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【もっと簡単に】Transformer の長い文章対応技術を簡単に解説

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前回の記事が、少し難しかった気がして、もう少し簡単にしたいと思います

大規模言語モデル(LLM)が長い文章を理解できるようにするために、どのような工夫があるのかを シンプルな図やベクトルイメージ で説明します。

1. 位置埋め込み(Position Embedding)の最適化

(1) 通常の位置埋め込み(絶対位置)

各単語は、それが 文章の何番目にあるか を知るために「位置情報」を持ちます。普通の Transformer は 0, 1, 2, 3... のような「固定された番号」を使って学習します。

🔹 問題点: 番号が増えると、遠い単語同士の関係を学びにくい。


(2) RoPE(Rotary Position Embedding)

💡 ベクトルを回転させて位置情報をエンコードする方法

🔹 イメージ:

  • 普通の位置埋め込み → 「番号をそのまま使う」
  • RoPE → 「回転する座標軸で表現」

🌟 メリット:

  • 位置の違いを 相対的に 理解できる。
  • 遠い単語同士の関係も保持しやすい。

🔹 例: GPT-4 Turbo は RoPE を使って 最大128K トークン まで対応!


(3) ALiBi(Attention Linear Biases)

💡 「遠くの単語ほど、弱い関連性がある」ことを最初から組み込む方法

🔹 イメージ:

  • 近い単語 → 強く関連する(計算をたくさんする)
  • 遠い単語 → ちょっとだけ関連(計算を減らす)

🌟 メリット:

  • わざわざ新しい学習をしなくても、長い文章を扱える!

2. Sparse Attention(計算コストを減らす工夫)

通常の Transformer の注意機構(Self-Attention)は 全ての単語を比較 するため、長い文章では計算量が O(N²) と爆発的に増えます。

(1) Sliding Window Attention

💡 「近くの単語だけを見る」ようにする方法

🔹 イメージ:

  • 通常 → すべての単語を見る 🏢🏢🏢🏢🏢(処理が重い)
  • Sliding Window → 「窓」を作って、その中だけを処理する 🏢🏢 ⬅(処理が軽い)

🌟 メリット:

  • 計算コストを減らして、より長い文章を処理できる!

(2) FlashAttention

💡 GPU メモリの使い方を最適化する手法

🔹 イメージ:

  • 通常 → 一度に大量のデータを処理 → メモリを大量に使う ❌
  • FlashAttention → 小分けにして処理 → メモリ効率アップ ✅

🌟 メリット:

  • メモリの消費を抑えながら、高速に処理できる!

3. Memory Augmented Transformers(記憶を持つ工夫)

(1) RMT(Residual Memory Transformer)

💡 「一時メモリ」を持たせて、長い文章の内容を覚える方法

🔹 イメージ:

  • 普通の Transformer → 「一度に全部処理しないと忘れる」
  • RMT → 「大事な部分をメモに残して、後で使う」

🌟 メリット:

  • 文章が長くなっても、前の情報を忘れにくい!

(2) Attention Sink Token

💡 「特定のトークンに情報を集める」方法

🔹 イメージ:

  • 例えば 「要約ノートを作る」 みたいなもの。
  • 重要な情報を一箇所に集めておけば、後で活用できる。

🌟 メリット:

  • 文章が長くても、重要な情報を保持できる!

4. 分散処理(計算を効率化する工夫)

(1) FSDP(Fully Sharded Data Parallel)

💡 モデルの計算を複数のGPUに分散する方法

🔹 イメージ:

  • 1台の PC で処理するより、 複数のPCで分担した方が速い!

🌟 メリット:

  • 巨大なモデルでも、効率よく処理できる!

(2) MoE(Mixture of Experts)

💡 「専門家を分けて、必要な部分だけ使う」方法

🔹 イメージ:

  • 通常の Transformer → すべての計算を実行する 🏋️‍♂️🏋️‍♂️🏋️‍♂️
  • MoE → 必要な部分だけ計算する ✅(無駄がない)

🌟 メリット:

  • 計算コストを減らして、より長い文章に対応!

まとめ

Transformer が長い文章を処理する工夫 は以下の 4 つの方法に分けられます。

位置埋め込みの工夫(RoPE, ALiBi)
計算コストを減らす(Sliding Window, FlashAttention)
記憶を持つ仕組み(RMT, Attention Sink)
分散処理で効率化(FSDP, MoE)

これらの技術を組み合わせることで、モデルは 長い文章を正しく理解し、処理することが可能 になります。

次回のブログでは、それぞれの技術について詳しく掘り下げていきます! 🎯

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