ブロックチェーン企業での副業をはじめてみて
副業としてITコンサルをはじめた@naoistと申します。
本職では機械学習モデルのシステム実装プロジェクトの推進や新規事業のプロダクトオーナー補佐などを担当していますが、副業では自身が興味があるビジネスドメインや技術について本業での経験を活かしながら貢献しつつ、自身も新たな学びを得ていきたいと考えています。
今回は私自身が副業をはじめた経緯について振り返りつつ、実際にはじめてみた中で分かった副業のメリットや注意点を共有いたします。
1. 副業解禁から副業を始めるまで
まとめるとこのような経緯になります。
- 2020年:Offersに登録
- 2020年〜: 10社ほどからオファーを受け取るも転職オファーが多く、マッチせず。
- 2022年2月頃: 某社よりオファーを受け取る。ただし繁忙期につき気づかず......。
- 2022年4月頃: 再度コミュニケーションを取り、参画決定。同時に本業内でも副業許諾を取る
それぞれ紹介していきます。
1.1 Offersへの登録
2018年頃から世の中的に副業解禁の動きが活発になりましたが、所属企業(国内大手金融)でも2020年後半頃に副業が解禁されました。その頃は自身が副業するイメージが湧かなかったものの、SNSでOffersへの登録のお誘いをいただき、とりあえず登録だけしてみました。「エンジニアのための副業」というキーワードに引っかかってすぐに登録したのを覚えています(笑)
その後、国内スタートアップを中心にオファーをいただきました。事業ドメインとして関心がある何社かとは情報収集も兼ねて面談させていただきました。ただ、基本的には転職のお誘いだったのと、私自身、転職したい絶対的な理由がなかったため、情報収集で終わっていたという状況でした。
1.2 たまたまいただいたオファー
そうした中、ブロックチェーン事業を営むとある会社(以下、A社)よりお声がけをいただきました。メッセージをいただいたのが自身の繁忙度の高かった2月頃で最初は見逃してしまっていましたが、新年度になり、何か新しいことにチャレンジしたいと思いOffersを開いたところ、メッセージが入っているのを見つけたという次第でした。
折しもNFTブームの真っ盛りであり、ブロックチェーン技術自体に関心がある(勉強してみたい)という状況でした。メッセージにあった「実務を通してブロックチェーンという将来性の高い技術の考え方を吸収できる」という点に魅力を感じ、一度面談させていただくことになりました。
面談では代表の方とお話しましたが、非常にきさくで話しやすく、副業としてどういった入り方があるのかなどご提案をいただいたりご相談に乗っていただいたりと非常にありがたかったです。また、理系院卒など私自身のバックグラウンドに近い方が多いという情報も教えていただき、現職とはまた違った雰囲気が味わえるかもという点にも魅力を感じました。
一方で、所属企業においては副業制度はあるものの、所属部門においては副業経験者がいなかったこともあり、一歩踏み出すかは正直最後まで迷いました。が、このチャンスは逃したくないと思って勇気を持って上司に
- 現職では体験できない環境や立場や業務を経験してみたい
- これまで現職で身につけた知識を社外でも還元しつつ、新たな知見を得たい
といった想いを伝えた結果、(意外にも)快く後押ししていただきました。
2. ブロックチェーン企業での副業内容
2.1 業務概要や業務量
A社は物流や製造、社会インフラなど非金融領域向けにブロックチェーンの導入やデータ活用を支援している会社です。ブロックチェーンは、ビットコインなどの暗号資産の基盤技術として使われるパブリックチェーンと、特定の管理者が運営し限定されたユーザのみが利用できるコンソーシアムチェーン・プライベートチェーンに大別されますが、主に後者を取り扱っています。
私が最初に担当させていただいているのは、NFTに関連したとあるプロジェクトにおいて、その基盤となるKubernetesに関する技術調査です。コンテナに関しては、AWS独自のコンテナオーケストレーションツール(ECS)は経験がありますが、Kubernetesに関しては初めて取り扱うため、日々勉強しながら調査を進めています。その他、KubernetesエコシステムのOSSやデータを蓄積するためのストレージやハードウェアについても調査しています。
現在調査している技術のキーワードは下記の通りです。
- Kubernetes
- SDS(Software Defined Storage)、HCI (Hyper Converged Infrastructure)
- Ceph、Rook、DRDB-SDS、YugabyteDB
- 各種AWSサービス(EKS、EBS、EFS)
非金融xブロックチェーンというビジネスドメインの切り口だけでなく、技術面の切り口でも初めての領域であり、非常にやりがいを感じながら業務を進めています。
2.2 業務量
業務量としては、まだ調査の至急性がそれほど高くなく週3〜4時間ほどといった形で入っているため、別途Kubernetesやブロックチェーンなど関連する基礎学習をしながら無理なく進めています。最終的には、本業に支障のでない範囲で月30時間程度を目安に業務していく予定です。
2.3 今後に向けて
まずはご依頼いただいている調査を進めつつプロジェクトや仕様について着実なキャッチアップが求められると考えていますが、将来的にはプロダクトの仕様づくりや要素技術をベースにゼロからのアーキテクチャ設計など、より上流の部分にも参画してみたいです。特に、トレードログには社員・パートナーに関わりなく優秀で経験豊富な方々が参画されていますし、現在担当しているプロジェクトでは顧客側にも国内のブロックチェーン第一人者の方がいらっしゃいます。そういった方々とより近くでプロジェクトをご一緒できるよう、自己研鑽を重ねていきたいと思います。
3. はじめてみて分かった副業の良い点・注意点
3.1 良い点
実際にはじめてみてわかった副業の良い点を3つご紹介します。
現職とは異なるビジネスドメインや技術の知識が身につく
まず第一に挙げたいのは、何と言っても「本業とは異なるビジネスドメインの知見が手に入る」という点です。ブロックチェーンにしてもKubernetesにしても、もちろん自身で学習したり調査したりはできると思いますが、実際のビジネスとして取り組むことで、「仕事を進めるうえでも何とか理解したい」といったモチベーションにもなりますし、ビジネス要件を踏まえた調査ということで自ずと詳細まで理解することになり、その分学びも大きいと感じます。
これは個人的な話になりますが、自身の本業においては金融やその他周辺サービスの企画支援から設計を担当しており、ビジネスに関しては幅広い観点での着想が求められます。一方で、技術面ではまずはPoC用のWebサービスを開発する、そのためにとりあえずサーバレスでサクッと動くものを作るというパターンが多く、技術スタックとしてのバリエーションは毎回似たものを扱っていました。
しかし、今回は非金融におけるブロックチェーンというビジネスとしても初めての領域であり、かつ技術面でもKubernetesを扱う点、過去自身が経験したプロジェクトと比べると桁外れのデータ量を取り扱う点などが異なり、エンジニアとして非常に新鮮な経験ができています。
スタートアップの雰囲気が味わえる
次に、スタートアップの雰囲気が味わえるというのも魅力的な点かと思います。私自身の本業は大企業ではありますが、次々とサービスを企画してリリースしていくという役割でもあり、スピーディな仕事を心がけています。しかし、担当業務によっては安定稼働や高品質である点が強めに求められるがゆえに、慎重に仕事を進めることが求められる場合もあるかと思います。
一方で、現在副業での参画を求められている企業の多くは、さらなる成長に向けてこれから人を増やそうとしているスタートアップが多いと思います。大企業にいながらスタートアップの雰囲気を感じ、自分に合っているか否かを肌で感じることができる、というのは非常に魅力的だと思います。
在宅でできるため現職(ほぼリモートワーク)との相性がよい
これはいまさらあえて取り上げるまでもないですが、エンジニアの副業はリモートワークとしてのジョインが多いかと思います。私の場合、本業もほぼリモートワークであるため、移動に時間や体力を割かれることもなく仕事が進められています。
3.2 注意点
次に、実際にはじめてみてわかった、副業する際に注意すべき点を2つご紹介します。
時間管理が重要
まず、時間管理が重要であるという点です。特に本業側の繁忙度が高くなると、残業が増えた中でさらに副業もやるということになってしまいますし、副業の時間が追加されたがために本業側のパフォーマンスが悪くなったという結果になってしまうのも残念です。まずは本業側で仕事がたまらないように、いままで以上に時間効率を意識する必要があると感じています。具体的な対策は難しいのですが、イメージとしては、少し先まで見据えて想定されるタスクを洗い出し、計画を立ててコツコツと対応していくよう心がけています。
また、本業の後にすぐに副業、となると切り替えの時間がなく苦しくなってしまうので、何か頭を切り替えるためのルーティンをやるといいと思います。
私の場合は夕方早い時間に本業側の仕事を切り上げてその後副業、というパターンが多いので、その間に散歩したり夕食をとったりして切り替えています。
確定申告には注意が必要
次に、確定申告には注意が必要であるという点です。これまでは年末調整で会社が手続きしてくれていたという方も多いかと思いますが、副業の年間所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
この点については別の記事として、私が副業開始にあたって税務周りで実際にやったことを整理していますので、ぜひご参照ください。
なお、本項目は注意点として触れつつも、いろいろ勉強する過程で税務や起業について少し触れることになるため勉強にもなり、人によっては面白いと感じるかもしれません。
4. おわりに
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。何のために副業をやるのかを考え、それが明確になればとりあえずやってみることをおすすめします。転職とは違った形でこうして本業とは別の会社で働いたり、あるいは別の分野の仕事に挑戦してみたりと、昔に比べると便利になったなと感じます。
また、副業を始めるにあたって税務関連でやったことを整理したこちらの記事についても目を通していただけると非常に嬉しいです。
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