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大企業製造業におけるシステムの内製開発/新規事業開発における課題

2023/04/23に公開

はじめに

新卒から、自動車のシステム(アウトカー領域と呼ばれるところ)の開発や新規事業の開発などを経て
現在はモビリティ関連のアプリのスクラム開発をしています。
約5年この業界にいて、感じたところを書いていこうと思います。(サンプル数2のため、悪しからず)
また、ここででてくるソフトウェアという単語は組み込みや社内システムなどを含まない、ソフトウェアを軸としたプロダクト開発を指してます

内製化/新規事業開発における課題

ハードウェアファースト

これは私のいた企業だけなのかもしれませんが、ソフトウェアファーストという言葉は頻繁に聞きます。(3回くらいこの本を薦められました)

https://www.amazon.co.jp/ソフトウェア・ファースト-あらゆるビジネスを一変させる最強戦略-及川-卓也/dp/4822289915

が、ソフトウェアファーストといいつつハードウェアファーストが依然として幅を利かせており、
配られた手札を活用するシステム開発が主になってしまい、ソフトウェアサイドからプロダクトを組み立てることが難しいのである。
ハードウェアは製造の時点でできること・できないことが完全に決まっており、"今の所使う予定はないけど、できてほしい"といった要望は、コストが数円だったとしても通りません。

給与

世間的に見れば貰えている方ではあるかもしれませんが、
大企業の総合職採用としての給与レンジ枠(=基本給△、残業代で稼ぐ)から脱することができず、
ソフトウェア領域の給与レンジにはついていけない。

人材雇用

製造業のイメージが強く、ソフトウェア内製化していると業界外の転職希望者にリーチできず、採用が難しい。
また、工場の工員から総合職まで広く採用活動を行っている故、ソフトウェアにターゲティングした採用活動にリソースを割くことが難しい
流行りのテックブログなどを活用するような戦略は、大企業人事のやり方と大きく異なっているのではないだろうか?

人材

ありとあらゆる職域があるため、人材の層は分厚く、ほぼすべての職業を社内で抱えているのはかなり強いです。

ソフトウェアエンジニアという職域、ひとつとっても、C言語職人みたいな人もいればKubernetesを触ってる人などもいるが、それらはだいたい委託先や子会社であったりして、
ソフトウェアの下地がある手を動かすことが大好きなエンジニアは希少です。
(もちろん、研究職などでツールとしてコーディングをしている人たちは多くいますが、プロダクト開発となると一気に少なくなります)

働き方

でかすぎる。でかすぎるが故、工場ので働いている人や研究所で働いている人などあらゆる環境の人間が同じシステム・制度で働くことになり、
ソフトウェア開発においてツラいことになりがちである。(コロナ禍でだいぶ改善されましたが)
例えば、突発障害に対し24/365対応しようとするような働き方は、計画的な工場の3交代制勤務とは扱いがことなっています。

意思決定

業界全体として工場から由来する徹底した安心安全の思想はソフトウェアにまで浸透しており、
安全にちょっとでも関わると、速度感をもった開発を通すことが難しい。
安全を担保しつつ実現したとしても、なるたけイノベーションより安全を取ろうとする姿勢は染み付いてしまっているように思える。

内製化/新規事業開発における良い点

あんまり悪いことばかり書くのもあれなんで、

簡潔にまとめると

  • ハードウェアが深く関わる開発予算に比べればソフトウェア開発は安いもんで、大体の予算は通る(ただそのプロセスは、、(ry
  • 手上げすればなんでもできる
  • どんな仕事のひとでも社内にいる(弁護士から看護師まで)
  • 体力がある

では、どうすればいいか

100%出資の子会社を作るしかないと思います。
上記で述べた課題の多くは、大きすぎる企業が故、意思決定速度やコンプライアンスで自縄自縛になってしまっているからです。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd123210.html

総務省が唱えるオープンイノベーションに近い考えかと思われます。

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