Shopifyで利用規約のチェックボックスを実装する方法を考察
はじめに
今回は、Shopify ストアに「利用規約チェックボックス」を導入する方法について考察していきます。
誤注文や規約の見落としを防ぐために、商品ページやカートページで利用規約や注意事項への同意を促す仕組みを用意しておくことは非常に大切です。Shopify の管理画面をカスタマイズして自力で実装する方法もありますが、専門的な知識やコーディングが必要になるケースが多いでしょう。
それでは、頑張っていきましょう。
今回は、以下の記事を参考にしています。
- Shopifyで利用規約のチェックボックスを表示する方法5つを解説
- Shopify で利用規約同意のチェックボックスを商品・カートに設置できる?方法やおすすめアプリを徹底解説!【2025 年】
- Shopifyで利用規約のチェックボックスを商品ページに表示できるアプリについて徹底解説|ご利用ガイド
- Shopifyで利用規約のチェックボックスを実現できるアプリ4選!
Shopify で利用規約チェックボックスを実装する定義
まずは、Shopify で「利用規約チェックボックス」を実装する際の定義を考えます。
ここでいう「利用規約チェックボックス」とは、商品ページやカートページなどで購入者に「規約や同意事項」にチェックを入れてもらう仕組みのことを指します。顧客が購入ボタンを押す前に、必ず定められた規約・条件に同意してもらうことで、注文トラブルの防止や顧客満足度の向上を実現できます。
EC サイトでは、以下のような同意事項を設けることがあります。
- 返品・キャンセルポリシー
- キャンペーンやセールの適用条件
- カスタマイズ商品における納期やデザインの注意点
- 特別な配送方法や利用制限に関する告知 など
これらはお客様とのトラブルを避けるうえで重要な要素ですが、事前にチェックを入れないと見落とされてしまう場合も。そこで「利用規約チェックボックス」を設置し、同意が得られた場合のみ購入手続きへ進める仕組みが有効となります。
Shopify で利用規約チェックボックスを実装するメリット
では、Shopify で利用規約チェックボックスを実装することで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
1. 誤注文や規約の見落としを防止
事前にチェックを入れなければカートに進めない、あるいは注文確定できないようにすることで、誤注文や利用規約の見落としを防ぐ効果があります。とくにデジタル商品や予約商品など、返品不可や特別な注意点がある場合は、購入者の理解を得るために必須の仕組みといえます。
2. 返品・苦情リスクの低減
チェックボックスを通じて購入者が規約を明確に認識したうえで注文しているため、後々の返品・苦情リスクを下げられます。**「重要事項をちゃんと読んでもらった」**という安心感は、ショップオーナーにも顧客にもメリットとなります。
3. カスタマイズ性の高さ
利用規約チェックボックスを自作する場合や、専用アプリを利用する場合でも、多くの場面でメッセージやデザインを柔軟に変更できます。ストアのブランドに合わせたり、注意喚起を強調する文言を挿入したり、自由にカスタマイズできるのも大きなメリットです。
4. 購買意欲を下げずに不安を払拭
利用規約チェックボックスは、購入者に安心感を与える役割も果たします。購入前に明確な注意事項やポリシーが提示されるため、不安を感じていたユーザーの離脱を防ぐことにもつながります。結果として、購買意欲を下げるどころか、適切な確認プロセスとして機能するのです。
Shopify で利用規約チェックボックスを実装するデメリット
メリットが多い利用規約チェックボックスですが、導入するにあたって考慮すべきデメリットもあります。
1. 購入フローが若干長くなる
チェックボックスを追加することで、ユーザーにワンクッション増やすことになります。そのため、ユーザーによっては煩わしく感じる可能性があります。特に、購買スピードを重視する層にとっては、チェックの存在が面倒になり得ます。
2. テーマやカスタマイズによる実装の手間
コードを使って独自にチェックボックス機能を実装する場合、テーマの構造や Liquid テンプレートへの理解が必要です。カスタマイズ箇所が多いテーマや複雑なチェックフローを想定している場合は、開発コストや時間がかさむことがあります。
3. デザイン上の調整が必要
店舗ごとのブランドイメージに合わせたデザインを行おうとすると、意外と細部の調整が必要です。チェックボックスの位置や文言、誤クリック防止のためのレイアウトなど、UI/UX を損なわない設計を考える手間が発生します。
4. 過剰な同意事項の提示による離脱リスク
あまりに多くの条件を提示しすぎると、ユーザーが読むのを断念してしまうケースもあり得ます。特に「利用規約」「プライバシーポリシー」「注意事項」「キャンペーン条件」と複数のチェックを強要すると、途中で購入をあきらめてしまう可能性もあります。
Shopify で利用規約チェックボックスを実装する方法
次に、Shopify で利用規約チェックボックスを実装する方法の概要を解説します。
1. コードで独自実装する
1つ目の方法は、テーマの product.liquid
や cart.liquid
(あるいは対応する .json
)ファイルに直接コードを追加し、チェックボックスを表示させる方法です。以下のような流れで構築できます。
- チェックボックス用の HTML を追加
- チェックボックスが ON になっていない場合は「購入ボタンが押せない」または「アラートを表示」する仕組みを JavaScript で実装
- スタイルシート(CSS)でデザインを整える
この手法は柔軟性がありますが、テーマをカスタマイズする必要があり、コーディング知識やテーマ更新時の管理が必須です。
2. Shopify アプリを利用する
2つ目は、専用の Shopify アプリを利用する方法です。利用規約チェックボックス専用のアプリを導入すれば、管理画面からチェックボックスの文言やデザインをある程度ノーコードで変更できます。アプリのサブスクリプション費用が必要になりますが、開発コストをかけずに迅速に導入できる点が魅力です。
コーディングを用いて Shopify で利用規約チェックボックスを実装する方法
ここからはコーディングを用いて利用規約チェックボックスを実装する方法について解説します。
product.liquid
(または product-template.liquid
)へチェックボックスを追加
1. 商品ページにチェックボックスを配置する場合、以下のように該当ファイルへ HTML を追加します。
※ テーマによっては sections/product-template.liquid
や sections/main-product.liquid
など、実際に商品詳細を出力しているテンプレートが異なるのでご注意ください。
{% comment %}
商品ページにおける利用規約チェックボックスの例
{% endcomment %}
<!-- 商品タイトルや画像等、既存のコードの合間に挿入 -->
<div class="product-form">
<!-- 既存の購入ボタンなどが入っている箇所に近いところに設置すると良い -->
<label class="terms-container">
<!-- name="properties[...] 形式にすると注文データに反映されます -->
<input type="checkbox"
name="properties[同意]"
value="利用規約に同意しました"
id="terms-checkbox-product">
利用規約に同意します
</label>
<!-- 既存の「カートに追加」ボタン -->
<button type="submit"
class="btn"
id="add-to-cart-btn">
カートに追加
</button>
</div>
cart.liquid
(または cart-template.liquid
)へチェックボックスを追加
2. カートページにチェックボックスを配置する場合の例です。テーマによっては sections/cart-template.liquid
などに記述されている場合もあります。
{% comment %}
カートページにおける利用規約チェックボックスの例
{% endcomment %}
<!-- カート一覧が表示されるテーブルやフォームの中に挿入 -->
<form action="/cart" method="post" novalidate class="cart">
<!-- 既存のカートアイテムリスト -->
<!-- 利用規約チェックボックスを設置 -->
<div class="terms-container">
<label for="terms-checkbox-cart">
<input type="checkbox"
name="attributes[同意]"
value="利用規約に同意しました"
id="terms-checkbox-cart">
利用規約に同意します
</label>
</div>
<!-- 通常の「ご注文手続きへ」ボタンなど -->
<button type="submit"
class="btn"
id="checkout-btn">
ご注文手続きへ
</button>
</form>
MEMO
name="properties[...]
やname="attributes[...]"
の形式でチェックボックスの値を設定すると、注文時にこの値が注文データに反映されます。- データとして残したい場合は「properties」は商品単位、「attributes」はカート単位の概念で使い分けできます。
JavaScript でチェック状態を判定し、ボタン押下を制御する
チェックボックスが ON になっていない場合に「購入ボタンを押せない」「アラートを表示する」といった処理を行うサンプルです。商品ページの場合とカートページの場合、似たコードをそれぞれ配置すると良いでしょう。
<script>
document.addEventListener("DOMContentLoaded", function() {
// 商品ページ用
const termsCheckboxProduct = document.getElementById('terms-checkbox-product');
const addToCartBtn = document.getElementById('add-to-cart-btn');
if (termsCheckboxProduct && addToCartBtn) {
// 初期状態のボタンを押せない状態にするなら
addToCartBtn.disabled = !termsCheckboxProduct.checked;
termsCheckboxProduct.addEventListener('change', function() {
addToCartBtn.disabled = !this.checked;
});
}
// カートページ用
const termsCheckboxCart = document.getElementById('terms-checkbox-cart');
const checkoutBtn = document.getElementById('checkout-btn');
if (termsCheckboxCart && checkoutBtn) {
// 初期状態を制御
checkoutBtn.disabled = !termsCheckboxCart.checked;
termsCheckboxCart.addEventListener('change', function() {
checkoutBtn.disabled = !this.checked;
});
}
});
</script>
上記サンプルでは、以下のような挙動となります。
- ページ読み込み時、チェックボックスが未チェックであれば、購入ボタンを
disabled = true
(押せない状態)にする。 - ユーザーがチェックを入れたら(
change
イベント)、ボタンが押せるようになる。 - 再びチェックを外したら、ボタンを押せなくする。
もちろん、アラートを出したり、モーダルを表示したりなど、自由にカスタマイズが可能です。
CSS で見た目を調整する
最後に、チェックボックス周りを見やすくするために簡単な CSS を追加します。
以下はサンプルなので、テーマ全体のデザインに合わせて適宜調整してください。
/* チェックボックスのラベルを横並びにして少し余白を取る例 */
.terms-container {
margin-top: 1rem;
margin-bottom: 1rem;
}
.terms-container input[type="checkbox"] {
margin-right: 0.5rem;
transform: scale(1.2); /* チェックボックスを少し大きくする例 */
}
.terms-container label {
font-size: 14px;
cursor: pointer;
}
ここまでで、実装は終了です。次に、実装の解説を簡単に行います。
実装時のポイント
-
テーマ更新時の管理
テーマをアップデートするとき、手動で追加したコードが上書きされる可能性があります。バージョン管理やバックアップを取ったうえでカスタマイズを行いましょう。 -
文言・デザインのチューニング
利用規約のリンクをボタン上に設置したり、チェックを目立たせたい場合は CSS を工夫してください。ユーザーに見逃されないようにする配置が重要です。 -
エラー文などの追加
チェックを入れずにボタンを押そうとした際、アラート表示や警告文を出したい場合はdisabled
属性の代わりに JavaScript 側でバリデーションを行い、エラー文を表示する方法もあります。 -
注文データへの反映
実際に顧客がチェックして同意した事実を注文データに残したい場合は、<input name="properties[XXX]" …>
(商品単位のプロパティ)や<input name="attributes[XXX]" …>
(カート単位の属性)の書き方を使うと、注文のメモとして一緒に記録されます。
ここまでで、コーディングを用いて利用規約チェックボックスを実装する方法について解説しました。
次に、Shopify アプリを用いて利用規約チェックボックスを実装する方法について解説します。
Shopify アプリを用いて利用規約チェックボックスを実装する方法
先ほど触れたとおり、アプリを使うとより簡単に実装できます。アプリストアで「Terms & Conditions」「利用規約チェックボックス」などのキーワードを検索すると、いくつかのアプリが見つかるでしょう。中には無料プランを用意しているアプリや、実装手順がわかりやすくまとめられているアプリもあります。
- アプリのインストール → ストアにアクセス許可 → テーマへの埋め込みを許可
- テーマエディタなどでチェックボックスの位置や文言をカスタマイズ
- テスト購入を行い、動作確認とデザイン調整
このような手順で、短時間で導入可能です。
今回は、日本製の Shopify アプリであるシンプル利用規約チェックボックス|商品・カートページで使えるについて解説します。
「シンプル利用規約チェックボックス|商品・カートページで使える」の機能について
ここでご紹介するのが、「シンプル利用規約チェックボックス|商品・カートページで使える」というアプリです。
以下の URL からインストールできます。
また、公式のご利用ガイドがあるので、こちらを元に解説していきます。
以下に特徴をまとめてみます。
-
価格設定
月額 1.89 ドル
7 日間の無料体験を利用可能(開発ストアでは無期限かつ無料で全機能をお試し可) -
開発者 / 評価
開発者は 株式会社UnReact
現時点で評価は 0.0 (レビューなし) -
対応テーマ・設置場所
Dawn テーマをはじめ、さまざまなテーマに対応
商品ページだけでなく、カートページにもチェックボックスを表示可能 -
自由度の高い設定
特定の商品にのみチェックボックスを表示する設定や、メッセージの文言をカスタマイズする機能、デザインを変更するオプションなどが搭載されています。 -
メリット(要点)
- 誤注文や規約見落としの防止
- 返品・クレームのリスク軽減
- シンプルな管理画面で直感的に設定可能
- ブランドイメージに合わせた文言・デザイン変更が容易
「シンプル利用規約チェックボックス|商品・カートページで使える」は、チェックボックスによる同意確認を必須化することで、購入プロセスで顧客に重要事項を理解してもらいやすくなります。結果として、トラブルや返品リスクの軽減、顧客満足度の向上に寄与する点が大きな魅力です。
ここからは、Shpopify のアプリリストを元に、こちらのアプリの概要について解説していきます。
「シンプル利用規約チェックボックス|商品・カートページで使える」の概要
以下のアプリリストを参考に、こちらのアプリの概要についてまとめていきます。
こちらのアプリを使うと、Shopify の商品ページ・カートページに同意チェックボックスを表示できます。
以下のように、商品ページにチェックボックスを表示できます。
また、カートページにチェックボックスを表示できます。
また、特定の商品にのみにチェックボックスを表示させることもできます。
顧客タグに応じてチェックボックスの出し分けを行うこともできます。
また、カートページ・カートドロワーの両方に対応しています。
最後に
今回は、Shopify ストアに「利用規約チェックボックス」を導入する方法についてまとめました。独自でコードを実装する場合と、アプリを利用する場合にはそれぞれ利点と注意点が存在します。
- コード実装: カスタマイズ自由度が高いが、開発リソースとテーマ管理が必要
- アプリ導入: 月額費用がかかるが、ノーコードで手軽に導入でき、サポート体制も整っている
とくに「シンプル利用規約チェックボックス|商品・カートページで使える」は月額 1.89 ドルと安価でありながらも、商品ページやカートページに自由度高くチェックボックスを設置できるため、導入しやすいアプリといえるでしょう。ストアの特性に合わせて、一度無料トライアルで試してみる価値は十分にあります。
参考記事
今回は以下の記事や情報を参考に、利用規約チェックボックス導入についてまとめました。
今回は、以下の記事を参考にしています。
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