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空間とは何か?
モチベーション
空間という言葉は、大学数学になって突然登場する用語で、いかにも数学的でとっつきにくい。調べ物をしているとき、「なんとか空間」という言葉に出くわしただけで理解がおぼつかなくなるものである。そんな拒絶反応を減らすために、空間とは何かをまとめたい。
空間の定義
- そもそも空間とは集合のことである。どちらも同様に要素の集まりを指す点で、空間と集合は何ら変わらない。空間を集合と読み替えるだけでも拒否反応が減るだろう。
- 使い分けとしては、集合は、個々の問題に応じてアドホックに定義されたものという印象があるのに対して、空間は集合よりも一般性があったり、特定の規則に基づいて集められた要素の集合という意味がある。
色々な空間
ベクトル空間
- ベクトルの集合のこと。
- 一点ポイントとしては、ベクトル空間に求められる条件はベクトル同士の和とベクトルのスカラー倍という性質のみで、内積計算ができるかどうかという点はベクトル空間の定義には不要である。下記内積空間を参照。
- もうひとつポイントとしては、同じベクトル空間に属するベクトルの次元はすべて同じということ。2次元のベクトルから3次元のベクトルを構築することはできない。したがって次元数が重要な場合は「n次元ベクトル空間」のように書き、慣例としてR^nという記号で表す。
線形空間
- これは単にベクトル空間の別名
ユークリッド空間
- 2次元ベクトル空間すなわちR^2は、我々人間にも認識できる平面にほかならない。平面においては中学校で習った(通常の)幾何学が成り立つ。通常の幾何学のことを、後述する位相幾何学と対比してユークリッド幾何学と呼ぶので、翻ってR^2のことをユークリッド空間と呼ぶ。また幾何学は抽象化して3次元以上にも成り立つので、R^nをn次元ユークリッド空間と呼ぶ。
内積空間
- 内積が計算できるという条件を備えたベクトル空間。内積が計算できると距離や角度と言った幾何学的な概念が定義できるようになるのである。
- 内積空間のことをプレ・ヒルベルト空間とも言う (本当にオフィシャルな名前か?)。つまりヒルベルト空間と聞くとギョっとするが、内積空間とさほど変わらない代物である。
ノルム空間
- ノルムが計算できるベクトル空間のこと。ノルムは内積から計算されるものなので、内積空間のことではないか?と思われるかもしれないが、実はノルムは内積がなくても定義できるらしい。なのでノルム空間という用語が用意されている。
ヒルベルト空間
- 内積空間に完備性を備えたもの。完備性とは簡単に言えば数値が連続だよってこと。そのため極限が定義でき微分積分が使えるようになる。
- もしかしたら通常ヒルベルト空間というと、次元が無限で要素が複素数であることを暗に仮定するのかもしれない。明確にするときはちゃんと「無限次元複素ヒルベルト空間」というかもしれないが。
バナッハ空間
- 前記ノルム空間に完備性を備えたもの
位相空間
- ユークリッド幾何学の代わりに位相幾何学が支配する空間
Discussion