RubyKaigi 2025に参加してきました
本記事のポイント
- 初参加の学生目線で RubyKaigi 2025 の雰囲気をレポート
- STORES株式会社による学生支援プログラム体験記
- セッションのハイライトとその他の時間をどう過ごしたか
はじめに
2025年4月16日〜18日に愛媛県の松山で開催された RubyKaigi 2025に参加してきました！かねてより念願だった RubyKaigi への初参加で、とても充実した3日間になりました。
エントランス
本記事では、RubyKaigi 2025への参加を通して感じたこと、学んだことなどを、初参加の学生目線で書き残したいと思います。食べたものの写真など本筋に関係のないものはアコーディオンの中に入れています。
STORES株式会社による学生支援について
今回は、STORES株式会社による学生の RubyKaigi 参加を支援するプログラムで招待していただきました。参加チケットだけでなく、宿泊費、交通費の負担、食事、STORES社員の皆様との交流など、手厚いサポートをしていただくことができました。
学生にとって、経済的な負担を気にせずこのような貴重な機会に参加できることは本当にありがたいです。STORESさんには心から感謝しています。
事前の学習や準備
私は普段の開発でRubyをメインで使用しているのですが、parserなどRubyの内部の仕様についてはあまり触れたことがありませんでした。
RubyKaigi 初参加ということもあり、あらかじめ色々勉強しておこうと思い事前勉強会などに参加しました。実際に参加したのは、STORESさん主催のSTORES.rb RubyKaigi 2025 直前スペシャル、SmartHRさん主催の RubyKaigi 2025事前勉強会の2つです。
前者では、まつもとゆきひろさんやko1さんのお話を聞きながら RubyKaigi のプログラムについてどのような話がされるのかもう少し詳しく知ることができました。後者では、コミッターから RubyKaigi 初参加者まで様々な方のLTを聞くことができ、その後参加者の方々と懇親会をしました。LTの中でおすすめされていた「RubyでつくるRuby」という本に取り組み、RubyKaigi に臨みました。
私のタイムテーブル
SmartHRさんが音楽フェスのタイムテーブルのように RubyKaigi をどう回るかのタイムテーブルを作ることができるサービスを公開してくださっていました。私のタイムテーブルを共有しておきます。
RubyKaigi 2025 各日程の記録
Day 0（4/15）
午前中の大学の授業を受けてから向かいました。物心ついてから初の飛行機だったため、内心ビクビクしながらのフライトとなりました。（よりによって風が強い日でした…）
到着してからはSTORES社員の皆様との懇親会に参加しました。
Day 1（4/16）
午前
ima1zumiさんのキーノートから始まりました。
文字コードの話を詳しくされていて、そこまで深く学んだことがなかったのでとても勉強になりました。家族の絵文字（🧑🧑🧒🧒）についての話が特に印象的でした。
このセッションに限らず RubyKaigi を通してなのですが、parser周りの話のときによくオートマトンの話が出てきました。私はちょうど大学でオートマトンを学んでいて、これは何に使うんだ…と思っていたところだったので、実際に使われている場面を知ることができ良かったです。
昼
STORES社員の皆様と黒船SOBAというお店で蕎麦を食べました。社員の皆様や一緒に招待された学生の皆と仲を深めることができました。
食べたもの
黑紅そば
美味しかった上に行きやすい場所にあるので今度松山に行く機会があったらまた行きたいと思います。
午後
1日目午後はやはりTRICKがハイライトかなと思います。多少関連するコードゴルフには触れたことがあるもののレベルが全然違う。
TRICKの説明
過去のTRICKもYoutubeでみたことはあったものの、実際に会場で見てみると他の方々の反応なども含めてより楽しむことができました。
個人的に一番好きだった作品は、yharaさんの作品です。
"Most Shifted"なyharaさんの作品
文字通りメソッドの名前がshiftしていて、ソースコードがわけのわからないことになっていました。コードを読んで内容が理解できない理由が読み手の技術力不足のみではなく、そもそもコード自体が変なことになっているというのが面白くてとても好き。
夜
オフィシャルパーティーに参加しました。
ライトアップされた松山城が見える最高のロケーション。写真は白飛びしてしまった
松山城下の最高のロケーションで、美味しい食事やクラフトビールをお供にSTORES社員をはじめとするRubyistの方々と交流することができました。
食べたもの
DD4Dというブランドのクラフトビールを飲むことができました。種類が多く全部を飲むことはできませんでしたが、柑橘系のものを中心に飲みました。とてもフルーティーでした。
これは余談ですが、私は謎解きが好きで、第四境界という謎解きコンテンツを作る団体がこのDD4Dとコラボした新作を出しており、東京に帰った次の日に参加した第四境界のリアルイベントで買ってきました。そちらのクラフトビールも美味しかったです。
みかん。左から清見、カラマンダリン、せとか、紅プリンセス（はるあいか）
みかんの食べ比べもすることができました。写真右端の「紅プリンセス」という品種が特に好きでした。
キッチンカーの方の食事も無料だったようです。有料だと思い込んで見に行くことすらしなかったことを後悔…
Day 2（4/17）
午前
キーノートを聴いた後、企業ブースを回りました。
これからインターンシップに参加する企業やインターンシップに興味がある企業を中心にまわりつつ、スタンプラリーのコンプリートを目指すつもりだったのですが、各ブースで話し込んでしまい2セッション分の時間で3分の1も回ることができませんでした。
食べログさんのブースでのアンケート
食べログさんのブースで初めて触ったRubyのバージョンについてのアンケートが行われていました。二十歳になったばかりの若造が1.9にシールを貼ったので驚かれました。
昼
Pixivさんの学生支援で参加している学生たちと一緒に昼食を食べました。
詳細
私はステーキを食べました。美味しかった。
ステーキ
Pixivさんが招待している学生は普段ハード寄りの開発をしている方が多かった印象です。学部2年で参加している人がいて驚きました。
午後
あそなすさんのセッションでは、Grooveboxのシンセサイザー、ステップシーケンサー、フィルター、サンプラーなどの機能について詳しく聞くことができました。あそなすさんは事前勉強会でもLTをされていて、より詳細な話を聞いてみたいと思っていました。実際の機材を扱うためのハードルは高く、自分で実装するというアプローチで理解しようとするというのがエンジニアらしさMAXでした。
企業ブース巡りの続きもしました。2日目を通していただいたノベルティだけでトートバッグが一杯に。スーツケースを大きめのものにして半分空の状態で来たのですが、そうしていなかったらいただいたノベルティを全部持ち帰ることは不可能だったと思います。
スタンプラリーもコンプリートすることができました！
コンプリートしたからといって達成感以外に何かあるわけではないです。コログ集めみたいなものです。
夜
STORESさんのミートアップに参加。
STORESのmorihirokさんやkayoさんと RubyKaigi の話だけでなく就活の話や趣味の話などもしていました。
食べたもの
ノンアルコールのイベントでした
Day 3（4/18）
朝
早起きして道後温泉の近くにある愛媛の食卓1970というお店でオレンジジュースの飲み比べをしてきました。
詳細
愛媛の食卓1970
オフィシャルパーティーで食べ比べて一番好きだった紅プリンセスの親の品種である紅マドンナのジュースが一番好きでした。
午前
Day3はRuby Committers and the Worldから始まりました。それぞれのRubyistの思想がぶつかり合っている感じがとても面白く、またそれぞれが互換性を強く意識している点が流石でした。
そして、中高生国際Rubyプログラミングコンテストなどで機会は何度かあったものの対面でお会いできていなかったMatzさんとついにお話することができました！
念願のツーショット
昼
SMSさんの学生支援で参加している学生たちと一緒に大黒屋というお店で釜飯とうどんを食べました。
大黒屋。「バナナマンのせっかくグルメ!!」で紹介されたお店らしいです。
Life is Tech のメンターでRubyを使っている方がいて、Rubyコンテストの話などをしました。
午後
やはりMatzさんのキーノートの印象が強いです。
なんと舞台の下からセリで登場したMatzさん。ラスボス感がありました。
今年の RubyKaigi は他のテックカンファレンスと比べ全然AIの話が出てこないということで、「Programming Language for AI age」というタイトルに。Matzさんの考えるAIとの付き合い方やRubyの今後についての話がありました。いくつか印象的だった話を。
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エンジニアは逆アルファシンドロームに気をつけないといけない
アルファシンドロームとは、犬が家族の中で「自分が一番偉い」「家族は下の地位だ」と、勘違いしてしまった状態のことです。あくまで人間が主人でAIは人間に使われるものであるのに、AIこそが一番偉いと勘違いしてしまわないように、という話でした。気をつけます。 -
十分に賢い人間は静的型付けでなくても型エラーを出さない。であれば、十分に賢いAIが扱う言語も静的型付けである必要はないのでは？
現在のAIは無いものは作れないけれども、AIは毎週のように賢くなっているので近い将来無いものも生み出せるようになるだろう、という文脈での話。静的型付けである必要はなく、ミニマルでわかりやすいコードがいいと考えると、RubyはAIに書いてもらう言語として良いのでは…？とのこと。私としてはRubyが一番慣れている言語なので助かります[1]。 -
コミッターと参加者の間にそこまで差はない
そんなことはない。差はあるよ…と言いたくなりますが、Rubyを使っていくうちにちょっとしたきっかけでコミッターになることもあり、そこまで気負わずやってみてほしいという話でした。コミュニティの力がRubyの力になる、という話も。これは私も感じているところで、コミュニティの盛り上がりは間違いなくRubyの長所だと思います。今後も関わっていきたい。 -
Ruby4.0出します
エイプリルフールという予防線を張っていたけれどもやっぱり出るようです。楽しみ。
夜
転職ドラフトさんのDrinkupに参加しました。
鯛の塩釜焼きなどを食べながら、いろいろな会社のエンジニアの方と話すことができました。今年の RubyKaigi の話だけでなく、来年の話やそれぞれの会社の話をしたり、思わぬ接点があったり。充実した時間でした。
鯛の塩釜焼き
Day 4（4/19）
家に帰るまでが RubyKaigi！！
ということで、松山観光をしました。
本丸の開けたところからの松山城天守
オープン時間に道後温泉に行き、農協でお土産のみかんを買い、松山城に行きました。
松山観光
道後温泉
道後温泉本館
オープン時間に行き、霊の湯という温泉に入ることができる少し高めのプランにして一番風呂をいただきました。
茶菓子もいただきました
伊佐爾波神社
チェックアウトする前に宿や道後温泉の近くにある神社に参拝してきました。長い階段を登りました。
伊佐爾波神社
御朱印もいただきました。ノベルティの御朱印帳を使おうと思っていたのですが別紙でもらうパターンでした[2]。
みかん
オフィシャルパーティーで食べ比べできたみかんのうち一番好きだった紅プリンセスは旬の時期を外れており買うことができず、次に好きだったカラマンダリンを買いました。
松山城
私は城巡りも好きなので、松山城をかなり満喫しました。
城の中でも珍しい「登り石垣」を見るために、登城ルートはロープウェイではなく県庁裏登城道を選択。
ある程度の山道は覚悟していましたが、想像を超える急勾配でした。地面は舗装されていたので、舗装されていない当時の人はもっと大変だろうなと思いながら登りました。
登り石垣
「登り石垣」は、山腹から侵入しようとする敵を阻止する目的のため、ふもとの曲輪と山頂の本丸を、山の斜面を登る2本の石垣で連結させたもの。生で見ることができました。
帰りの飛行機は行きの飛行機よりも大きく、風も弱かったので安定していて比較的安心して乗ることができました。
羽田空港からの帰り際、SmartHRのちーすけさんに遭遇。RubyKaigi についてや事前・事後勉強会についてなど様々なことを話しながら帰りました。
おわりに
初参加の RubyKaigi 2025でしたが、非常に充実した経験となりました。今回得られた知識や繋がりを大切にし、今後に活かしていきたいと思います。
セッションについて、専門的な内容で難しいと感じる部分もありましたが、事前のインプットをした効果は大きかったです。企業ブースでは、多くのエンジニアの方々と直接お話することができました。同い年の人が企業ブースに立っていることもあり、とても良い刺激になりました。また、STORES社員の皆様との交流を通して、STORESでの仕事の雰囲気や中身についての理解が深まりました。
そして何より、Rubyistがこれだけ集まる場に参加できRubyコミュニティの強さを体感できたことが良かったです。
この記事が次回以降初めて RubyKaigi に参加される方や、学生の方にとって少しでも参考になれば幸いです。私が RubyKaigi に参加する前に RubyKaigi について調べていたとき、技術的なことは多くの方が記事に書いているけどそれ以外の雰囲気がよくわからないと感じていたので、雰囲気が伝わるような記事になっていればいいなと思います。
また、SmartHRさんの RubyKaigi 2025事後勉強会で、RubyKaigi 初参加のコミッターでもない大学生という立場ながら2枠しかない初参加者のLT枠をとったので、話します。まだ全然話す内容を考えられておらず焦っています。この記事を読んだ参加予定の方はどうか温かい目で見てやってください。
最後に、RubyKaigi の運営に関わられた皆様、登壇者の皆様、ご一緒した学生の皆様、そしてこのような機会を提供してくださったSTORES株式会社の皆様に改めて感謝申し上げます。
来年も参加したいと思います。次は函館。[3]
また来年！
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