アジャイル開発で気をつけたいふりかえり
社内でアジャイル開発について話題にする際に、ふりかえりについて相談を受けることがあります。
例えば、スプリントレビューが終わった後のふりかえり会(スクラムだとレトロスペクティブ)と呼ぶものについての相談で
- 最近は形式的なものに留まっていて形骸化してしまっている
- 忙しくてふりかえり会自体を省略したり、人数を絞って開催している
- これらも相まって、時間をとって集まっているのに無駄な時間となっている気分になっている
といったものです。これらはよく言われることで、一つの原因としてふりかえり会の際にKPT(A)を多用しすぎている、というものがあるかなと思います。
ふりかえりの目的から考える
まず、ふりかえりの目的に立ち戻ってみます。
スクラムガイドを見てみると以下のように書かれています。
スプリントレトロスペクティブ
スプリントレトロスペクティブの⽬的は、品質と効果を⾼める⽅法を計画することである。
スクラムチームは、個⼈、相互作⽤、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリントがどのように進んだかを検査する。多くの場合、検査する要素は作業領域によって異なる。
スクラムチームを迷わせた仮説があれば特定し、その真因を探求する。スクラムチームは、スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発⽣したか、そしてそれらの問題がどのように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。
~後略~
目的に品質と効果を高める方法を計画する
とあります。
このスプリントではどうだったか?感想を言い合うだけ、共有するだけで終わってしまうとこの目的は達成できないでしょう。
また、スクラムチームは、スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発⽣したか、そしてそれらの問題がどのように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。
ともありますので、問題だけではなくて何がうまくいったかについても話題とすることが重要です。
話を戻すと、ふりかえり会の際にKPT(A)を多用しすぎていることが問題ではないか?と仮説を置くことが多いと先ほど述べました。
KPT(A)とは、ふりかえり会の中で
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Keep : 今スプリントでやったことで成果が出ており、今後も続けた方が良いこと
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Problem:解決すべき課題
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Try:次スプリント以降で試したいこと
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Action:Tryとしてあげた試したいことを具体的行動にまで落とした内容
を順番に整理していく、というものです。この順番で整理していくこともあり、TryやActionに関する話題の際にはKeepの内容は忘れられていて如何にProblemを解消させるか、ということにみんな必死になってしまう、ということがあるのです。
スクラムマスターなどがしっかりファシリテーションして、Tryの内容がKeepからくるもの、Problemからくるものバランスよく仕向けられるとよいのですが、皆真剣になるのはどう課題解消されるかという方になってしまうことが多いです。
そうなった結果、ふりかえり会自体がどんよりした空気になってしまい、場やチームが活性化されない、次第にふりかえり会自体にもネガティブな印象を持ってしまい、最初の3つの良くない状況に陥るということがあります。
KPT(A)以外のプラクティスをうまく使っていく
そんな時にいつもおすすめしているのは、KPT(A)以外にも世の中には数多くのふりかえりのプラクティスはあるのだから、チームの状況を見てどのようにふりかえり会を過ごすか、考えてみては?とアドバイスしています。
例えば、Fun Done Learnというふりかえり手法があります。ふせんのようなものを張りながら進めるのが良いのですが
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Fun : 楽しかったこと
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Done:終わったこと
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Learn:学んだこと
を図にサイクルとして書きながら、個人+チームでまとめて共有するというものです。
こんなイメージです。
こればっかりやると、自分たちの課題を放置してしまうチームになってしまうのですが、今スプリントはどうするかなど毎回考えながらふりかえりの場をうまく使えるようなスクラムマスター、チームになれると良いなと思いましたので今回ご紹介させていただきました。
KPT(A)やFun Done Learn以外にもふりかえりのプラクティスは多数あります。それだけで1冊の本になるボリュームレベルです。
全部理解するのは難しいにで、こういったケースにはこれを使うと良さそうだなと引き出しとして持っておくと良いのではないでしょうか?
なお、ふりかえりの場のファシリテーターとして慣れてないということとか、最初は不安とかありましたら、適宜他のチームや部署から経験者を最初は連れてきてやってもらうという方法が良いと思います。もしくは時間が取れるのであれば他チーム見学に行くといったことも学びにつながると思いますので、うまく横のつながりも含めて持てていくと良いのかなと考えています。
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