう設定する」のような粒度のものとしました。
ユーザーがしたい操作について、具体的な操作方法を示さなくても新画面を見て伝わるか、どこで操作者が迷うか、などを調べるためです。
当日
Check in
当日は、オフィス現地にあつまりました。
まずはじめに、この会の流れを確認しました。
次に、事前準備で作成したペルソナと、操作者にしてほしい操作を共有しました。
Fooding Time
いよいよFoodingの時間です!
操作者側のチームから操作者をひとり決めます。
操作者のPCをプロジェクタに接続し、みんなで操作者の画面を見ながら進めます。
操作者はペルソナを再度確認し、ペルソナになりきります。
準備ができたら、Let's Fooding🐕🐕🐕
ペルソナになりきった操作者が考えていることを口にしながら操作します。
途中詰まっても、なぜ迷っているかを口にし、ときには操作者のチームメンバーに相談しながら操作を進めていきます。
その操作の様子を、開発側のチームメンバーはメモをとっていきます。
やってもらう操作が終われば、このラウンドは終了です。
今回は2チームで行ったので、この流れで1ラウンド行い、操作者側と開発側を入れ替えて同じ流れでもう1ラウンドを行いました。
ふりかえり
操作者の様子・発言を見て・聞いて、メモした内容や気づいたこと、感想などをチーム間で交わしました。
その後、各チームに分かれ、チーム内でのふりかえりを行いました。
気づきなどをチームメンバー各々が付箋に書き出し、メンバー同士で共有しました。
そして議論をしながらグルーピングを行い、次のアクションを考えました。
起こったこと、生まれた感想
新機能をはじめて見る人に操作をしてもらい、その様子から以下のようなことに気づきました。
- 画面のある文言が読まれない、または伝わらない点
- ある操作ができるのに、気づかれない点
- 設定画面が見つけられない点
- 概念や設定の認識のズレ
- ある設定をしたい時に、別の設定画面を開いてしまう、など
- うまく設定できているか伝わらない点
- 逆にここは伝わる、ここはわかりやすいという点
その機能の開発者では気づけないところに、初見だからこそ出る意見が刺さりました。
また、操作中に迷っていることを口に出してもらうことで初見の人の思考の流れがわかり、UIのわかりにくい点から概念のわかりにくい点まで、さまざまな気づきを得ることができました。
このFBを活かすことで、多くの人によりわかりやすい画面づくりへと活かせそうです。
カイゼンのアクション
Dogfoodingの振り返りの結果、私たちのチームではUIの細かな修正案から概念の見直し案まで、さまざまなアクションが出ました。
ふりかえりで話し合い、認識を合わせ、これらのいくつかについては「やろう!」となりました。
私たちのチームも、いっしょにDogfoodingをした商品管理機能のチームも、このアクションをもとにこの会終了後より、調査を始めたり、タスクを起こしたりなどの行動に移していきました💪
やってよかった!Dogfooding!
これまで、社内の別部署の方に操作してもらい、FBを受ける取り組みはありました。
主に顧客サポートを担当するCS部署の方に操作をお願いすることが主でした。
CS部署の方はよくユーザーがつまづくところなどをご存知なので、とても開発に役立つご意見をいただけます。
しかし、CS部署の方には画面実装前から画面デザイン案を相談していますので、初見ならではの意見は得られません。
対して開発部の別チームの方だと開発中の機能の画面設計などは初見のことが多く、先述の通りの「初見ならではの意見」を得ることができました。
また、普段の開発ではあまり交流のない他チームとの交流の場としても役立ちました。
開発者だからこそ、「うちのチームでは以前似た問題に○○で対処した」のようなアドバイスを共有することもできます。
さらに、開発者が他チームの開発物についての、つまり自社プロダクトについての知識を深めることにも繋がります。
おわりに
このように大収穫となったDogfooding🐕🐕🐕
ぜひ社内で定期的に行っていきたいです💪💪💪
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自社の製品を日常的に社内業務で利用すること、という意味でDogfooding(ドッグフーディング)という用語が使われる場面もあります。本記事では、開発中の製品・機能の社内テストを行う意味で用いています。どちらも社内で自社製品を使用することで品質向上を目指す、有効な取り組みです。 ↩︎
NE株式会社のエンジニアを中心に更新していくPublicationです。 NEでは、「コマースに熱狂を。」をパーパスに掲げ、ECやその周辺領域の事業に取り組んでいます。 Homepage: ne-inc.jp/
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