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AI Agent時代でもWorkflowが重要な理由

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AI Agent時代でもWorkflowが勝つ理由

構造(決定性)と自律性(推論)のバランス

はじめに

以下のツイートの元記事を自分なりに整理して、紹介するために執筆しました。

元記事: The Ultimate Guide to n8n for PMs

(2025/12/09 追記)以下のtweetでもWorkflowがプロダクション適用では必要なことを述べています。

AI Agent時代におけるワークフローの重要性について考察します。

3つのアプローチ(ワークフロー付き)

A. 決定的ワークフロー — LLMを1ステップとして使用

自律性: なし / 完全に事前定義

B. Agentic Workflow — ワークフロー内のSuperAgent

自律性: 中程度 / 構造化されたオーケストレーション

C. SuperAgent — 自己計画とツール

自律性: 高 / 創発的制御

概要表

タイプ 制御 自律性 ユースケース 主な強み
決定的ワークフロー 完全に事前定義 なし ETL、RPA、プロンプトチェーン 信頼性と監査可能性
Agentic Workflow 構造化されたオーケストレーション 中程度 リサーチ、統合、意思決定支援 制御と推論のバランス
SuperAgent 創発的制御 オープンエンドな計画、長期タスク 自律的で探索的

比較メトリクス(実測値付き)

コンテキスト / トークンコスト

決定的ワークフロー Agentic Workflow SuperAgent
🟢 低
4,543 トークン
🟡 中
15,605 トークン
🔴 高
30,204 トークン

処理効率

決定的ワークフロー Agentic Workflow SuperAgent
🟢 高速
41秒
🟡 中程度
1分09秒
🔴 低速
1分09秒

設計 / メンテナンス労力

決定的ワークフロー Agentic Workflow SuperAgent
🔴 高 🟡 中 🟢 低

ワークフローが今でも重要な理由

✅ 決定性と再現性

予測可能なパス、安全な再試行。信頼性が最も重要な本番システムにとって不可欠。

✅ 観測可能性と監査

ステップレベルのトレースとHITL(Human-in-the-Loop)チェックポイント。デバッグとコンプライアンスに必須。

✅ ガードレールとコンプライアンス

ポリシーはプロンプトではなくコードとして強制。ビジネスルールの一貫した適用を保証。

✅ コストとレイテンシの制御

必要な場合にのみLLMを呼び出すことでトークンを最小化。大規模での大幅なコスト削減。

✅ 段階的自律性

ワークフロー内にAgentを組み込み、自信を持って自由度を拡大。決定的に開始し、価値を加える場所で自律性を追加。

ベストプラクティス

  • 高SLAパスは決定的に開始し、品質を測定可能に向上させる場合にのみAgenticステップを導入
  • ガードレールはコードとして保持: ポリシーチェック、PIIフィルター、レート制限、承認ゲート
  • ステップ粒度でトレースを計装し、正確性が重要な場所にHITLを追加
  • 積極的にキャッシュし、コンテキストを最小化してトークンコストとレイテンシを制御
  • 段階的ロールアウトを採用: オフライン評価 → シャドウ → カナリア → 完全展開

最後に

筆者は現在、未踏アドバンスドプロジェクトにて、Agentic WorkflowのためのOrchestrationエンジン(Graflow) を開発中です。

プロジェクト詳細: 未踏アドバンスド 2025年度第1回採択プロジェクト

本記事で紹介したコンセプトを実現するための基盤技術として、決定性と自律性のバランスを取りながら、観測可能性とガードレールを備えたスケーラブルなワークフローエンジンの構築を目指しています。鋭意開発中ですが、ライブラリ自体はOSSとして公開予定です。

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