[ミニPC] Minisforum EliteMini HX90 レビュー
はじめに
ずっと ASUS のノートパソコン に Linux をインストールして使っていたのですが、仮想マシンに入っている Windows を 11 にアップデートしようとしたら、母艦の CPU (第7世代 Intel Core i7) が原因で、ギリギリアップデート対象外であると言われてしまいました。
もう発売されて4年以上経つものなので潮時かなってことで、新しいハードウェアを購入し、Linux をインストールして使っています。
この記事は、それのレビューです[1]。
更新履歴
- 2022/02/04
- 初稿
- 2022/02/12
- 「Wifi が動かない」と初稿では記していたが、Linux 5.16.8 に kernel を更新したら、ぬわんと IEEE 802.11 ac の範疇までは動いてしまった。それを踏まえ、Wifi まわりの記述を更新
何を買ったのか?
中国のミニPCメーカー MINISFORUM が作っている、 Minisforum EliteMini HX90 です。
コストの割によさげなスペックや、小さな筐体が目を引きます。が、冒頭で述べた通り、私の目的は Linux をネイティブで動かすことです。よって、ストアのページで以下のように
Ubuntu 対応可能 と謳っていたことが購入の動機であったことは言うまでもありません[2]。
実際購入したもののスペックとお値段
ストアのスペックから主なものを抜粋したものと、lshw コマンド、lspci コマンドの情報を総合すると、以下のようになります。
パーツ | 説明 |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 5900HX 8コア/16スレッド、2次キャッシュ合計4MB、3次キャッシュ合計16MB 動作周波数 (標準/最大):3.3GHz/4.6GHz |
メモリ | Kingston DDR4 16GB SODIMM * 2 = 32GB / 最大64GB) |
グラフィックス | Radeon Graphics (グラフィックス周波数2100MHz) |
ストレージ | M.2 2280 512GB PCIe SSD |
ワイヤレス | Wifi6, Bluetooth 5.1 MEDIATEK Corp. Device RZ608 |
イーサネット | Intel Corporation Device 15f3 (rev 01) |
ビデオ出力 | HDMI 2.0 * 2 (4K@60Hz) 2 * Display Port 1.2 (4K@60Hz) |
自分は Amazon でこれを購入した ので、116,980 円でした[3]。ベアボーンキットも購入できるようです。
8コアCPU や Wifi6 など、見た目、かなりコスパは良さそうに見えますが、果たして... ?
外観
実際ちっさいですね。これの横にディスプレイを3台置いて動かしている写真が以下です。
ミニPCを謳うだけあって、左端の箱が霞んで見えます。
「4K ディスプレイが4台繋げます」というのがこのミニPCのウリのひとつですが、ここではもろもろの都合で 4K は一番右の1枚のみです。左の横置き2枚は WUXGA と Full HD となっています。
まぁ、ここまでは出来てるよ、ということで。
本当に Linux 動いたの?
結論からいうと、Kubuntu 20.04 LTS をクリーンインストールした状態で ほぼ 動きました。
但し、そのままではひとつだけ動かなかったものがあります。それは Wifi です。それ以外は Bluetooth、サウンド、イーサネットもろもろ含めてちゃんと動いています。
これだけで駄目じゃん! と思う方もいらっしゃると思います。
自分も Wifi が動かないとわかった時は若干ガッカリしたものの、イーサネットは動いていたことと、部屋の端にあった Wifi 中継機 がイーサネットコンバーター子機として動くことを思い出し、それらを接続することでいったんは回避しました。
Wifi が動かなかったのは、RZ608 が比較的新し目のチップであることから、まぁ Linux ではよくあること、と諦めがつく範囲です。
... と思っていたのですが、PPA の最新の kernel を使い、5.16.8 にアップデートした上で、以下のようにして mt7921 ドライバをロードするように動かしてみる と、一応 802.11 ac の範囲までは動いてしまいました。。これはびっくり[4]。
$ sudo modprobe mt7921e
$ sudo -s
# echo 14c3 0608 > /sys/bus/pci/drivers/mt7921e/new_id
# ifconfig wlp3s0 up
(多分) コスパは抜群
Wifi が動かなかったものの、それ以外は動いていること。また (2022/02/12 更新: Linux 5.16.8 以降では動いてしまいました...)
「外観」の写真でも示したとおり、3画面出力も無難にできたこと。そして、AMD Ryzen 9 5900HX も高速であったことから、かなり満足です。
マシンそのものもかなり静かで、 make -j16
しても少し小さな音で「うおーん」と聞こえる程度で、普段は全く音が気になりません。
これが11万円後半で買えたのは割とコスパはいいのではないか... ? と個人的には評価しています。が、Linux を目当てに購入を検討される方は、本記事執筆時点で Wifi が動かない点だけは注意して下さい。 (現状、手元では IEEE 802.11 ac の 5GHz な通信が動いていることまでは確認できていますが、Wifi6 の範疇が動いたかどうかは確認していません)
追加のハードウェア
このミニPCはもともと、ベアボーンPC と言われるものでもあります。なので、基本的なノートPCに往々にして既に付いていたりする、リモート勤務に役立つカメラやスピーカーは追加で揃える必要があります。
Linux で動くと見越して、私が追加で購入したのは以下です。
特に eMeet Luna は満足度高めです。
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eMeet Luna スピーカーフォン
- 4通りの繋ぎ方があり、音もリモート会議で支障なく使えています
- 挿したら普通に動いたのには少し驚きましたが、Android 対応を謳っているものなのでそれはそう。。
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ロジクール ウェブカメラ C270
- これも価格の割にうまく Linux で動いてくれていて、リモート会議でも支障ありません。
おわりに
最近購入したミニPCを紹介しました。Linux 対応が謳われていましたが、当初執筆時点で Wifi が動かなかったのは「看板に偽りあり」と言われても仕方がありません。ただ、個人的にそれは許容範囲であり、割と気に入って使っています。
(その後、購入後一週間で、Wifi が動くようになってしまったのは運が良いとしか言いようがないですが、、)
Linux のハードウェア対応は、以前よりかなり良くなったと言えると思います。ですが、やはり新し目のパーツについては、ちゃんともろもろ調べましょう、というのが今回の教訓でした。
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Zenn にハードウェアのレビュー記事を書いていいのか、若干心配。まあ、M5Stack とかの開封の儀 とかがあるので、多分大丈夫でしょう! ↩︎
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これに Linux をインストールしてみた人のレビューを検索しても、目ぼしいものが見つからなかったのも、この記事を書いた動機の一つです。 ↩︎
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MINISFORUM のストアで直接買うと、タイミングによっては 安く買えたりするようですが、納期が遅くなる欠点があります。 ↩︎
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最初に Minisforum Elitemini HX90 を購入した今月上旬の時点での最新は 5.16.4 でした。5.16.8 にあがった時点で MediaTek ドライバまわりに割と変更が入っていた のでもしや、、と思って試したら、動いてしまいました... (´ー`; ) ↩︎
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