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個人開発マネタイズ大全

2024/10/28に公開1

この記事は以前 エンジニアと人生 というオンラインコミュニティで執筆し技術書典で頒布した本の中の、私の執筆した章をリライトしたものです。

無料公開の背景

本は有料で販売していたので元々この記事も有料記事にしようかとも思っていましたが、なんだか最近個人開発をネタに特に中身のない情報商材として売ってるのを見かけて、そういうのにうんざりしていたので無料で公開することにしました。
個人開発云々いうなら情報商材じゃなくて自分のサービスで稼げよな! ということで。でも投げ銭はありがたくいただくのでいいと思ったらバッジしてください!笑

はじめに

「個人開発を初めてみたけど、どうやってマネタイズするのか全然わからない・・・」という方のためにマネタイズの手法と導入方法、ポイントをまとめた記事となります。

私自身も今まで「自分で考えたサービスやアプリを作っていきたい!」と色々と作ってきました。そして時間はかかりましたがある程度人に使われるサービスを世に出すことは出来ました。しかしそれだけで生活できる収入があるわけではなく、他で仕事をしてその収入をメインとしていました。

結局生きていくため、サービスを運営していくために”お金”は切っても切れません。逆に言えば”しっかり稼ぐことができれば個人開発の時間を最大化できる”のです。サービスをしっかりマネタイズすることで「サービスを作る時間を増やす=世の中に面白いサービスをリリースできる」ことに繋がると思っています。

そのためにサービス・アプリを作る技術・広める技術と同じくらい”マネタイズする”ことが重要です。一人でも多くの個人開発者がこの記事を読んでマネタイズできるようになることが目標です。

みんなで頑張ってサービス・アプリで稼ぎながら面白いもの作ってこうぜ💪

本書がみなさまのお役に立てれば幸いです。

自己紹介

nabettuというアカウントでSNS等をやっています。( https://twitter.com/nabettu )

エンジニアとしてはWebフロントエンドやReact Native、及びFirebaseを中心とした技術スタックでWebサービスやアプリを作っています。

10年ほど個人開発を続けており、2020年に開発したサービスを翌年売却し、そのまま売却先の会社に入社してサービスの運営を続けています。

免責事項

本記事に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本記事を参考にした開発、製作、運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。これらの情報による開発、製作、運用の結果について、著者はいかなる責任も負いません。

マネタイズへの心構え

まずはサービス・アプリをマネタイズすることにおいて大切な心構えをいくつか書いていこうと思います。

個人開発する時間を最大化するにはマネタイズが大事

あなたが個人開発をする時間を今よりもっと増やしたいと考えるなら、やることは一つ。稼ぐことです。稼げるサービスを作ることが出来れば仕事を減らす事や家事などの時間を外注することが出来るようになり、より個人開発に時間を使えるようになります。

マネタイズは開発者のためだけでなくユーザーのため

広告の表示は多少ユーザーにとっては使い勝手や見た目でマイナスになるかもしれないですが、利用するユーザーにとってはそれよりもサービスを安定して運営してもらうことが大切です。明日明後日に閉じてしまうかもしれないサービスをわざわざ使いたくありませんよね?

そのためマネタイズした結果、時間とお金を運営に使えるようになり、より良いサービスを提供できるようなサイクルを回すことはとても大事です。目を背けないようにしましょう。

広告≠悪

広告は適切に統合することで、ユーザーの利便性を損なわずに利用できます。まず、広告の配置やデザインを工夫することで、ユーザーエクスペリエンスに与える影響を最小限に抑えることが可能です。また、広告の内容をターゲットに合わせることで、ユーザーが関心を持つ広告を表示し、逆に役立つ情報を提供できる場合もあります。

もちろん昨今のまとめサイトのような節操のない広告表示はユーザーも望んでいないので、適切な量をコントロールして表示するようにしましょう。

マネタイズの際の注意点

とはいえ何も考えず何も調べずにただマネタイズしようと広告や課金を組み込むと、思わぬトラブルに遭遇することがあります。そのためマネタイズする際の注意点を知っておいて欲しいと思います。

サービスを運営するためにマネタイズは欠かせないものであることを述べました、しかしWebサービスやアプリを開発する際には大小様々なユーザーのデータを預かることに繋がります。その際に収益化ばかりに目を向けておろそかになってしまってはいけない部分がいくつかありますので、この章ではそういった内容に触れていきたいと思います。

基本的なサービスの提供においての注意事項

  • 個人情報の取り扱い

メールアドレス等の個人情報を取り扱う場合には個人情報保護法に準拠が必要になります。また、プライバシーポリシーや利用規約への同意が必要です。EU居住者にサービス提供する可能性がある場合にはGDPRの適用対象となるので、その確認も必要です。

  • 届け出が必要な場合もある

ユーザー投稿を行うコンテンツの場合にはプロバイダ責任制限法に関する実装や、クローズドなチャット機能がある場合電気通信事業者の届け出が必要な場合もあります。また、ソフトウェアだけの提供でなくユーザーを繋げる事や物のやりとりをするサービスの場合には、古物商取引・異性紹介業・職業斡旋業等の許可が必要な場合もあるので、それぞれしっかりと確認しましょう

  • プラットフォームのルールに従う

アプリの提供をする場合にはAppleとGoogle各社のルールにも準拠が必要です。例えばアプリの特定コンテンツの提供をStripeで決済を行うとアプリストアからリジェクト(アカウントやアプリの公開停止)対象になる可能性があります。

  • お金を扱う場合に考えるべき注意点

サービス自体の有料機能でなく、個人のコンテンツ販売などの場合には、自サービスの利用が資金移動やマネーロンダリングに繋がらないように注意してサービスを提供しなければなりません。(サービスが直接振り込みなどを対応しなくとも、販売ユーザー自体に個別にStripeでユーザー登録してもらうことでコンテンツ販売を行う事なども可能です。)また、価格の表示には景品表示法に準拠が必要です。

広告を扱う場合の注意点

基本的にバナー広告などはユーザーのWebサイト閲覧情報をトラッキングして、ユーザーに適した広告を出すことを目指しています。しかしそのためにはもちろんユーザーの同意が必要であり、サービス提供者もその実装が必要です。

広告のためでない、ユーザーの動向調査のためのCookieもその一つです。Webでもアプリでも同意のためのダイヤログの表示が必要になります。

また、2023年10月からはステマ規制法と呼ばれる不当景品類及び不当表示防止法が開始しました。トラッキングを伴わないアフィリエイト広告に関しても、サービスが広告を掲載している場合にはPRである旨を必ずサイトに記載するようにしましょう。

決済を導入する際の注意点

クレジットカード決済や銀行振込等、Stripe等のオンライン決済・決済代行プラットフォームを利用すれば昔と比べて楽に実装できるようになりました。しかし実装が楽になったからと言って、有料サービスを提供する場合にいくつか注意しておくべき点を記述しておきます。

ここに書いてること以外にもサービスによってはやるべき事があるかもしれません。もし不安な点がある場合、法務の専門の方に相談しましょう。

クレジットカード番号の扱いについて

基本的にStripe等を利用してその決済画面を利用する場合は問題ないですが、クライアント側で入力欄を作る場合にクレジットカード番号を保存することは認可を受けている企業以外NGですので絶対にやめてください。そのため、独自実装は避けて公式ライブラリを利用してください。

カード情報はStripeアカウントと紐付けて管理しておけば問題ないはずなので、決済情報についてはサービスで保存しないようにしてください。

特定商取引法に基づく表示について

Webサービスを有料でユーザーに提供しようとするとき特定商取引に関する表示を行う必要があります。

サービス提供者の情報や、解約時の返金がどうなっているかなどをユーザーに開示します。詳しくはこちら等を参照しながら文章を作ってサービス提供時に見れる形にしておいてください。

※最近は法律が変わって住所などは直接表示しなくても良くなりました!やったね!

サービスの性質に適したマネタイズ

本章ではサービスの作り方や広げ方については基本的に触れません。マネタイズの手法や導入方法について話していきます。

まず最初にマネタイズには”型”があります。サービスの性質に応じて適切なマネタイズがある、ということです。

例えば”業務用の請求書管理システム”を作っている方が”バナー広告”を中心にマネタイズしようと考えているとして、このケースはサービスに適したマネタイズとなっているでしょうか?

請求書は月に一回しか発行しない方が多いため、サイト自体のアクセス頻度はとても低いです。そして「業務で利用している=仕事中に利用している」ため、広告を見かけても基本的に興味があるものが出てきてもクリックして中身を見てみようとは思いづらいため、クリックもされづらいです。そのためこの組み合わせはあまり良くないと言えます。

(もちろん例外はあります。この場合この請求書サービスと連携できる会計管理システムの広告などは、業務上必要なため広告をクリックするかもしれません。)

基本的に広告はtoC向けのサービスに向いており、業務で利用するようなtoBサービスについては利用料を集金する形にする方が向いています。サービスの特定に応じて無難なマネタイズ方法は異なって来ますので、まずは本書の型を基本に導入してみていただければと思います。

大きく下記4つのサービスのタイプに応じて説明していきます。

  1. ビジネス向けサービス
  2. コンシューマ向けツールサービス
  3. コンシューマ向けエンタメサービス
  4. CtoC、BtoCサービス

ビジネス向けサービスのマネタイズ

例)Slack、Notion等

まずtoB向けサービスは基本的に利用料モデルにすることが無難です。

先程も書いたように業務で利用する場合には「業務上の目的を早く解決することが価値につながる」ため、寄り道を促す・業務の邪魔になるような広告は相性が悪いです。また、ビジネスとして使うため、自社の収益につながるツール=お金を払いやすいというのがあります。

その上で、サービスの特性が”長期的に利用されるタイプ”か”短期的に利用するタイプ”かで、それぞれサブスクリプションモデル買い切りモデルのどちらかにするほうが良いでしょう。サービスの特性によってはそれらを組み合わせたり、従量課金モデルがあっている場合もあります。従量課金は基本的に買い切りモデルの一種と言えますので、本書では割愛します。

それぞれのモデルのメリット等はそれぞれの章で後述します。

コンシューマ向けツールサービスのマネタイズ

例)Google Photo、クラシル等

toCサービスでもツール系のサービスは基本的にビジネス向けと同じ考えになります。”長期的に利用するタイプ”か”短期的に利用するタイプ”かで、それぞれサブスクリプションモデル買い切りモデルが適していると言えるでしょう。

ただ、ツール系サービスの中でも”使えば使うほどデータが貯まり、乗り換えづらい”ものや、ターゲット層があまりお金を出さないタイプのサービスでは、フリーミアムとして無料で一定の範囲まで使ってもらうか、課金していない場合に広告を出すという順序も良いと思います。

広告を取り入れる場合にも「基本は利用料を集金することがメインであり、それを促すためにまず広告を出して、課金することが広告を消すモチベーションにつなげる」で利用料を支払ってくれるように促す手法もあります。またアプリであれば一部の機能をリワード広告を利用すると使えるようにすることも有効です。

コンシューマ向けエンタメサービスのマネタイズ

例:Twitter(X)、pixiv等

Webサービスはよく「ビタミン剤か?鎮痛剤か?それとも治療薬か?」と3つの括りでくくられることがあります。

これは

  • ビタミン剤:生きていく上で必要は無いが、あると嬉しいサービス
  • 鎮痛剤:今まさに痛み(ストレス)を伴っている部分を軽減してくれるサービス
  • 治療薬:痛み(ストレス)の根本を解決してくれるサービス

という意味で、エンタメサービスはこのビタミン剤と言えます。メディア型のサービスがこれに多く当てはまると思います。

エンタメサービスの特徴としてはサービスそのものに課金するモチベーションがあまり高くないということです。もちろん素晴らしいサービスとその機能に対して利用料をとることは可能ですが、あくまで殆どの利用ユーザーは無料でサービスを利用することが多くなります。

そういったサービスのマネタイズの中心はユーザー自身でなくそのユーザーが見る広告に対して広告主から収益を得られる広告モデルになります。

広告にもバナー広告やアフィリエイト広告などの種類があり、もしサービスの特性が特定の商品をユーザーが購入するモチベーションにつながるものはアフィリエイト広告の相性が高いと言えます。そうでないサービスについてはバナー広告やリワード広告が適しています。

CtoC、BtoCサービスのマネタイズ

例:メルカリ、Menta等

サービス自体でなくユーザー間のやりとりに関して金銭が発生するような仕組みを提供するサービスの場合には、手数料を集金することが適していると言えます。集金や決済サービスとして利用してもらうことで、その金額の中から数%〜数十%を手数料としてとる形です。

また、特にBtoC向けの場合にはそのサービス自体をサブスクで登録してもらい、更に決済に関して手数料を徴収するという組み合わせでも構わないと思います。

それぞれの特徴を書いてきましたが、もちろんサービスによって合う合わないがあり、ハイブリットに導入するような形でもよいと思います。

マネタイズ手法一覧

以下、広告などそれぞれのマネタイズ方法についてそれぞれ紹介していきます。

また、プロダクトと合っていないとなかなか真似はし辛いですが「こういった事例もあるのか」というレベルで知っていただければと思い、それ以外の事例もいくつか掲載しておきます。

バナー広告

バナー広告は、ウェブサイトやアプリ内で掲載される広告形式の一つであり、アドネットワークを介して提供されます。

アドネットワークは、複数の広告主と広告枠を持つ開発者(ウェブサイトやアプリの運営者)を結ぶGoogleやMeta等が運営するプラットフォームです。広告主はアドネットワークを通じて広告を配信し、開発者は広告を掲載することで収益を得ることができます。

バナー広告は画像や動画で構成され、SDKを通して自動で表示内容が切り替わります。

バナー広告の導入方法

  1. アドネットワークの選定: アドネットワークを選びます。有名所はGoogleが提供しているものでWebならAdSense、ネイティブアプリならAdMobがあります。
  2. アカウント登録と設定: 選んだアドネットワークにアカウントを登録し、広告キャンペーンの設定を行います。これには広告主からの広告を受け付けるための審査も含まれます。
  3. 広告ユニットの作成: アドネットワークのダッシュボードを使用して、サイズやデザインの設定を行い、ウェブサイトやアプリに埋め込むための広告ユニットを作成します。
  4. コードの埋め込み: アドネットワークは、生成された専用のHTMLやJavaScriptコード、ネイティブアプリであればそのSDKを提供します。このコードをウェブサイトの適切な場所に埋め込むことで、バナー広告が表示されるようになります。

アドネットワークのバナー広告と類似の広告

  • 純広告型バナー広告 : Webサイトやアプリ上の広告枠を、一定期間の固定料金や成果報酬で契約して掲載するバナー広告のことです。こちらはサイトやアプリへ広告を出稿したい企業を探してきて、個別に載せる広告を相談する形になります。
  • インタースティシャル広告 : インタースティシャル広告は、ウェブページやアプリのコンテンツが表示される前や途中で、全画面にわたって表示される広告形式です。(最近はWebサイトで戻るボタンを押すと出てくるようになってきたりもしてますが、あれめちゃくちゃウザいですね!w)
  • ネイティブ広告 : ネイティブ広告は、ウェブページやアプリのコンテンツに調和し、自然な形で表示される広告形式です。ネイティブ広告は、一般的なバナー広告よりも広告がコンテンツと一体化しているため、違和感なく表示されることでより効果が期待されますが、逆に「紛らわしい」とクレームになる可能性もあります。

リワード(報酬型)広告

リワード広告は、ユーザーが特定のアクションを実行したり、広告を視聴したりすることで、プレミアムコンテンツ等の報酬を獲得できる仕組みです。基本的にはネイティブアプリにおいて、動画広告を数秒みて、その報酬によってアプリのコンテンツを享受できる形式のものになります。

広告の種類として通常、ビデオ広告が一般的ですが、アプリのコンテキストによっては、指定アプリのインストール等の異なる形態もあります。

リワード広告はユーザーが直接金銭を払わなくても、有料提供するコンテンツを利用できるという点でマネタイズのハードルが低い点と、バナー広告に比べると高単価な収益を獲得できます。

リワード広告の導入方法

基本的に導入はバナー広告のアドネットワークと同じになりますので導入後について記載します。

  1. 広告の表示場所・タイミングの決定 : リワード広告を表示する場所を決定します。一般的には、ゲーム内の特定のポイントやアクションの前後が効果的です。
  2. 報酬の設定 : ユーザーに提供する報酬を設定します。これは、アプリ内通貨の量、プレミアムアイテム、アクセス権等です。
  3. 広告表示イベントの実行 : リワード広告が表示されるトリガーとなるイベントを設定します。例として特定の機能を利用する前です。

これらの手順を経てリワード広告を導入することで収益の増加を期待できますので、OpenAIのような有料APIを利用するサービスでもこれによってユーザーからお金を取らずに収益化することも可能になります。

アフィリエイト広告

アフィリエイトは、ウェブサイトやブログ等のコンテンツを通じて商品やサービスを紹介し、その紹介から発生した成果に対して、紹介料として報酬をもらえる仕組みです。

アフィリエイトプログラムは、アフィリエイト広告主(企業やオンラインストア)とアフィリエイター(ウェブサイトやアプリの運営者)とが提携して広告を掲載する形になります。A8.netなどのアフィリエイト契約のプロバイダー(Affiliate Service Provideの略でASPと呼ばれる)がその仲介を行っていますので、そこを通して提携契約ができます。また、Amazonや楽天でも本の紹介などをして、そこからアフィリエイト収益を得られるプログラムもあります。

アフィリエイトの仕組みと導入方法

  1. 登録と承認: ASPに登録後、掲載されているアフィリエイトプログラムに登録し、審査を受けて承認される必要があります。承認されたら、広告主が提供する広告やリンクを取得することができます。
  2. 広告の取得: アフィリエイトプログラムのダッシュボードから、広告主が提供する広告やリンクを取得します。これにはテキストリンク、バナー広告などが含まれます。
  3. コンテンツへの統合: アフィリエイト広告やリンクをコンテンツに統合します。「商品の購入はこちら」というような形で広告主のサイトにリンクさせます。
  4. 紹介とトラッキング: そのリンクから購入や登録が行われた場合、トラッキングが行われ成果が記録されます。
  5. 成果報酬の獲得: 紹介から発生した成果に対して報酬を得ることができます。報酬は通常、クリック単位、販売単位、登録単位などに基づいています。これには広告主からの承認が必要だったりもします。

主要なアフィリエイトプログラム

  • A8.net: 日本国内で広く利用されているアフィリエイトプログラムの一つであり、多くの広告主と提携しており、様々なジャンルの広告が揃っています。商品ごとそれぞれ料金や承認形式があり、個別に提携をして掲載する必要があります。
  • Amazonアソシエイト: Amazonアソシエイトは、Amazonが提供するアフィリエイトプログラムであり、Amazonの商品を紹介して購入が行われた場合に報酬が得られます。基本的にはアソシエイトに登録することで全商品のアフィリエイトが利用できます。商品のジャンルによって料金がかわってきます。

アフィリエイト登録することで商品APIが利用できる

たとえば読書ログを付けて共有するサービスを作った場合に、その本を紹介する際のリンクとしてAmazonや楽天でアフィリエイトリンクを発行してサイトに掲載することで収益化可能です。

Amazonや楽天はアフィリエイトで利用する前提であれば、APIを利用して商品情報を取得することも可能なため、商品一覧データ等を作成したい場合などにも便利です。

利用料(サブスクリプション、買い切り)

サービスの利用料を取るビジネスモデルは、文字通りユーザーが開発したサービスやツールを利用する際に対価を支払ってもらう仕組みです。昨今メジャーになっているSaaSと呼ばれるサービスは基本的にサブスクリプションで料金を月や年払いで利用してもらうことが多いです。

サービスのタイプによってサブスクリプションか買い切りかを選択しましょう。買い切りはユーザー利用時にサーバー費用がほとんどかからないタイプであることが重要です。少額ならいいですが、買い切りのユーザーがデータが増える度にサーバー費用が増えてしまったりすると赤字になってしまいますので。

毎月必ず利用するようなタイプであったり、サーバー費用がかかるものはサブスクリプションに設定しましょう。料金によってはどちらかをユーザーが選べるプランを用意してもいいかもしれません。

また、扱うデータによって従量課金というパターンもありますが、基本的には買い切りと同じような立ち位置のため割愛します。

利用料決済の導入方法

Webサービスの場合にはStripe等の決済代行サービスの利用、アプリの場合にはAppleやGoogleのストア決済を利用する形になります。クレジットカードを扱う場合には、前章の注意点をよくご確認ください。

  1. 登録と承認:Stripe等の決済プラットフォームまたはApple,Googleでサブスクのプランを作成、またその審査を通す必要があります
  2. クライアントでの組み込み:アプリケーションに決済を組み込みます。基本的にはクレジットカードの情報をサービス側では抱えないようにSDKを利用し、公式の利用方法以外の使い方はしないようにしましょう。
  3. サーバーでの組み込み:サブスクリプションはクライアント側だけでは完結せずサーバー側で決済サービスからの更新情報を受取り、データを更新できるようにする必要がありますので、サーバー側の実装も必要です。Firebaseを利用している場合にはStripeのプラグイン、アプリの場合にはRevenueCatを利用すると、最低限の実装で済むためオススメです。

意外と考慮するポイントが多いサブスクリプション

サブスクリプションは買い切りと比べて考慮する点がとても多いです。

  1. クレジットカードの期限が切れた場合の処理
  2. プラン変更や期限と切り替えタイミング
  3. キャンセル時の処理
  4. トライアル設定と事前決済登録の有無
  5. 契約更新時の規約同意や告知の義務

などなど、、、実際に運用してから変更することは大変なので、本格的に実装する際にできれば経験者や怪しい点は法律の専門家にも相談しましょう。

実際に私もこのあたりでいくつか失敗をしてユーザーに返金処理を行うことがありました。

  • 同じユーザーに同じプランが2つスタートしているため二重決済
  • 同じユーザーにStripe上で2つのアカウントが紐づいているため二重決済
  • プランをキャンセルして、サービス側のユーザーは削除されてもStripe側のユーザーが消えていないため決済が発生している

もちろんこれらが発生しないような実装・及びテストが大切で、さらにそれぞれ発生してしまってもシステム上で都度チェックを行うような機構を設計することが大切です。

その他のマネタイズ手法

ここから先は個人レベルで真似するのは難しいマネタイズ方法になりますが、こういったものもあります、という紹介レベルで記載しておきます。

手数料(集金代行)

これはもはや個人開発でやるような領域ではないのですが、SkebやZennの事例があるため書いておきます。ユーザー間での金銭のやり取りを仲介し、その決済について手数料を頂くタイプのマネタイズになります。

基本的に導入についてはサブスクリプションと同じように決済プラットフォームを挟んで決済を行うのですが、一度サービス側で売上として受け取り、販売側のユーザーに振込を行うという形になります。

このあたりも、マネーロンダリング等を防ぐための仕組みが必要だったりするので、必ず法律についても専門家の確認をしてもらってください。特にインボイス制度が始まったため、そのあたりも最近変わっています。

データ販売

サイトのデータを他の企業に販売して収益化する手法です。手動でないとなかなか集めるのが難しいデータは有料でも欲しがる企業がいたりします。

ユーザー自身のデータか、ユーザーが集めたデータを販売するかによっても変わってきますが、個人情報をマスクする等の前処理は必ず必要で、規約にデータ販売する旨を書いてユーザーに許諾をもらっておく必要があります。

グッズ販売

C向けサービスである程度ユーザーがいて、ユーザーの熱量が高い、デザインに自信があるサービス・開発者である場合には有効な方法かもしれません。

また、一部のサービスをオンラインで利用できるものが、リアルなアイテムを持っていると更に便利に使える等のサービスが提供できる場合には、そういったアイテムを販売してみてもいいかもしれません。

あるサービスではサービスロゴのTシャツを売ってサーバー費用を賄っていたという事例があります。

バイアウト

これはサービスから収益を上げるのではなく開発者がお金を得る方法になりますが、サービス自体を売却するという例になります。

基本的にはサービスである程度マネタイズができていると、買う側もリスクが少ないのでその金額に応じて(2年分の収益を買収金額とするのがわりと一般的)価格を決めて買い取る形になります。その際に入社する・業務委託として関わる形になるかは交渉次第です。

また少額であれば、意外と新規事業のプロトタイプのショートカット目的で買ってくれる場合もあります。そもそも売り手を探すのが難しいのですが、最近はM&Aの仲介と同じように仲介を行ってくれる事業者も増えてきています。

終わりに

  1. マネタイズする上での心構え
  2. マネタイズの注意点
  3. サービスの性質に応じたマネタイズ
  4. マネタイズのやり方とそれぞれの導入方法

についてそれぞれ書きました。もちろん世の中には他にも色々なマネタイズ方法がありますが、個人開発で行える規模感だと概ねここに書いているものになると思います。

これを読んだあなたが個人開発したサービス・アプリをうまくマネタイズできて、より個人開発を楽しめることを願っています。

Discussion

hiralyhiraly

まとまっていて有益な情報だと感じました!

個人開発云々いうなら情報商材じゃなくて自分のサービスで稼げよな! ということで。

冒頭のここだけ疑問があります。
自分の経験が情報として価値があると判断して、需要があるところにマネタイズして出す、ということにネガティブな印象は自分は受けないです。アプリ市場が完全に飽和して、作り手サイドにも市場が広がっているだけなのかなと。
むしろユーザーに不利益を与えずに作り手が潤っている点では、広告より賢いやり方なのでは?wとすら思えます。