Raspberry Pi Pico2 用 MicroPython 開発環境の構築手順
本記事では、VSCode と MicroPico 拡張機能を使用して、Raspberry Pi Pico2 用の MicroPython 開発環境を構築する手順を解説します。最新の MicroPico 拡張機能では「Initialize MicroPico Project」コマンドを実行することで、プロジェクトの初期設定が自動で行われ、Pico2 との接続が正しく認識されるようになっています。
1. 必要な準備
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ハードウェア
- Raspberry Pi Pico2
- USB ケーブル(データ転送対応)
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ソフトウェア
- Visual Studio Code (VSCode)
- MicroPython ファームウェア (公式サイトから最新の .uf2 ファイルをダウンロード)
- MicroPico 拡張機能 ※以前は pico-go でしたが、現在は MicroPico を推奨
2. Pico2 への MicroPython ファームウェアの書き込み
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Pico2 の BOOTSEL ボタンを押しながら USB ケーブルで PC に接続します。
※ 接続後、PC上では USB マスストレージ(例:"RP2350")として認識されます。 -
公式サイトからダウンロードした .uf2 ファイルを、表示された USB ドライブにドラッグ&ドロップします。
- 書き込みが完了すると、Pico2 は自動で再起動し、通常モード(MicroPython 起動状態)となります。
- この状態では USB ストレージは表示されなくなりますが、シリアル通信でアクセス可能です。
3. VSCode のインストールと MicroPico 拡張機能の導入
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Visual Studio Code をインストールします。
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VSCode を起動し、左側のサイドバーにある 拡張機能 アイコンをクリックします。
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検索バーに「MicroPico」と入力し、表示された拡張機能をインストールします。
- MicroPico 拡張は、MicroPython 開発用のファイル転送、REPL 連携、プロジェクト初期設定などをサポートします。
4. MicroPico プロジェクトの初期化
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VSCode の コマンドパレット(
Ctrl+Shift+P
またはF1
)を開きます。 -
コマンドパレットに「Initialize MicroPico Project」と入力し、表示されたコマンドを選択して実行します。
- このコマンドにより、プロジェクトフォルダ内に必要な設定ファイル(例:
.micropico
や.vscode
ディレクトリ)が生成されます。 - 初期設定が成功すると、VSCode が Pico2 との接続を認識し、「Pico Connected」などの表示がステータスバーに出るはずです。
備考:
最新の MicroPico 拡張機能ではこの「Initialize MicroPico Project」コマンドを実行することが推奨されており、従来の「Configure Project」コマンドからアップデートされた可能性があります。 - このコマンドにより、プロジェクトフォルダ内に必要な設定ファイル(例:
5. Pico2 との接続確認(REPL の利用)
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Pico2 を接続済みで、初期設定が完了していれば、VSCode の ステータスバー(エディタ下部)に接続状態が表示されるはずです。
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コマンドパレットから「MicroPico: Open REPL」を実行して、REPL ターミナルを開きます。
- REPL が正常に開かれ、「>>>」プロンプトが表示されれば、Pico2 は MicroPython シェルとして動作中です。
6. main.py の作成とファイル転送
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VSCode 上で新規ファイルを作成し、
main.py
として保存します。- 例として、以下の「Lチカ」サンプルコードを記述してください:
from machine import Pin import utime led = Pin("LED", Pin.OUT) while True: led.value(1) # LED を点灯 utime.sleep(0.5) # 0.5秒待機 led.value(0) # LED を消灯 utime.sleep(0.5) # 0.5秒待機
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コマンドパレットから「MicroPico: Upload current file to Pico」を実行し、
main.py
を Pico2 に転送します。- 転送完了後、Pico2 は保存された
main.py
を自動で実行します(Pico2 単体で実行する場合は、ファイル名を必ずmain.py
にしてください)。
- 転送完了後、Pico2 は保存された
7. 動作確認
- Pico2 の LED や接続したデバイスが、
main.py
の内容に従って動作しているか確認してください。 - もし接続や転送に問題がある場合は、Thonny などの他のツールで REPL 接続を確認し、シリアルポートの状態をチェックしてください。
まとめ
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ファームウェア書き込み:
BOOTSEL ボタンを利用して .uf2 ファイルを Pico2 に転送し、MicroPython 環境を起動。 -
VSCode と MicroPico:
VSCode に MicroPico 拡張機能を導入し、「Initialize MicroPico Project」コマンドでプロジェクト初期化を実施。 -
REPL 接続の確認:
「MicroPico: Open REPL」コマンドで Pico2 との接続を確認し、正常な動作をチェック。 -
main.py の転送:
作成したmain.py
を「Upload current file to Pico」コマンドで Pico2 に転送し、実際の動作を確認。
以上の手順で環境構築が完了します。もし同じ現象で困っているユーザーがいたら、この記事の手順を参考にしていただければと思います。
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