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WSLセットアップガイド:コマンドラインで始めるUbuntu環境構築

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WSLセットアップガイド:コマンドラインで始めるUbuntu環境構築

1. 概要

WSL(Windows Subsystem for Linux)は、Windows上でLinux環境をネイティブに実行可能にする機能です。開発や学習目的でLinuxを利用したい場合、仮想マシンを介さずに軽量なLinux環境を構築できます。本ガイドでは、WSLの有効化からUbuntuのインストール、基本的な設定、Windowsとの連携、そして管理方法までをコマンドラインから詳細に解説します。

この記事は、以下のバージョン情報を基に作成されています。

  • Windows 11 Version 24H2
  • WSL Version 2.5.7.0

2. WSLの有効化とUbuntuのインストール

2.1 WSLの有効化

PowerShellを管理者権限で起動し、以下のコマンドを実行してWSLを有効化します。

wsl --install

このコマンドにより、WSLの実行に必要なコンポーネントと、既定のLinuxディストリビューションであるUbuntuが自動でインストールされます。

2.2 インストール可能なディストリビューションの確認

他のディストリビューションをインストールしたい場合、以下のコマンドで利用可能な一覧を確認できます。

wsl --list --online

2.3 特定のディストリビューションのインストール

一覧から特定のディストリビューションを選んでインストールするには、以下のコマンドを用います。

wsl --install -d <DistributionName>

例:Ubuntu 24.04をインストールする場合

wsl --install -d Ubuntu-24.04

3. Ubuntuの起動と初回セットアップ

インストール後、Ubuntuを起動すると初回セットアップが開始されます。

例:Ubuntu を起動する場合

wsl -d Ubuntu

初回起動時には、Linux環境で使用するユーザーアカウントの作成を求められます。

  • ユーザー名: 半角英数字でユーザー名を入力します。

  • パスワード: パスワードを入力します(画面には表示されませんが、入力は受け付けられています)。

    Create a default Unix user account: <ユーザー名> [ENTER]
    New password: <パスワード> [ENTER]
    Retype new password: <パスワード再入力> [ENTER]
    

    これらを入力することで、Ubuntuの初期設定が完了します。

4. WindowsとWSL間のファイル連携

WSLの大きな利点の一つが、Windowsとシームレスにファイルをやり取りできる点です。

4.1 WSLからWindowsファイルへのアクセス

WSL内のターミナルから、WindowsのCドライブやDドライブにアクセスできます。これらは /mnt ディレクトリ以下にマウントされています。

  • Cドライブ: /mnt/c

  • Dドライブ: /mnt/d

    例:Windowsのデスクトップへ移動する

    # <ユーザー名> はご自身のWindowsユーザー名に置き換えてください
    cd /mnt/c/Users/<ユーザー名>/Desktop
    

4.2 WindowsからWSLファイルへのアクセス

逆に、WindowsのエクスプローラーからWSL内のファイルにアクセスすることも簡単です。エクスプローラーのアドレスバーに \\wsl.localhost\<ディストリビューション> と入力してください。

\\wsl.localhost\Ubuntu

すると、インストールされているディストリビューション(Ubuntuなど)のフォルダが表示され、その中身を直接参照・編集できます。

5. Ubuntuの停止とWSLのシャットダウン

5.1 特定のディストリビューションの停止

実行中の特定のディストリビューション(例:Ubuntu)を停止するには、PowerShellで以下のコマンドを実行します。

wsl --terminate Ubuntu

または、短縮形を用いて

wsl -t Ubuntu

と入力します。

5.2 WSL全体のシャットダウン

すべてのディストリビューションとWSL2の仮想マシンを完全に終了するには、以下のコマンドを使用します。

wsl --shutdown

このコマンドは、メモリ使用制限の変更や .wslconfig ファイルの変更など、WSL2仮想マシン環境の再起動が必要な場合に実行します。

6. Ubuntuの削除(登録解除)

WSLからディストリビューションを完全に削除し、初期状態に戻したい場合は以下の手順を実行します。この操作を行うと、そのディストリビューション内のすべてのデータが消去されます。

6.1 インストールされているディストリビューションの確認

まず、現在インストールされているディストリビューションの一覧と状態をPowerShellで確認します。

wsl -l -v

実行結果の例:

  NAME            STATE           VERSION
* Ubuntu          Stopped         2
  Ubuntu-24.04    Running         2

6.2 ディストリビューションの登録解除

対象のディストリビューションをWSLから削除するには、以下のコマンドを実行します。

wsl --unregister <DistributionName>

例:Ubuntu 24.04を削除する場合

wsl --unregister Ubuntu-24.04

このコマンドにより、Ubuntu 24.04のすべてのデータと設定が完全に削除されます。


以上が、WSLを使用してUbuntuをセットアップし、管理するための基本的な手順です。コマンドラインを活用することで、効率的にLinux環境を構築・運用できます。

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