🖐️

Microsoft Ignite 2025

に公開

昨年に引き続き、Microsoft Igniteに参加しに、サンフランシスコに来ています。サンフランシスコはあまり天気が良くなく、時々雨が降っていて、ほとんど曇りです。ただ、そこまで寒くはないです。また、気になる治安ですがそこまで悪くないと思います。ユニオンスクエアの近くにいますが、数年前よりは良くなった印象です。ただ、相変わらず注意したほうが良さそうな人はいるので、スマホを見ないで周りをよく見て歩いたほうがいいと思います。

さて、2023年くらいからAIの利用が本格化して、OpenAIと手を組んだMicrosoftが牽引してきた印象がありましたが、今年のKeynoteを見て、その流れが少し変わってきた感じがしました。同じ雰囲気をクラウドが進んだ時期にも感じたのですが、次々に新しいサービスが出てくるフェーズにおいては、毎回華々しい発表がありますが、それが一巡するとより浸透させるためにサービス展開に移行していきます。特に、セキュリティや運用や監査対応などのエンタープライズ向けのサービスが充実してくるのですが、AIもそういうフェーズに入ったように感じました。

Keynoteでの気付き

Copilot関連の充実

今回はキーノートでサティア・ナデラが出てきませんでした。それには結構驚いたのですが、なんでだったんでしょうね。Igniteは一大イベントなので、当然出てくるものかと思っていました。さて、スタートはCopilot関連からはじまりました。今までは、Microsoft製品にCopilotが搭載されていく流れが多かったですが、今回はCopilotが仕事の中心になってくるような説明でした。主役になったと言えば一番しっくりくるかもしれません。主役として振る舞うために、Work IQやAgent 365が発表されています。

AIがビジネスに浸透してくると、Copilotが仕事そのものを実行するようになってきます。Work IQはCopilotとエージェントが仕事をしやすくするための抽象的な概念レイヤーと言ってもいいと思います。データの扱いや共有、権限などを司りますが、新しい技術が導入されたというよりは、エージェント時代に向けて整理したという印象を持ちました。

また、Agent 365も発表されています。こちらはエージェントを管理するためのコントロールプレーンという位置づけです。エージェントの数が爆発的に増えていくと思いますが、エージェントの管理が煩雑化していきます。シャドウエージェントについての言及もありましたが、どんなエージェントがあるのかを可視化して、場合によってはエージェントを隔離するような管理も必要になってくるでしょう。

このように、エージェントが主役になってくる世界観を整理して、Copilotの関連機能を充実させてきたと感じさせる内容でした。ちなみに、キーノートではデモが多めで、世界観を伝えることに力を入れていたと思います。これまでのOffice系の製品や、OutlookやTeamsなどがうまく連携しています。それらのビジネスツールを全部Microsoft製品で固めていると、シナジー効果が大きいだろうと感じます。

いよいよOpenAIの一本足打法からの脱却

既に発表されていましたが、Anthropicとの提携も大々的にアナウンスされていました。これまではMicrosoftとOpenAIが密に連携することで進化してきましたが、これによってGemini以外のほとんどのLLMを利用できることになりました。最近はモデルの性能差がかなり減ってきていますし、使いたいものを選べるようになることは歓迎すべきだと思います。

特に、GPT系のモデルと、Claude系のモデルをシームレスに使えるのはとても便利ですね。最近では性能に対しての価格がかなり安くなってきているので、自由に選択できることはとても良いと感じます。

また、そうなってくるといよいよモデルルーターの利用も現実的になってきます。モデルルーターは既に発表されていましたが、以前よりもキーノートでしっかり説明されていたと思います。そもそもモデルルーターは、利用者がどのLLMを使っているかを意識せずに、最適なモデルを勝手に使えるようにする世界を狙っています。もちろん賢いモデルだけを使っていれば精度は上がるかもしれませんが、コスト的には厳しくなってきます。かといって、ユーザーがいちいち「こういうユースケースではこのモデルがいい」といって、毎回カスタムするのも現実的ではなくなってきます。一部マニアには受けるかもしれませんが、一般ユーザーは求めないでしょう。これまではコンセプト先行という感じがしましたが、Anthropicとの提携もあり、いよいよ現実的な選択肢になりえる可能性が高まりました。

その他

最後にはインフラの増強の話もありました。Azureというクラウドプラットフォームに対し、現在の開発の方向性などが語られていました。とはいえ、内容的には特に驚きはなく、正常進化しているのね、という程度のものでした。モデルの選択もそうなのですが、一般ユーザーからすればクラウドのハードなどはぶっちゃけなんだっていいでしょうし、安全に動いてくれて性能さえ出ていれば何も文句はないと思います。

まとめ

今回、全般的にビッグサプライズは無い印象で、地味な感じもしてしまいました。そういう意味もあってサティア・ナデラが出なかったんでしょうかね。とはいえ、それは決して期待外れというわけではなく、冒頭にも書きましたがクラウドの進化の時と同じような流れです。特にエンタープライズ系のエンジニアにとっては、これからが腕の見せ所とも言えるので、どうビジネスに組み込んでいくかは考えなくてはなりません。

ちなみに、掲載した写真はちょっと不思議なアングルかもしれません。今回キーノートはChase Centerという場所で行われたのですが、NBAの試合やコンサートが行われるようなところです。なので、真ん中を取り囲むように客席が配置されています。普通のイベントでは巨大スクリーンが前にあって、みんなが同じ方向を向いて座っていると思いますが、今回はかなり違っていました。個人的には今回のほうがよく見渡せて良かったのですが、音が反響してしまい若干英語を聞き取りにくかったです。

では、残りのセッションにも引き続き参加してきます。

Discussion