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人材育成について大事なこと~リーダー一年目のマネジメント大全を読んで~

2025/03/17に公開

はじめに

こんにちは、本ブログを開いていただきありがとうございます。私は5年ほどWeb・スマートフォンアプリの開発を行っております。これまでの4年間は先輩の指導のもとで開発経験を積んできましたが、ここ1年は私自身が開発チームを引っ張る立場となりました。

開発チームのリーダーとしての役割を果たすにあたり、何をすべきかという体系的な知識が不足していることに気づきました。そこで、「リーダー一年目のマネジメント大全」という本を読んで学ぶことにしました。本書を選んだ理由はオンラインショッピングサイトのカスタマーレビューの評価が高かったためです。難しい言葉が少ないやリーダーとしての基本を学べる必読書というカスタマーコメントが決め手となりました。本書には人材育成やチームマネジメントに関する記載があります。

木部智之. (2024). リーダー一年目のマネジメント大全. 三笠書房.
https://www.mikasashobo.co.jp/c/books/?id=100298400

開発現場で2年ほど後輩育成に携わってきましたが、今まで自分が教えてきたやり方が正しかったのか分からず不安な面がありました。今回は本書の人材育成を読んで共感したことや新たに得た知識を記載していきたいと思います。

リーダーの仕事とは何か

私はそもそもリーダーが何をすべきなのかがぼんやりとしておりました。ぼんやりと自身が担当する案件を期限内に決められた品質でリリースすることだけが使命だと考えておりました。元々リーダーが別にいて私がチームメンバーとして開発作業を実施していた4年間は自分の成果がチームの成果に繋がると考え、一心不乱にチームのタスク消化を第一に毎日を過ごしておりました。そのため私が開発チームを引っ張る立場になった際にはさらに一生懸命タスク消化に貢献したり、関係各所との調整も頑張らないといけないと自ら動くことを中心に考えていましたが、それが間違いでした。

本書にはリーダーがやるべき仕事は実にたくさんあるが、ポイントは以下の2つだけと記載されておりました。
人材育成。チームメンバーを育成し、メンバーのスキルアップとキャリアアップを実現すること。[1]
与えられた予算やメンバー時間といった限られた条件の中で、より大きなビジネス成果を上げること。[1]

上記を読んで目線を自分事からチームへ変えなくてはいけなかったことに気づきました。特に人材育成については私も先輩から手厚く指導していただいたことでもあったのに、伝搬する意識が薄れていることに気づきました。

人材育成について大事なこと

ここからは本書を読んで人材育成の面で特に共感した以下4点について所感を交えて記していこうと思います。

  • 相談は聞き切ることに集中する
  • 仕事を任せる時は「なぜ」から伝える
  • 褒めるはリーダーの必須スキル
  • 自分でやった方が早いを我慢する

相談は聞き切ることに集中する

私自身、リーダーとしての役割を果たす中でメンバーからの相談に対して適切に対応することの重要性を学びました。特に開発に関する相談があった際に話の途中で解決策が分かった場合、すぐにそれを伝えるようにしていました。しかし、この方法は育成という面では必ずしも最善ではないことに気づきました。

本書にはメンバーが相談内容を最後まで話し切ることには、2つの大きなメリットがあると記載がありました。

1つ目はストレスを発散させる効果です。悩みがあるということは、ストレスが伴います。相手に話を聞いてもらうことで、そのストレスを発散させることができます。[3]
2つ目はメンバー自身が解決策を見つけられることです。相談内容を最後まで話し終えたころには、8割方、本人が解決の糸口を見つけています。第三者からの助言ではなく、自分で解決策を見つけられたと感じることで、メンバーの主体的な行動につながります。[3]

上記を学んでから改めて思い返すと、私の尊敬する先輩方は皆さん共通して相談を受けている際に口を挟むことがありませんでした。相談内容を話し切った時点で頭の中に「こうしてみたらどうだろうか」という案が浮かんできたことが何度もありました。開発や設計を行う上では考える力を育成する必要があると考えているので、私も現在はメンバーの話を最後まで聞き切ることを意識しています。

仕事を任せる時は「なぜ」から伝える

仕事を任せる際に「なぜ」を伝えることの重要性を強く感じるようになりました。これは、私自身の経験から学んだことです。

あるプロジェクトで特定の画面の修正を担当していたときのことです。リーダーから「この画面の特定の文字列を半角から全角に変えてください」という要件が伝えられました。当時、私は指示された通りに該当の画面を変更しましたが、他の画面にも同じ文字列が存在していることに気づかず、修正を行いませんでした。これは「なぜ」を理解していなかったことが原因だと考えています。

もし「なぜ」その文字列を全角に統一する必要があるのかを理解していれば、他の画面にも同じ文字列がないかを確認し、修正漏れを防ぐことができたでしょう。仕事を任される際に単に作業内容だけを伝えられるとその作業だけを行えば良いと考えてしまい、直接指示された箇所以外も修正する必要があるかまで考えが及びませんでした。しかし「なぜ」を伝えることで、メンバーは作業に落とし込む際に考えることができるようになります。この「考える」というプロセスは、自分がチームに貢献しているという自己肯定感を高めます。

この経験から私は仕事をお願いする際には必ず「なぜ」を伝えることを心がけています。例えば、新しい機能の開発を任せる際にはその機能がユーザーにどのような価値を提供するのか、なぜ今それが必要なのかを具体的に説明します。これによりメンバーは自分の役割を理解し主体的に取り組むことができるようになります。
上記の考えは本書にも記載されており、自身が行っていたことは間違いではなかったと自信につながりました。

褒めるはリーダーの必須スキル

褒めること自体はポジティブな効果しか生まないので、やった方が良いことは理解していました。しかし、私自身が人を褒めることに苦手意識があり、どうすれば良いのか分かりませんでした。

思い返すと私の尊敬する先輩たちは皆、褒めることが非常に上手でした。彼らはメンバーの努力や成果を見逃さず、適切なタイミングで褒めることでチーム全体の士気を高めていました。彼らのように上手に褒めることができれば私もチームをより良い方向に導けるのではないかと考えました。
本書には3つのポイントが記載されており、非常に参考になりました。まだうまく褒めることは出来ておりませんが、これから実践していこうと思います。

  1. なんでもかんでも褒めない: 褒めることは大切ですが、何でもかんでも褒めると、その価値が薄れてしまいます。具体的な行動や成果に対して褒めることで、メンバーは自分のどの部分が評価されたのかを理解し、さらに成長することができます。[4]
  2. 他人と比較して褒めない: 他人と比較して褒めることは、逆にメンバーの自尊心を傷つけることがあります。個々の努力や成果を認め、その人自身の成長を褒めることが重要です。これにより、メンバーは自分の価値を再確認し、自信を持って仕事に取り組むことができます。[4]
  3. 努力・頑張りを褒める: 結果だけでなく、プロセスや努力を褒めることも大切です。メンバーがどれだけ頑張ったか、どのような工夫をしたかを認めることで、彼らのモチベーションを高めることができます。努力が評価されることで、メンバーはさらに挑戦しようという意欲が湧きます。[4]

自分でやった方が早いを我慢する

本書を読んで一番衝撃を受けたのがこのトピックです。前述した通り、私は4年間の間、自分がより多くのタスクを消化することがチームの成果につながると考えていました。その結果、今担当しているシステムについては非常に詳しくなり、開発作業を独力でこなせることに喜びを感じていました。しかし自分が作業をすることがチームとしての成長につながらないという事実に気づいたとき、私は大きなショックを受けました。

考えてみれば当たり前のことなのですが、私ができるタスクをずっと私がやり続けていたら、そのタスクを他の人ができるようにはなりません。私がそのタスクを独占することで、他のメンバーが成長する機会を奪ってしまっていたのです。別の誰かがそのタスクを経験すれば、その人は新しいスキルを身につけ、成長することができます。しかし私がその機会を提供しなければ、チーム全体の成長は停滞してしまいます。

このことに気づいてからは自分がやるべきタスクを慎重に考えるようになりました。現在のメンバーの開発スキルを考慮してちょっと背伸びする必要があるタスクを任せるように意識しています。他のメンバーに任せることで、彼らが新しいスキルを習得し、成長する機会を提供するように心がけています。

終わりに

他にも共感したトピックがあったので箇条書きで紹介させてもらいます。

  • メンバーの育成を意識して、仕事の任せ方を工夫する[2]
  • 「自分で決める」から成長スピードが上がる[2]
  • 「説明」の機会をたくさん与える[2]
  • 小さな成功体験を積ませる[2]
  • メンバーに「決める」ことをしてもらう[2]
  • 転びそうときはあえて転ばせる[2]

体系的な知識がない自分にとっては、本書は大変参考になりました。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございます。この記事から少しでも学びを得ていただけますと幸いです。

引用元

[1] 木部智之. (2024). リーダー一年目のマネジメント大全. 三笠書房. p.22-24
[2] 木部智之. (2024). リーダー一年目のマネジメント大全. 三笠書房. p.6-8
[3] 木部智之. (2024). リーダー一年目のマネジメント大全. 三笠書房. p.50-52
[4] 木部智之. (2024). リーダー一年目のマネジメント大全. 三笠書房. p.95-97

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