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OSSメンテナーを1.5年しての振り返り

2023/12/22に公開

これは何?

Argo CDやArgo WorkflowsのHelm Chartを管理している argo-helm で1.5年ほどメンテナーをしてみての振り返りです。
メンテナーになった際の出来事はこちらに記載しています。
https://zenn.dev/nameless_gyoza/articles/i-became-argo-helm-codeowners

活動状況

本記事を執筆時点(2023年12月19日)での草の生え具合はこんな感じです。 Helm Chartなのでそれほど変化が起こらないこともあり目標として週に1度は何か活動しようという気持ちでやっていましたが、結果としてはそれを遥かに超える頻度で活動していました。

2022年の2倍くらいの活動量だったようです。

やったこと

argo-helm のメンテナーとして以下のことをしていました。

  • Pull Requestに出されたもののレビュー
    • upstreamのバージョンアップなどがあればそれに対するPRを作成
  • Issueに挙げられた質問・改善要望・不具合への対応
    • バグの報告であれば修正PRを作成する
    • 疑問・質問に関する回答やデバッグ
  • Discussionに挙げられた質問・改善要望・不具合への対応
    • Issuesと同じ感じ

またCNCFのSlack( #argo-helm-charts )でもIssueやDiscussionと同じようなことをしていました。

振り返り

良かったこと

外部コミュニティを通して

メンテナーのコミュニティに参加したことで、OSSとしてargo-helmをどう運営していくかなどの議論を経験しました。
会社員とは違ってコミット度合いの違いや組織としての方向性を定めることが難しいOSS活動において、コミュニケーションや意思決定をどのようにしていくのが良いかについて思いを巡らせる良い機会となりました(模索中ですが..)。

Argoシリーズの仕様により詳しくなれた

argo-helm自体はあくまでもArgoシリーズが出しているK8s manifestをHelm Chart化して提供するものであり、ConfigMapやDeploymentなどへの設定値追従などはしますが個別の細かな機能については特に触れません。
一方でIssueなどで挙げられるものはArgoシリーズの本体側のバージョン更新に伴う対応であったりすることもあります。機能要望や不具合報告を通して今まで知らなかった機能や仕様についても調査するきっかけになり、Argoシリーズの仕様により詳しくなりました。

英語でのやり取りに(多少)慣れた

私の家庭では英語を家庭内言語としていますが、家族以外の人と英語でやり取りすることはほとんどないため第三者と英語でやり取りする練習になり自信にも繋がりました。
特に家庭内だと自身の英語力の低さを家族がある程度考慮してくれるのでなんとかなることが多いですが、全くの初対面の方(かつ相手も非ネイティブだったりすることも多い)との英語のやり取りは本当にいい経験になりました。

学んだこと

共通認識構築の重要性

寄せられてくるIssueやPRには懇切丁寧に背景や再現手順を記載したものから何も書いてないものまで様々なものがあります。また起票者の人となりが分からないためどこまで片手まで信用して良いのかも分かりません。
こういった状況において適切な対応をしていくためには、普段の仕事以上にヒアリングを通しての共通認識を気づくことの大切さを改めて感じました。
お互いが同じ前提のもと同じことに対して話をするということは会話をする上での前提条件だとは思いますが、一方で当たり前過ぎて蔑ろにされがちなものでもあると思います。OSS活動を通して共通認識を築くことの大切さを再認識しました。

ほどほど力の大事さ

OSSあるあるだとは思いますが、ISSUEやPRをあげっぱなし/投げっぱなしにされるケースは多々あります。こちらがレビューしたり質問に回答しても無視されるものが多かれ少なかれ存在するため、燃え尽きないほどほどの距離感でやることの重要性を自ずと意識するようになりました(特に自分は完全ボランティアとして活動しているので..)。
コミュニティに貢献したいという気持ちは今でも高いですが、その気持だけではやっていくのは難しいなというのが現実なため、バランス感覚を持って活動することが心の平安を保つ上で重要だと考えています。

来年の抱負

今年と同じく短距離走ではなく長距離走として、ほどほどな感じで細く長く貢献していければと思っています。

Discussion