SQL_MODE=ONLY_FULL_GROUP_BYのエラーとROW_NUMBERを使った解決策
はじめに
皆さんは、MySQL5.7以降のデフォルトSQL_MODEであるONLY_FULL_GROUP_BYが有効になっていることをご存知でしょうか?
このモードが有効な場合、GROUP BY句で指定されていないカラムをSELECT句に含めるとエラーが発生してしまいます。
今回は、そのエラーを解決するためのROW_NUMBERを使った解決策をご紹介します。
発生したエラーと解決したい課題
以下のようなクエリを実行しようとしたところ、エラーが発生しました。
SELECT
department, name, salary
FROM
employees
GROUP BY
department
ORDER BY
salary DESC;
このクエリは、部署ごとの給与上位者を取得しようとしていますが、ONLY_FULL_GROUP_BYモードが有効なため、GROUP
BY句で指定されていないnameカラムがSELECT句に含まれているのでエラーになってしまいます。
ROW_NUMBERを使った解決策
このエラーを解決するには、ROW_NUMBERとサブクエリを使用します。以下のように、クエリを修正してみましょう。
SELECT
*
FROM (
SELECT
department, name, salary,
ROW_NUMBER() OVER (PARTITION BY department ORDER BY salary DESC) AS row_num
FROM
employees
) AS subquery
WHERE
row_num <= 3;
このクエリでは、サブクエリ内でROW_NUMBERを使用して、部署ごとに給与の降順で行番号を割り当てています。そして、サブクエリの結果に対して、行番号が3以下の行のみを取得しています。
実行結果は以下のようになります。
+------------+-----------+--------+---------+
| department | name | salary | row_num |
+------------+-----------+--------+---------+
| 営業部 | ユーザーC | 570000 | 1 |
| 営業部 | ユーザーB | 550000 | 2 |
| 営業部 | ユーザーE | 520000 | 3 |
| 開発部 | ユーザーD | 650000 | 1 |
| 開発部 | ユーザーI | 620000 | 2 |
| 開発部 | ユーザーC | 600000 | 3 |
| 人事部 | ユーザーJ | 560000 | 1 |
| 人事部 | ユーザーG | 530000 | 2 |
+------------+-----------+--------+---------+
各部署の給与上位3名を取得できました!GROUP BY句を直接使用せずに、ROW_NUMBERとサブクエリを利用することで、ONLY_FULL_GROUP_BYモードでもエラーを回避できます。
より応用的な使い方
ROW_NUMBERを使ったテクニックは、他にも様々な場面で応用できます。例えば、以下のようなケースです。
- 部署ごとの売上上位N名の営業担当者を取得する
- カテゴリごとの売上上位N製品を取得する
- 年度ごとの利益上位N店舗を取得する
これらの課題も、ROW_NUMBERとサブクエリを使用することで、簡単に解決できます。
注意点
ただし、ROW_NUMBERとサブクエリを使用する方法は、クエリの複雑さが増すため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。特に、大量のデータを扱う場合は、クエリの最適化が必要になる場合があります。
また、ROW_NUMBERは同順位の行に対して一意の行番号を割り当てますが、その順序は保証されません。同順位の行を一定の規則で並び替える必要がある場合は、追加の条件を指定する必要があります。
まとめ
以上、SQL_MODE=ONLY_FULL_GROUP_BYのエラーを解決するためのROW_NUMBERを使ったテクニックを紹介しました。このテクニックを使いこなせば、GROUP BY句で指定されていないカラムをSELECT句に含めたクエリも、エラーなく実行できるようになります。ぜひ、ご活用ください!
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