AIエディタ「Cursor」を200時間使ってわかった、メリット5選
AIエディタ「Cursor」を200時間使ってわかった、メリット5選
「AIでコードが書けるって聞いたけど、実際どうなの?」そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。
結論から言うと、Cursorは確実にプログラミングの生産性を向上させるツールです。 特に、コードの品質向上において、その威力を発揮します。今まではchatGPTだけを使って開発していましたがもっと早くAIエディターを使っておけばよかったと思うくらいです
私は過去3ヶ月間、合計200時間以上Cursorを使い込んできました。その結果見えてきた、本当に実用的なメリット5つをご紹介します。
Cursorとは?3行で理解しよう
Cursorは、AIがペアプログラミングのパートナーになってくれるコードエディタです。優秀な先輩エンジニアが隣に座って、リアルタイムでアドバイスをくれているような感覚ですね。
- Visual Studio Codeベースで、慣れ親しんだ操作感
- ChatGPTのような対話形式でコード生成・修正が可能
- ファイル全体を理解して、文脈に沿った提案をしてくれる
従来のコード補完ツールが「スマホの予測変換」だとすれば、Cursorは「優秀な編集者が隣で原稿をチェックしてくれる」ような存在です。
メリット1:頭の疲労が軽減する
プログラミングって、実は脳のエネルギーをめちゃくちゃ消費する作業なんです。特に以下のような場面で:
- 「あれ?この処理ってどう実装するんだっけ?」と立ち止まる時
- 複雑なロジックを頭の中で組み立てる時
- 細かい構文エラーを探し回る時
これらの「頭を使うけど、本質的じゃない作業」を、Cursorが肩代わりしてくれるんです。
実例:メソッド名やAPI仕様を覚えておく必要がない
// 以前の私:「Dateオブジェクトで月初を取得するメソッドって...?」
// 頭の中で必死に思い出そうとして疲労
// Cursor使用後:「今月の最初の日を取得したい」と伝えるだけ
const firstDayOfMonth = new Date(new Date().getFullYear(), new Date().getMonth(), 1);
// さらに「これをフォーマットして表示したい」と続けると
const formatFirstDay = firstDayOfMonth.toLocaleDateString('ja-JP', {
year: 'numeric',
month: 'long',
day: 'numeric'
});
つまり、「記憶」ではなく「思考」にエネルギーを集中できるようになります。 1日のアウトプットの量に対する疲労感が明らかに違うんです。
メリット2:問題解決までのスピードが速くなる
「エラーが出た → ググる → Stack Overflow見る → 試す → また別のエラー → またググる...」
この無限ループ、経験ありませんか?
Cursorなら、エラーメッセージをコピペするだけで、あなたのコード文脈を理解した解決策を即座に提示してくれます。
実例:複雑なTypeScriptエラーも瞬時に解決
// こんなエラーが出た時
/*
Argument of type '{ name: string; age: number; isActive?: boolean; }'
is not assignable to parameter of type 'User'.
Property 'id' is missing in type '{ name: string; age: number; isActive?: boolean; }'
but required in type 'User'.
*/
// 従来:「User型って何だっけ?」「idって必須だっけ?」と調べ回る(10-20分)
// Cursor:エラーを貼り付けると瞬時に
// 「このUser型にはidが必須です。以下3つの解決方法があります:」
// 1. 新規作成時用の型を作る(CreateUser型など)
// 2. Partial<User>を使って一部プロパティを省略可能にする
// 3. idに初期値を設定する
const createUser = (userData: Omit<User, 'id'>): User => {
return {
id: crypto.randomUUID(),
...userData
};
};
ChatGPTとの違いは、あなたのプロジェクト全体を把握して回答してくれること。 解決までの時間が1/5に短縮されました。
メリット3:なんでも気兼ねなく聞ける
「こんな基本的なこと聞いたら恥ずかしいかな...」「またこの人に質問して迷惑じゃないかな...」
チーム開発でこんな遠慮をした経験、ありませんか?
Cursorなら、どんなに初歩的な質問でも、何度聞いても、絶対に嫌な顔をされません。
実例:恥ずかしくて聞けなかった質問たち
// 「このコード、何してるのかさっぱりわからない...」
const users = await Promise.all(
userIds.map(async (id) => {
const response = await fetch(`/api/users/${id}`);
return response.json();
})
);
me: "このコード、何が起こってるのかわからない..."
cursor: "これは複数のユーザー情報を並行取得するコードですね!
順番に説明すると:
1. userIds.map() で各IDに対してfetch処理を作成
2. でも、この時点ではまだ実行されてない(Promiseの配列ができただけ)
3. Promise.all() で全ての処理を並行実行
4. 全部完了したら結果をusers配列に格納
つまり、10人のユーザー情報が必요なら、1人ずつ順番に取得するのではなく、
10回のAPI呼び出しを同時に行って効率化してるんです!"
// 「配列のmapとforEachの使い分けがわからない...」
me: "mapとforEachって、どう使い分けるの?"
cursor: "簡単に言うと:
- map: 新しい配列を作りたい時(元の配列は変更しない)
- forEach: 配列の各要素に対して何かしたい時(戻り値なし)
// 例:価格を1.1倍にした新しい配列が欲しい → map
const newPrices = prices.map(price => price * 1.1);
// 例:各商品の情報をコンソールに出力したい → forEach
products.forEach(product => console.log(product.name));"
// 「分割代入って何してるの?」
const { name, age, ...rest } = user;
me: "この書き方、よく見るけど何してるの?"
cursor: "これは『分割代入』という書き方で、オブジェクトから必要な部分だけを取り出してます!
// 従来の書き方
const name = user.name;
const age = user.age;
const rest = { email: user.email, address: user.address }; // 残り全部
// 分割代入なら1行で同じことができる
const { name, age, ...rest } = user;
『...rest』は『残りの全プロパティ』という意味です。
よく使うプロパティだけ個別に取り出して、残りはrestにまとめる時に便利ですね!"
人間の同僚には「今忙しそうだな...」と気を使ってしまいますが、Cursorには遠慮不要。 結果的に、理解が深まるスピードが格段に上がりました。
メリット4:早めにバグに気づける
「テストが通ったから大丈夫だと思ったのに、本番でバグが...」
こんな悪夢、経験ありませんか?
Cursorを使うと、全体的な開発効率が上がることで「テストをする余白」が生まれます。 結果として、テストフェーズに入る前に多くのバグを潰せるようになるんです。
なぜテストの余白が生まれるのか?
- 実装時間の短縮 → 予定より早く機能が完成
- デバッグ時間の削減 → エラー解決が高速化
- 調べ物時間の激減 → 本質的な作業に集中できる
従来なら「とりあえず動くものを作って、後でテストする」だったのが、「余った時間で事前にしっかり検証する」スタイルに変化しました。
実例:開発プロセスの変化
// 以前の開発フロー(時間切迫パターン)
function calculateTotalPrice(items, discountRate) {
// とりあえず動くものを急いで作成
let total = 0;
for (let item of items) {
total += item.price;
}
return total * (1 - discountRate); // 割引適用
}
// ↓
// 「時間ないし、とりあえずテストに回そう...」
// ↓
// テストで「discountRateがnullの時にNaNになる」バグが発覚
// ↓
// 急いで修正 → また別のバグが...
// Cursor使用後(余裕を持った開発)
function calculateTotalPrice(items, discountRate) {
// Cursorと一緒に実装(高速)
if (!Array.isArray(items) || items.length === 0) {
return 0;
}
const validDiscountRate = Math.max(0, Math.min(1, discountRate || 0));
const subtotal = items.reduce((sum, item) => {
return sum + (typeof item.price === 'number' ? item.price : 0);
}, 0);
return subtotal * (1 - validDiscountRate);
}
// 実装完了後、まだ時間に余裕があるので...
me: "このコード、どんなケースでバグりそう?"
cursor: "以下のケースを確認してみてください:
1. items が空配列の場合 → OK(0を返す)
2. discountRate が範囲外(負数や1超過)→ OK(0-1にクランプ)
3. item.price が文字列や null → OK(0として処理)
4. discountRate が undefined → OK(0として処理)
追加で考慮すべき点:
- 価格が負数の場合の処理
- 非常に大きな数値での精度問題
- 通貨の小数点処理(四捨五入)"
// この段階で事前にテストケースも作成
const testCases = [
{ items: [], discountRate: 0.1, expected: 0 },
{ items: [{price: 100}], discountRate: -0.1, expected: 100 },
{ items: [{price: 100}], discountRate: 1.5, expected: 0 },
{ items: [{price: 'invalid'}], discountRate: 0.1, expected: 0 },
];
つまり、「バグ発見」から「バグ予防」へとシフトできるんです。 テストフェーズで見つかるバグが激減し、より品質の高いコードが最初から書けるようになりました。
メリット5:リファクタリングをする時間の余白が生まれる
これは意外なメリットでした。Cursorを使っていると、自分のコードを客観視する習慣が身につくんです。
なぜなら、Cursorは常に「より良い書き方」を提案してくれるため、自然とコードの品質に意識が向くようになるからです。
実例:「動くけど汚い」コードからの卒業
// Before: 締切に追われて書いた汚いコード
function processUserData(users) {
let result = [];
for (let i = 0; i < users.length; i++) {
if (users[i].age >= 18 && users[i].status === 'active') {
let userData = {};
userData.name = users[i].firstName + ' ' + users[i].lastName;
userData.email = users[i].email.toLowerCase();
userData.age = users[i].age;
if (users[i].premium) {
userData.type = 'premium';
} else {
userData.type = 'basic';
}
result.push(userData);
}
}
return result;
}
// After: Cursorと一緒にリファクタリング
const processUserData = (users) => {
return users
.filter(user => user.age >= 18 && user.status === 'active')
.map(user => ({
name: `${user.firstName} ${user.lastName}`,
email: user.email.toLowerCase(),
age: user.age,
type: user.premium ? 'premium' : 'basic'
}));
};
従来なら「動いてるからいいや」で終わっていたコードを、Cursorがいることで「もっと良く書けないかな?」と考える余裕が生まれました。
なぜ余裕が生まれるのか?
- 実装速度が上がる → 時間に余裕ができる
- バグが減る → デバッグ時間が短縮される
- 調べ物の時間が激減 → 本質的な作業に集中できる
結果として、「急いで書く → 後で直す」のサイクルから、「最初からそこそこ綺麗に書く」スタイルに変化しました。
ChatGPTだと「コードを貼り付けて、別タブで確認して、また戻って修正して...」という手間がありましたが、Cursorならエディタ内で全て完結するのが大きな違いです。
デメリットも正直に:完璧ではない現実
ここまでメリットを語ってきましたが、もちろんデメリットもあります:
- 月額料金:$20/月(約3,000円)のコストがかかる
- ネット接続必須:オフライン環境では使えない
- 100%正確ではない:生成されたコードは必ず確認が必要
- 日本語対応:英語の方が精度が高い傾向
ただし、これらのデメリットを考慮しても、生産性向上の効果は十分にペイします。
まとめ:Cursorは「投資」として考えよう
200時間使って分かったのは、Cursorは単なるツールではなく、プログラミングスキル向上への投資だということです。
こんな人には特におすすめ
- 実装速度を上げたい人:ボイラープレートから解放される
- コード品質を向上させたい人:常に改善案を提示してくれる
- 新しい技術を学びたい人:実践的な学習サポート
- 一人で開発している人:頼れるペアプログラミングパートナー
月額3,000円で、これだけの生産性向上が得られるなら、確実にコストパフォーマンスは高いと断言できます。
プログラミングの楽しさは残しつつ、面倒な作業は AI に任せる。そんな新しい開発スタイルを、ぜひ体験してみてください。
この記事は実際に200時間Cursorを使用した筆者の体験に基づいています。使用感には個人差がありますので、まずは無料トライアルから始めることをおすすめします。
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