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入稿作業をAIに任せることはできるのか

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入稿作業をAIに任せることはできるのか

Webサイトやオウンドメディアの運用での入稿作業。
この反復的で時間のかかる作業をAIに任せることができるのか。

結論から言えばそれは可能です。
この記事では、AIが入稿作業をどのように代行するのか、その核となるMCPと、それを実現するための具体的な機能について解説します。

AIの「神経」となるMCP

AIに入稿作業を任せる鍵となるのがMCPModel Context Protocol)です。

MCPは、AI(頭脳)と、CMSや各種ツール(手足)をつなぐ神経通訳のような役割を果たします。人間が自然な言葉で指示を出すと、AIはMCPを通じて、CMSを操作するためのツールを呼び出しタスクを実行します。

これにより、AIは単なる文章作成ツールではなく、私たちの指示に従って自律的に作業を進める有能なアシスタントとなります。

REST APIを使った記事入稿との違い

WordPressなどのCMSで提供されているREST APIというものがありますが、それを使うことでも自動的に入稿するシステムを作ることができます。
REST APIを使った入稿と、MCPを使った入稿の最も大きな違いは、誰が、どのように操作を組み立てるかという点にあります。

REST APIを使った記事入稿の場合
開発者が、記事入稿の一連の流れ(下書き作成→画像アップロード→カテゴリー設定→公開予約など)を、APIの仕様に沿ってプログラムとして実装する必要があります。ただしこれには専門知識が必要で、手順の変更にはプログラムの修正が伴います。

MCPを使った記事入稿の場合
運用担当者が、「この原稿を入稿して、カテゴリーはこれで、来週月曜に公開して」のように、自然な言葉でAIに指示します。するとAIは、その目的を達成するために必要なツールの呼び出し手順を自ら考え、自動で実行します。

つまり、REST APIが「開発者が操作を組み立てる」のに対し、MCPは**「AIが自ら操作を組み立てる」**ことを可能にするため、開発者でなくともすぐに導入することができます。

AIがCMSを操作するための具体的なツール(機能)一覧

では、AIがCMSを操作するためには、具体的にどのような「ツール」が必要なのか。MCPサーバーには、以下のような機能が実装されている必要があります。

1. 基本的な投稿管理機能

記事のライフサイクルを管理する最も基本的な機能

例:create_draft_post(title, content)

機能: 新しい記事を下書き状態で作成

必要な情報: 記事のタイトル、本文(HTMLまたはMarkdown形式などの原稿データ)。

AIへの返却値: 作成された記事のID、編集画面URL、プレビューURL。

例:update_post(post_id, title, content)

機能: 既存の記事の内容を更新

必要な情報: 更新対象の記事ID、新しいタイトル、新しい本文。

AIへの返却値: 更新成功のメッセージ、プレビューURL。

例:get_post(post_id)

機能: 特定の記事の現在の情報を取得

必要な情報: 記事ID。

AIへの返却値: 記事のタイトル、本文、現在のステータスなど。

2. メタデータ設定機能

コンテンツの分類に不可欠な付随情報を設定する機能

例:set_categories(post_id, category_names)

機能: 記事にカテゴリーを設定

例:set_tags(post_id, tag_names)

機能: 記事にタグを設定

例:set_featured_image(post_id, image_id)

機能: 記事のアイキャッチ画像を設定

例:set_slug(post_id, slug)

機能: 記事の**パーマリンク(スラッグ)**を設定

例:set_meta_description(post_id, description)

機能: SEOのためのメタディスクリプションを設定

3. 公開ステータス管理機能

記事の公開状態をコントロールする機能

例:publish_post(post_id)

機能: 記事を即時公開

例:schedule_post(post_id, publish_datetime)

機能: 指定した日時に記事を予約投稿

例:unpublish_post(post_id)

機能: 公開中の記事を下書きや非公開状態に戻す

4. メディア管理機能

記事内で使用する画像を管理する機能

例:upload_image(image_url or file_path)

機能: CMSのメディアライブラリに画像をアップロード

AIへの返却値: アップロードされた画像のIDと、CMS上でのURL。

AIはどのように動くのか?具体的な動作イメージ

これらのツールがあることで、AIは人間からの曖昧な指示を具体的なタスクに分解して実行できます。

👤 人間の指示

「このMarkdown原稿を、明日の朝9時に予約投稿して。カテゴリーは『AI活用』で」

🤖 AIの行動

原稿からタイトルと本文を抽出する。

原稿内の画像を見つけ、upload_image ツールでCMSにアップロードし、画像IDを取得する。

create_draft_post ツールで、まず下書き記事を作成し、記事IDを取得する。

取得した記事IDを使い、set_categories ツールでカテゴリーを設定する。

set_featured_image ツールでアイキャッチ画像を設定する。

最後に schedule_post ツールで、指定された日時に公開予約を行う。

ユースケース

この他に以下のようなユースケースに対応できます。

記事カテゴリの一括変更

Before:
一つずつ記事を開いてカテゴリ変更

After:
「◯◯に関する記事をリストアップして」
「リストアップされた記事のカテゴリを△△に変更して」

複数のMarkdown原稿を入稿

Before:
一つずつコピー&ペーストで入稿

After:
「◯◯のディレクトリに入っているmdファイルをすべて入稿して」

複数記事の文言を一括修正

Before:
一つずつ記事を開いて編集、更新

After:
「すべての記事で『◯◯』と書かれている箇所を『△△』に修正して」

順位下落記事のリライト案を作成し入稿

Before:
順位下落記事の特定、競合記事の分析、リライト案を作成し更新

After:
「順位確認ツールを参照して順位下落記事を特定し、各記事で競合分析しリライト案を下書き入稿して」

CMSの移行

Before:
事前に旧CMSの全コンテンツデータをエクスポート
移行先CMSのAPIを利用して移行するスクリプトを開発

After:
事前に旧CMSの全コンテンツデータをエクスポート
「エクスポートされたデータを解析し、◯◯のルールに従って△△のCMSに全コンテンツを移行して」

これらを実現するMCPサーバー

ここまで解説してきたAIによる入稿自動化の仕組みと、その具体的なユースケース。
これらを誰でも利用できるMCPサーバーとしてNILTO MCPがあります。

https://www.nilto.com/ja/lp/mcp?utm_source=zenn&utm_medium=social&utm_campaign=n_san

NILTOはMCPサーバー機能をプロダクトのコア機能として提供します。これにより、利用者はインフラを意識することなく、AI連携の恩恵を最大限に享受できます。

NILTO MCPは、単に記事のCRUD(作成・読み取り・更新・削除)を自動化するだけではなく、NILTOのCMSコア機能と深く連携することで、これまでのコンテンツ運用を根底から変える、高度な自動化を実現します。

CMSの管理画面が不要になる未来

MCPとAIエージェントの進化は、コンテンツ運用のあり方を根底から変えていきます。
将来的には、日々の多くの業務が、CMSの管理画面を開くことなく、チャットツールやデスクトップ上のAIアシスタントへの指示だけで完結するようになるのではないでしょうか。

運用者は、もはやCMSの複雑な画面操作を覚える必要はなく、代わりにAIに対して「何を」「どのように」達成したいかを的確に指示し、その結果を監督する能力が求められるようになるでしょう。
NILTO MCPのようなCMSに統合されたMCPは、そんな未来への第一歩となります。

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