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バンドラ不要で SFC を配信できる Vue 専用 dev server「vite」を試してみる

2021/05/27に公開

バンドラ不要で SFC を配信できる Vue 専用 dev server「vite」を試してみる

最近 Vue の開発と勉強に便利そうなviteというものを知りました。なんでも Single File Component でも、バンドルする必要なくコードを配信できる dev server のようです。

Vue は VueCLI もあるのでさくっと開発環境作って実験とかできるのですが、バンドルする必要があってワンテンポ遅いのと、最小限の実装で作りたいときにいろいろ外さないといけないので面倒でした。vite を使うとさくっと実験できる環境が手に入るのでいい感じです。

Evan 氏が一晩で作ったらしいです。すごい。

<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">As I was going to bed, I had an idea about a no-bundler dev setup (using native browser ES imports), but with support for Vue SFCs with hot reload. Now it's almost 6AM and I have PoC working. The hot reload is so fast it's near instant.</p>— Evan You (@youyuxi) <a href="https://twitter.com/youyuxi/status/1252173663199277058?ref_src=twsrc^tfw">April 20, 2020</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

今回はとりあえず vite を試してみるのと、ついでにちゃんと勉強できていなかった composition api を試していきたいと思います。

vite でアプリケーションの作成

vite でのアプリケーション作成はコマンドで作成します。

$ yarn create vite-app app-name

実行すると package.jsonindex.htmlapp.vue が作成されます。

index.html は次のようになファイルが生成されます。

<div id="app"></div>
<script type="module">
  import { createApp } from "vue";
  import App from "./App.vue";

  createApp(App).mount("#app");
</script>

script タグの type 属性に module が設定されています。これが可能なのは IE や Android の webview 以外のブラウザのようです [1] 。開発用だから特に問題はないですね。

app.vue は次のように作成されます。

<template>
  <h1>Hello Vite + Vue 3!</h1>
  <p>Edit ./App.vue to test hot module replacement (HMR).</p>
  <p>
    <span>Count is: {{ count }}</span>
    <button @click="count++">increment</button>
  </p>
</template>

<script>
export default {
  data: () => ({ count: 0 }),
};
</script>

<style scoped>
h1 {
  color: #4fc08d;
}

h1,
p {
  font-family: Arial, Helvetica, sans-serif;
}
</style>

普通に Single File Component です。data 属性の count をインクリメントできるコードです。次のコマンドを実行すると localhost:3000 で dev server が公開されます。

$ yarn run dev
yarn run v1.22.4
warning package.json: No license field
$ vite
vite v0.5.3
Dev server running at:
  > http://localhost:3000
  > http://192.168.1.88:3000

localhost:3000 にブラウザでアクセスすると次のように表示されます。

viteサンプル

increment のボタンを押すとちゃんと数字が更新されます。この状態で app.vue を更新すると HMR で速反映されて開発体験が良いです。

Vue の composition api を使ってコードを書いてみる

TODO リストの作成

サンプルが動いたのは確認できたのでちゃんと vite がアプリケーション開発に役立つのか composition api[2]を使ってコンポーネントを作り、import して使えるか試してみます。今回は定番ですが TODO リストを作ってみます。

TODO を入力するコンポーネントと TODO を表示するコンポーネントを composition api を使って書いてみます。

TODO を入力するコンポーネント 'ToDoInput.vue' です。

<template>
  <input type="text" v-model="state.inputText" @keydown.enter="add" />
  <button @click="add">add</button>
</template>

<script>
import { computed } from "vue";
export default {
  props: {
    inputText: String,
  },
  setup(props, context) {
    const state = {
      inputText: computed({
        get: () => props.inputText,
        set: (val) => context.emit("typeText", val),
      }),
    };

    function add() {
      context.emit("add");
    }

    return {
      state,
      add,
    };
  },
};
</script>

propsinputText を頂いてそれを v-model にし、 computedsettergetter を書いています。

composition api を使用しているので setup 関数の中で statefunction を定義し返しています。やることがシンプルなので composition api を活かしきってはいないのですが、それでも今までのコンポーネントとの作り方とだいぶ違いますね。setup 内をカオスにしないように気をつけたり、適宜必要なメソッドはコンポーネント外にだしたりする必要がありそうです。素朴な感想として setup 内をカオスにしないようにする力学が働いてコンポーネントがシンプルになる印象があります。

ここでは使ってませんが、vue からリアクティブな変数を定義するメソッドを import したりしてリアクティブにする項目を外に出せるようになることから、 vuex を使わない状態管理がうまく描けそうな予感がします。まだもうしばらく遊んでみないとわかりませんが、 vue でできることがかなり増えた印象がありますね。

TODO リストを表示するコンポーネント ToDoList.vue です。

<template>
  <ul>
    <li v-for="(todo, index) of state.todos" :key="index">
      {{ todo }}
    </li>
  </ul>
</template>

<script>
import { computed } from "vue";

export default {
  props: {
    todos: Array,
  },
  setup(props, context) {
    const state = {
      todos: computed(() => props.todos),
    };

    return {
      state,
    };
  },
};
</script>
>

これは表示するだけなのでかなりシンプルです。 ToDoInput.vue ほど説明することはない感じです。

これらのコンポーネントを app.vue で読み込みます。

<template>
  <div class="content">
    <h1>ToDo App</h1>
    <p>Test Todo App</p>
    <ToDoInput :inputText="state.inputText" @typeText="typeText" @add="add" />
    <ToDoList :todos="state.todos" />
  </div>
</template>

<script>
import { reactive } from "vue";

import ToDoInput from "./ToDoInput.vue";
import ToDoList from "./ToDoList.vue";

export default {
  components: {
    ToDoInput,
    ToDoList,
  },
  setup() {
    const state = reactive({
      inputText: "",
      todos: [],
    });

    function typeText(text) {
      state.inputText = text;
    }

    function add() {
      state.todos.push(state.inputText);
      state.inputText = "";
    }

    return {
      state,
      typeText,
      add,
    };
  },
};
</script>

<style lang="scss" scoped>
h1 {
  color: #6a8bad;
}
.content {
  color: #4e6e8e;
}
</style>

App.vue 内でコンポーネントを import し、こちらも setupstate の定義や function の定義を行っています。import を使っているので普通は webpack 等でバンドルしないといけないところですが vite では開発者側ではほとんど意識することなくコンパイルされ、HMR されブラウザで動作を確認できます。

ソースを書き終わった後結果は次のようにブラウザに表示されました。

コンパイル後

ちなみに更新すると devtool 上ではこう表示されます。

devtool

ちゃんと更新できたか devtool で確認できるのもうれしいですね。

プロダクションビルド

vite のコマンドでプロダクションビルドも可能なので、試してみます。

プロダクションビルドの方法は簡単で次のコマンドを実行するだけでした。

$ vict build

コマンドを実行すると dict ディレクトリが作成され、成果物が出力されます。先程作った ToDoList の場合は index.htmlindex.jsstyle.css の3ファイルが出力されました。

これを S3 にアップロードすると TODO リストがちゃんと動いているのを確認することができました。

https://vite-practice.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/index.html

プロダクションビルドできる機能が備わっているのを見ると、ちゃんと開発現場で使ってもらおうという気持ちで作っているのがわかってちょっとワクワクします。

まとめ

以上 vite と composition api を試してみました。まだ開発初期(2020/05/05 現在 v0.10.2)ということでどんどん機能が増えていく段階ですが、単純にバンドルの設定をほとんど書かなくて良いので vue を学ぶさいかなり使える dev server だと思いました。プロダクションビルドもできるので、本番のアプリケーション開発でも利用できそうです。まだ TypeScript 対応とかは行われていないようですが、TODO[3]リストには入っているようなので時間の問題だと思います。

ちなみに vite を使った vuepress である vitepress も作られているようです。このブログは vuepress で作られているのでそちらの方も気になりますね。

脚注
  1. MDN web docs JavaScript モジュール ↩︎

  2. Composition API RFC ↩︎

  3. https://github.com/vuejs/vite#todos ↩︎

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