AWS Compute OptimizerがAurora I/O-Optimizedの推奨事項に対応したことで導入判断が容易になりました
はじめに
以前こちらの記事で Aurora I/O-Optimized によるコスト削減効果についてご紹介しました。
記事投稿当時は、Aurora I/O-Optimized を導入すべきかどうかを判断する際、Cost Explorer で実際のコスト状況を確認し、自分で計算して判断する必要がありました。
判断の基準となるのは、次の条件を満たしているかどうかです。
ストレージ料金の差分 + インスタンス料金の差分 < I/O 料金
ここでいう「差分」とは、Aurora Standard と Aurora I/O-Optimized を比較したときに追加で発生するコストを指します。
(例:I/O-Optimized のストレージ料金 − Standard のストレージ料金 = 追加で発生するコスト)
以下は、I/O 集約型のアプリケーションを想定した試算例です。
コンポーネント | Aurora Standard | Aurora I/O-Optimized |
---|---|---|
ストレージ料金 | 300 GB-Mo * $0.12/GB = $36 | 300 GB-Mo * $0.27/GB = $81 |
I/O 料金 | 2,000,000,000 IOs * $0.24/million = $480 | $0 |
インスタンス料金 | 744 Hrs * 0.313/hour = $232.87 | 744 Hrs * 0.407/hour = $302.81 |
合計 | $36 + $480 + $232.87 = $748.87 | $81 + $0 + $302.81 = $383.81 |
※ 本試算は、東京リージョン(ap-northeast-1)、Aurora MySQL 互換エディション、インスタンスクラス db.r6g.large、インスタンス数 1台を前提としています。表中の GB-Mo / IOs は架空の値です。
この例では、ストレージ料金とインスタンス料金のコスト増($114.94)よりも、削減される I/O 料金($480)の方が大きいため、Aurora I/O-Optimized を導入した方がコスト削減につながることが分かります。
このように、これまでは Cost Explorer を確認しながら自分で試算を行う必要があり、導入可否の判断には少なからず手間と時間がかかっていました。
AWS Compute Optimizer のアップデート
2025年6月に AWS Compute Optimizer が Aurora I/O-Optimized 推奨事項に対応しました。
このアップデートにより、従来は手動で計算する必要があった判断作業を AWS Compute Optimizer が自動的に分析・提案してくれるようになりました。
弊社の事例
複数の Aurora クラスターを作成している AWS アカウントにおいて、Cost Explorer では見落としていたものの、AWS Compute Optimizer で Aurora I/O-Optimized が推奨されているリソースがあることに気づきました。
Aurora I/O-Optimized を導入した場合、約 83% のコスト削減効果があるようです。
AWS Compute Optimizer から IOPS(読み取り・書き込み)などのメトリクスを確認できます。
これらのメトリクスはいずれも安定して推移していました。そのため、Aurora I/O-Optimized を導入しても問題なさそうだと判断することができました。
このように AWS Compute Optimizer の推奨事項により Aurora I/O-Optimized の導入を即座に判断することができました。
後日談ですが、導入前の RDS の合計コストの大部分は I/O 料金(Aurora:StorageIOUsage)が占めていましたが、Aurora I/O-Optimized を適用することで I/O 料金がゼロとなり、RDS の合計コストを90%以上削減することができました。
まとめ
Aurora I/O-Optimized の導入可否を判断するにはこれまでは手作業でコストを計算して確認する必要がありましたが、今回のアップデートで AWS Compute Optimizer により手軽にコスト最適化を進められるようになりました。
Aurora のコスト最適化を検討している方は、まずは AWS Compute Optimizer の推奨事項をチェックしてみてください。
今後も AWS Compute Optimizer と I/O-Optimized を活用しつつ、アプリケーションや SQL の改善を含めたシステム全体の効率化に取り組んでいきます。SRE として、コストと性能のバランスを意識した改善を続けていきたいと思います。

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