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ディープラーニング分野で話題のモデル「Transformer」って何がすごいの?📚

2024/06/29に公開

こんにちは!テクニカルディレクター集団「BASSDRUM」のnaruminです。
先日AIの歴史や技術の変遷について社内勉強会を行いました。その時に紹介された「Transformer」というディープラーニングのモデルが何だかすごいということを知り、数理的な理解は難しくとも凄さを理解するために調べてみました。「Transformerって聞いたことあるけど一体何?」と思ってる方に役立てると嬉しいです。

1. Transformerモデルとは

Transformerは、2017年にGoogleの研究者らによって発表された機械学習モデルで、自然言語処理(NLP)の分野で革命を起こしました。それ以前のRNNやLSTMといった従来のモデルに比べ、効率的かつ効果的にデータを処理できる点が特徴です。

2. 原論文の紹介

Transformerモデルの原論文は「Attention is All You Need」です。この論文で従来のRNNに依存しない新しいアーキテクチャを提案しました。このモデルは「Attention」というメカニズムに基づいており、並列計算の効率が非常に高いことが特徴です。

3. ディープラーニングにおけるモデルとは?

機械学習モデルとは、データからパターンを学び、予測や分類を行うための数学的構造です。Transformerは特に、入力データをエンコードし、適切な出力をデコードするエンコーダーデコーダーモデルです。

4. Transformerは何に使える?

Transformerは様々なタスクに利用されています。以下に主な応用例を挙げます:

  • 機械翻訳: 原論文で提案された主要なタスクです。
  • BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers): 文の前後関係を理解し、文の分類や質問応答などに使われます。
  • GPT(Generative Pre-trained Transformer): テキスト生成に特化しており、チャットボットや文章生成に利用されます。
  • ViT(Vision Transformer): 画像認識タスクに利用され、画像分類や物体検出に強力な性能を発揮します。

5. 何がすごいのか

当時の成果

Transformerの当時の成果は驚異的でした。英語からドイツ語への翻訳タスクでは、従来の最高性能モデルを上回るスコアを達成しました。また、ドイツ語だけでなく英語からフランス語への翻訳でも同様の成果を上げました。

  • 並列計算の効率: Transformerは並列計算が非常に効率的で、大規模データセットを高速に処理できます。
  • RNNを使わない: RNNのような再帰的な処理を行わず、シーケンス全体を一度に処理できるので高速です。

最近の成果

現在では、Transformerベースのモデルが様々なNLPタスクで最先端の性能を発揮しています。BERTやGPT-3は、その代表例です。

6. ざっくり仕組みはどうなってるの?

Transformerはエンコーダーとデコーダーという二つの部分から構成されま。

  • エンコーダー: 入力テキストを受け取り、その意味を抽出します。
  • デコーダー: 抽出された意味を基に、次の単語を予測しながら文章を生成します。

各部分は6つのブロックを繰り返し使い、入力テキストを単語に分解し、それをベクトルの列に変換します。線形代数や行列の知識がないと数式の理解は難しいのでわからないですが、この過程で、「Attention」というメカニズムを用いて、各単語の重要度を計算しています。

7. これからどんな分野で使えるか

学術分野

Transformerは学術的に多くの研究分野で応用されています。言語学分野ではなく、心理学、さらには生物情報学など、幅広い分野で活用されています。

ビジネス展開

ビジネスの分野でも、チャットボット、カスタマーサポート、マーケティングオートメーションなど、多岐にわたる応用が期待されています。特に、自然言語処理を利用したデータ分析や顧客インサイトの抽出に強力なツールとなります。

8. おわりに

Transformerモデルは、自然言語処理における新たなスタンダードを築き、その効率的な計算と高い性能は、さまざまなタスクで革新的だということがよく分かりました。今流行ってるAIツールの仕組みがこうした学術的な研究から社会実装されるまでの変遷を追うようなリサーチができたことで、今後便利だなーというAIツールを見つけたときに、「このツールはどんな仕組みでできているんだろう?何がすごいんだろう?」という観点を持つことができました。また、本質的なロジックを知ることで今主流で活用されてるシーン以外の活用シーンを考えるときのヒントになるような気がします。

参考文献

最後に、BASSDRUMとは

BASSDRUMは、テクニカルディレクターが中心に集まった組織です。さまざまなものづくりに関するプロジェクトにおいて、コアメンバーとして参画し、技術的な側面から寄与していくテクニカルディレクターに質問・相談がありましたら hello@bassdrum.org までお問い合わせください。https://bassdrum.org/ja/

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