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corpITのシステム掌握レベル

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はじめに

corp-ITの会社ごとの立ち位置もまちまちだと思うけれど、ある程度のレベル別があると思う。

レベル1. 柔軟戦略

各事業部門や子会社がITの主導権を持ち、自律的にシステムの導入や運用を行うモデル。

  • corpITの責務
    • 経営層や各部門からの要請に基づき、技術的な助言や導入支援を行うことに留まる。
    • 全社横断的なIT統制は最小限。
  • メリット
    • 現場のニーズに即した迅速なIT活用が可能で、ビジネスの変化に柔軟に対応できる。
    • corpITの責務が小さく、corpITの人員は最小限で済む。
  • デメリット
    • 全社的なデータ連携や活用が困難になり、セキュリティレベルにばらつきが生じるリスクがある。IT投資の重複も起こりやすくなる。
  • 適した組織
    • スタートアップ企業やベンチャー企業など、環境変化が大きい組織
  • 求められるcorpIT人物像
    • ビジネスアドバイザー型。各事業の課題を理解し、最適なITソリューションを提案できるコンサルティング能力が求められる。

柔軟戦略は人員不足を補う策になるものの、M&Aや子会社設立のタイミングでは初動が遅れる。corpITが後手に回る戦略であるため。

レベル2. 限定統制戦略

corpITは全社で守るべき最低限のルール(ガードレール)を設定し、その範囲内で各部門がITを活用するハイブリッド型のモデル。

  • corpITの責務
    • セキュリティポリシー、コンプライアンス、内部監査など、全社共通で必須となる領域において統制を強制する。
    • 上記以外の領域については、各部門の判断を尊重する。
  • メリット
    • 全社的なセキュリティとガバナンスを担保しつつ、現場の柔軟性とスピード感を両立させることができる。
  • デメリット
    • 統制範囲の線引きや、継続的なルールの見直しが重要となる。
  • 適した組織
    • 複数の事業を展開する中堅・大企業、M&Aを積極的に行う企業に適している。
  • 求められるcorpIT人物像
    • ファシリテーター型。各部門の要望を聞きながら、全社的なルールとのバランスを取る調整能力が重要になる。

レベル3. 完全統制戦略

corpITが全社のIT戦略を主導し、システムの導入から運用までを一元的に管理するモデル。

  • corpITの責務
    • IT戦略の立案、予算策定、システム導入、運用保守まで全てを主導する。
    • 全社システムの標準化を推進し、全体最適を目指す。
  • メリット
    • 全社的な業務プロセスの標準化、データの一元管理による活用促進、スケールメリットによるコスト削減、強固なガバナンス体制の構築が可能。
  • デメリット
    • 現場の個別ニーズへの対応が遅れたり、システムが硬直化したりする可能性がある。
    • corpITの責務が大きく、corpITを増員させる必要がある。
  • 適した組織
    • 強い規制があり、安定を志向する企業に適している。
  • 求められるcorpIT人物像
    • ストラテジスト型。経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、全社を巻き込みながらプロジェクトを推進するリーダーシップと実行力が求められる。

レベルの移行

企業は成長に伴い、レベル1からレベル2、あるいはレベル2からレベル3へと移行する場合がある。

  • レベル1 → レベル2/3への移行
    • 課題: 現場がこれまで自由にシステムを選んできたため、統制を強めると反発が起きやすい。
    • 注意点: 統制の目的(なぜ統制が必要なのか)を明確に伝え、現場の意見を取り入れながら段階的に進めることが重要。
  • レベル2 → レベル3への移行
    • 課題: 現場が使い慣れた個別システムから全社共通システムへの移行に抵抗感を示す可能性がある。
    • 注意点: 新しい全社システムを導入する際は、現場の業務効率が実際に改善されることを示し、移行メリットを丁寧に説明することが不可欠。

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